【小説】さかなの言葉 (第2話)
谷山浩子
続きです。 今回はキャプション簡略化して 本編いきます。 ご了承ください🙇♀️ 開いてくださってありがとうございます💕 うをおの名前に“かっこ” が付いていますが これは、文中にくると紛らわしいので “ かっこ ” で区切りました。 深い意味はありません。 平仮名の名前が好きなもので…🙇♀️ キャプション簡略化と思ったけど追記… 実は、昨日あたりからコメント欄で ちょこちょこお話してたんですが 濃厚接触者となりまして 私は発症していないんですが(今のところ) 自宅待機になっています。 東京の感染者数がまた増えてきたので 皆様どうかお気をつけください。 私も感染対策して乗り切りたいと思います🏥 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 🐟 さかなの言葉 2 “うをお” は何をするでもなく、ただ居るだけだったけれど、それが自然な気がした。どこかに行きたいとは言わなかった。 病院や警察に……と言った時は激しく否定されて、以来何も言えなくなった。 一歩でも踏み込んで何か訊けば、“うをお” は途端に消えてしまいそうだった。 “うをお” は、とても静かで、食事もあまり摂らなかった。 そのかわり本を読みたがった。 私はタブレットを与え、電子書籍の読み方を教えた。それ以外にも、仕事帰りに図書館で貸出上限冊数の本を借りてきてやった。 そのうちに、“うをお” は少しずつ話すようになった。 と言っても、話すのは読んだ本のことで、彼自身のことは何日経っても、わからない。 わからなくてもいい気がした。 “うをお” が部屋にいて、静かに本を読むその細い体に寄り添っているだけで、自分が生きていることを赦されるような気持ちになる。 それは私が逃げてきた者だったからだ。 恋にも仕事にも行き詰まり、胸が潰れるような日々を放り出して、この海辺の町に来た。 私にはもう何も無かった。日銭を稼ぐような仕事と、ガランとしたアパートの一室。繰り返す単調な毎日。 土地には少しずつ慣れていったけれど、誰とも交わらず独りでいることで自分を守ってきた。 もう傷つかない、もう傷つきたくない。 けれど、私は “うをお” を迎え入れてしまった。 あぶない、と理性が警告していた。また溺れる。そしてまた傷つく。それでも心は止まらなかった。 私は乾いていたのだ。 “うをお” がいれば心が潤った。 細い腕の中は、心が落ち着いた。 海の果てでも見ているような目で私を見る、その視線にすがるようにして、潤いのある日々を、ようやく生き始めたところだったのに。 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 2022.10.19 デイリーランキング62位 ありがとうございました🙇♀️💕 ✼••┈┈••✼••┈┈••✼ 【INDEX】 第1話 https://nana-music.com/sounds/0670fa42 第2話 https://nana-music.com/sounds/0670fa51 第3話 https://nana-music.com/sounds/067126f1 第4話 https://nana-music.com/sounds/06712707 第5話 https://nana-music.com/sounds/067152ed 第6話 https://nana-music.com/sounds/06715306 第7話 https://nana-music.com/sounds/06717f11 第8話 https://nana-music.com/sounds/0671ad81 第9話 https://nana-music.com/sounds/0671ad94 第10話 https://nana-music.com/sounds/0671dd93 最終話 https://nana-music.com/sounds/0671dda3 #うか小説 #うか谷山浩子
