【小説】さかなの言葉(第6話)/海の時間
谷山浩子
つづきです。第6話🐟 フェリシモの「ミズクラゲの傘」を 買おうと思ってます。 1000円で買った傘が この前あまりに古びているのに気づいて 布にサビが着いて開けるのもギシギシで 思えば15年も使っているので 思い切って買い換えるのだ、と思い 「ミズクラゲの傘」です。 最高にごきげんな傘じゃないか! と思います。 そんな話はどうでもよくて、 本編に参ります。 素晴らしい演奏は にわとりのとさかさんです🐔 美しい演奏をありがとうございます🙇♀️ お読みくださりお聴きくださり ほんとにありがとうございます🙇♀️💕 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 🐟さかなの言葉 6 その夜、クラゲの夢を見た。 月の光が降る海の表面で、穏やか波に揺られながら私は“うをお” を探していた。 そばに浮かんだたくさんのクラゲたちの中に、きっと“うをお” がいるはずだ、と思ったのだが見つからない。 「うをお、うをお!」 呼べども答えはなく、ゆらゆら波面を揺蕩うだけ。どれもみんな同じ姿をして、みんな“うをお” に見えてくる。けれど、私には見つけられるはずだ。“うをお” は、世界にたったひとりなのだから…。 さらに呼べども呼べども答えはなく、もしかしたら、もう二度と逢えないかもと心が折れそうになった時、目の前に大きな闇が広がった。 「鯨だ、逃げろ!」 クラゲたちが叫びながら易々と鯨に呑まれていく。 あわや自分も足先から吸い込まれ、もうだめだ、私は死ぬんだ、“うをお” にも会えずに転生もできずに…… と思った瞬間、“うをお” に呼ばれた。 「みめ」 よかった、生きてた、やっぱりクラゲになっても逢える運命だったんだよ、と抱きついたら布団の上だった。 「魘されてたよ」 心配そうに顔を覗き込む“うをお” に、私は泣き顔で訴える。 「やっぱりクラゲにはなれないよ」 “うをお” が淋しく笑った時、遠くの空を切り裂くように鳥が鳴いた。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 【INDEX】 第1話 https://nana-music.com/sounds/0670fa42 第2話 https://nana-music.com/sounds/0670fa51 第3話 https://nana-music.com/sounds/067126f1 第4話 https://nana-music.com/sounds/06712707 第5話 https://nana-music.com/sounds/067152ed 第6話 https://nana-music.com/sounds/06715306 第7話 https://nana-music.com/sounds/06717f11 第8話 https://nana-music.com/sounds/0671ad81 第9話 https://nana-music.com/sounds/0671ad94 第10話 https://nana-music.com/sounds/0671dd93 最終話 https://nana-music.com/sounds/0671dda3 #うか小説 #うか谷山浩子
