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レファヌキ共和国の物語【第18章】
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第18章、十三夜、ハンターは語り始める。 このリレー小説は、架空の国のカフェと、月を巡る物語です。 まずはこちらを⬇️ ★まとめ読み用プレイリスト (第1章〜第15章) https://nana-music.com/playlists/3686144 (第16章〜 ) https://nana-music.com/playlists/3708915 ★第1章に、この物語が生まれるまでのエピソードも書かれています。ご一読頂けると嬉しいです。 https://nana-music.com/sounds/061f6d77 【登場人物の紹介】(第17章時点) https://nana-music.com/sounds/062c07a4 ✴︎17章までのネタバレを含みます。 【地名・用語等の紹介】(第17章時点) https://nana-music.com/sounds/062c0715 ✴︎17章までのネタバレを含みます。 ★登場人物は全て架空の存在です。nanaのフレンドさんからお名前を頂いているケースもありますが、性格その他、全て創作で、ご本人とは別の存在です。 ★文章の無断転載は、ご遠慮くださいね。 ★朗読等のコラボの際は、下記のサウンドをご参考の上、キャプションの記載をお願いします(小説本文の転載はNGです)  ↓ https://nana-music.com/sounds/065b1067 🌙 ~~ ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ ~~ 🌙 【第18章】 十三夜の親子 「ジュッティは大丈夫?」 ゲンチアナは、アルバーラに尋ねた。 「眠ったよ。今日はここに泊めるから」 ジュッティは、自分がゲンチアナとウェイを襲ったと知り、号泣した。アルバーラはジュッティを自室に連れて行き、泣き疲れたジュッティはソファで眠った。 皆、動揺が収まってはいない。アルバーラは珈琲を淹れ始めた。ひと息入れなくては。 「つまり、200年前に革命なんて無かった。本当は、30年前までレファヌキは王国だった」 ウェイが口を開いた。シーラとは目を合わせない。 「30年前に、ラヌキの襲撃があり、《レ塔》と《ファ塔》が失われた。しかし魔法によって、国民全員がその事を忘れている、母さんの話は、そういう事だね?」 「ええ」 「20年前、母さんは行方不明になった。フィールドワーク中の事故だと思っていた。でも実は、奪われた《音》を取り戻しに、ラヌキへ潜入して、戻れなくなった」 「ええ、今も私の実体は、ラヌキの監獄で眠っている」 ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ 話は、37年前に遡る。 国立大学の教授となったシーラは、《音》についての研究が評価され、国王からハンターへの参加を要請された。 《音》とは、世界を構成する、人の耳では感知できないような細かい震えだ。世界のひとつひとつの物質は、《音》が集まって出来ている。 ハンターは、200年前、王命によって設立された、魔法研究の専門チームだ。タークネク湖の通路を発見した初代のリーダーが、狩人の出身だった為、ハンターと名付けられたという。 ハンターへの参加は、研究者にとってこの上ない名誉だ。しかし、シーラは参加を迷った。 彼女のお腹には、ウェイが居た。 ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ 「だけど、あなたの父さんが、参加を強く勧めてくれた。『お腹の子の未来を明るくする為に、是非やるべきだ』って」 「父さんなら、そう言うだろうね」 ウェイは相変わらず、シーラと目を合わせようとしない。 「あなたの父さんは、ハンター候補の筆頭だったのよ」 「……初めて聞く話だよ」 「父さんは、私が最も尊敬する研究者よ。でも、実験中の事故で重傷を負ったの。研究を続けられなくなり、家で療養する事になった。父さんに背中を押されて、私は、ハンターを拝命したの」 ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ ハンターとなったシーラは、《音》の研究を進めると共に、リーダーのエイブ夫妻に指導を受けて、魔法の習得にも必死になった。 《音》に干渉する方法を、「魔法」と呼ぶ。魔法を使うと、空気でさえ、作り替えることが出来る。 エイブと、その妻のコベニアは、音楽を使って、世界を構成する《音》を、微細な所まで感知し、干渉する能力があった。彼らに魔法を学ぶ事は、研究の上でも実りは大きかった。 ラヌキにも、何度か足を運んだ。ラヌキの大統領は、シーラの研究に興味を持ってくれた。シーラ自身も、魔法の先進国であるラヌキから学ぶ事は多かった。 夫は家で療養しながら、家事と育児を引き受けてくれた。シーラは研究と魔法の習得に没頭した。 そうする事で、志半ばで研究を諦めた夫の夢を、叶えたかった。 ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ 「父さんが死んだ時、母さんは仕事で居なかった」 ウェイは、ぽつりと言った。 「母さんは、自分の研究が一番で、他の事はどうでもいいんだと思ってたよ」 「ウェイ、そうではないって、あなた、分かってると思うの」 ゲンチアナが、おずおずと言った。 「ゲンチアナ……」 「私、両親の事を殆ど覚えてない。幼い頃に亡くなっていて、顔も思い出せない」 ウェイは黙った。 「時々、両親の夢を見るの。でも、夢の中で、私はいつも眠ってる。目を開けて、両親の顔を見たいのに、私、一度も目を開けた事が無くて」 ゲンチアナは、じっとウェイを見つめた。 「だからね、ウェイ、お母様の顔を、ちゃんと見た方が、いいと思うの」 ウェイは黙ってゲンチアナを見つめ返した。やがて、ウェイは微かに頷くと、シーラに顔を向けた。 シーラの瞳が揺れた。 アルバーラが、全員の前に、黙ってカップを置いた。 ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ しばらくの沈黙の後、ゲンチアナが、口を開いた。 「シーラさん、私もお聞きしたい事があります」 「どうぞ」 「さっき、私、死ぬかもって思いました。死んだら両親に会えるかな、って。そうしたら……思い出した事があるんです」 「……思い出した事?」 「夢の中で、母は子守唄を歌います。歌詞の一部を私の名に変えて。……母は、私を、カユーナ、と呼ぶのです」 シーラは青ざめた。ゲンチアナは、シーラをまっすぐに見た。 「シーラさんの影は、アルバーラと、ウェイと、私に張り付いているのですよね? アルバーラとウェイを護るのは分かります。私を護って下さるのは、何故ですか?」 「それは……」 「答えは何となく分かります。自分でも信じられないけれど」 シーラは、ゲンチアナの前に跪いた。 「あなた様は、レ・ファ・カユーナ様です。30年前、あなた様のお父様、つまり先の国王陛下が、ラヌキの襲撃によってお亡くなりになったその時から、あなた様が国王陛下です」 アルバーラとウェイが息を呑んだ。ゲンチアナは静かに言った。 「30年前、何があったのか、教えて下さい」 (第19章に続く) 第19章 十三夜の昔話(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/062de89b 🌙 ~~ ✴︎ ~~ 🌙 ~~ ✴︎ ~~ 🌙 リレー小説に参加したい方は、第16章以降、枝分かれでお願いします。私は私で、第16章以降、結末まで書かせて頂きます。 詳細は、第15章のキャプションをご覧下さい。  ↓ https://nana-music.com/sounds/06276784 ★コミュニティあります! 「レファヌキ共和国 国立よろず相談所」 https://nana-music.com/communities/1196360 リレー小説用につくりましたが、小説以外のレファヌキサウンドや、外部リンクも、確認できる限り、こちらに格納しています。雑談や感想も大歓迎! よろしければ覗いて下さると嬉しいです! ーーーーーーー 🌖 ーーーーーーー 「レファヌキ共和国の物語」 企画:あーばー https://nana-music.com/users/6071144 https://twitter.com/__a__ba__lalala/status/1443880160004952067?s=21 音楽:aya.c「レファヌキ共和国の曲」 DTM:c https://nana-music.com/sounds/061ed505 フルート:aya(ふえふき) https://nana-music.com/sounds/061f301a リレー小説「レファヌキ共和国の物語」 書き手:清水はこべ・岬・ゑ・jU'''・香魚・(ゆぅ) https://nana-music.com/playlists/3686144 https://nana-music.com/playlists/3708915 リレー小説企画:清水はこべ(箱) https://nana-music.com/sounds/061f6d77 https://twitter.com/shimizu_hakobe/status/1444445773312057347?s=21 第1章 プロローグ(書き手:清水はこべ・岬) https://nana-music.com/sounds/061f6d77 第2章 狩猟月(書き手:ゑ。) https://nana-music.com/sounds/061f769a 第3章 祭り日(書き手:jU''') https://nana-music.com/sounds/061f7f32 第4章 新月前日のカフェ(書き手:香魚) https://nana-music.com/sounds/06495f44 https://nana-music.com/users/10478635 第5章 二日月の宵(書き手:清水はこべ・岬) https://nana-music.com/sounds/062051a0 第6章 静寂(書き手:(ゆぅ)) https://nana-music.com/sounds/0620ee31 第7章 隠された歴史(書き手:香魚) https://nana-music.com/sounds/06495f73 https://nana-music.com/users/10478635 第8章 三日月の夜(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/0621807c 第9章 半月の図書館(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/0621f763 第10章 半月の病院(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06227be6 第11章 半月の劇場・前編(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06251e3b 第12章 半月の劇場・後編(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06255a5a 第13章 十日夜の王宮(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06259ae8 第14章 十日夜の監獄(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/0625e153 第15章 十日夜の夢(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06276784 第16章 十三夜のテラス席(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06292959 第17章 十三夜の店内(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/062b0a2b 第18章 十三夜の親子(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/062c15dc 第19章 十三夜の昔話(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/062de89b 第20章 十三夜の歌い手(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/062fd07f 第21章 十三夜の雷(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06316bdd 第22章 満月前の監獄(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/0635136c 第23章 満月前の海岸(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06378303 第24章 満月のライブ(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/063acfed 第25章 満月の図書館(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/063e3f4f 第26章 満月の広場(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06419ade 第27章 満月の虹(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06445583 第28章 エピローグ(書き手:清水はこべ) https://nana-music.com/sounds/06492327 Special thanks プロローグ設定協力:岬 https://twitter.com/misaki_u_e?s=21 イラスト:たけねこ(第7章設定協力) (朝)https://nana-music.com/sounds/061fd48d (夜)https://nana-music.com/sounds/0620aecf ガイドブック(地理・歴史):蟹蟹クラブ(第8章設定協力) https://nana-music.com/sounds/0620ce61 「月の子守唄」:(ゆぅ)(第15章設定協力) https://nana-music.com/sounds/0624ae40 参考サイト アクラネカレンダー「満月カレンダー 2021年10月」 https://www.arachne.jp/onlinecalendar/mangetsu/ 暦生活「月の呼び名」 https://www.543life.com/moonname/ ーーーーーーー 🌘 ーーーーーーー 第17章のラストで、頭を抱えた方は、この第18章でも頭を抱えてしまうのかも……? と、思いつつ、私はほっとしてます。よ、ようやくここに辿り着いた。長かった……。 次回、第19章は、ひとつの山場(の筈)です!お楽しみに(して頂けると嬉しい)! 今回初めての試みとして、前章時点での登場人物紹介と、地名や用語の紹介を、キャプションの冒頭に、つけてみました。 次回以降もつけるかどうかは、皆さんの反応を見て考えます。(つけられなかったらごめんなさい) さて、この物語、ようやく最終章の初稿が上がりました! あああああ、長かった……! あとはひたすら、各話、削ったり足したり削ったり足したりして、校正頑張ります!!! 最終章は、今のところ第27章となる予定……です……が、……途中、長過ぎて2章へ分割を検討中の章もあるので、……もしかしたら章数増えるかも……(でも出来るだけ増やしたくない……)。 レファヌキ共和国、この物語以外にも、色んなコラボがあります! オリジナル曲や、絵や、ナレーション、ガイドブックに、国旗のコラボもあるんですよ! 是非、皆さんも、この素晴らしい国を探索して、楽しんでくださいね! ★プレイリスト「レファヌキ共和国の音楽と絵画」 https://nana-music.com/playlists/3684932 https://nana-music.com/playlists/3689849 https://nana-music.com/playlists/3744935 ーーー★ーーー ちなみに、私は、この物語以外にも、リレー小説をやっています。ご興味ある方は、のぞいて頂けると嬉しいです。 ★「旅芸人一座の物語」  https://nana-music.com/playlists/3601402  https://nana-music.com/sounds/061cd18e ★「影のないボクと灰色の猫」  https://note.com/smzhkb/n/n55d4322010ac  https://nana-music.com/sounds/05d87982 #cオリジナル #謎設定 #あーばーさんに感謝の箱 #cさんに感謝の箱 #あやさんに感謝の箱 #岬さんに感謝の箱 #ゑさんに感謝の箱 #じゅーさんに感謝の箱 #あゆちゃんに感謝の箱 #かっこゆさんに感謝の箱 #箱のよみもの #レファヌキ共和国 #レファヌキ共和国の物語

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