nana

182
36
コメント数14
0

毎度おなじみ…ではないですが 昨年にフレンドさんでいてくださった方は 「またアレをやるのか!」と思われるかも😅 ……やります (ง •̀_•́)ง✨ 昨年は、「カントリーガール」をもとに、 2つのバージョンの小説を書きました。 もしご興味のある方がいらっしゃったら、 文末にindexを載せましたので、 お楽しみくださいましたら幸いです。 ですが、やはり文章を読むのはちょっとね… という方もいらっしゃると思います。 nanaは音楽アプリなので、それが当然と言えば 当然なんですが、私はちょっと変わり種で😅💦 ついこんな企画を立ててしまうのです。 でもでも、どうかお気遣いなく! スルーしてくださっても 全くかまいません😊 新年早々遅れに遅れておりますが、 フレンドさんのタイムラインは ちょっとずつ遡り楽しませていただいています。 遅れに遅れた返信等、早く取り戻さねば と思いつつ、こんなことしててすみません😅💦 そんなわけで(いや、どんなわけやねん💦) 今回予定は全3話。 「ここは春の国」海のかおりだだよう ボーイミーツガール・ストーリーを お届けしたいと思います🐟 登場人物は、前回と同じく ヒロコとヒロキです😊🎶 ____________✍ 谷山曲連続妄想小説 「ここは 春の国」 作・城村優歌 久しぶりに海に来ました。 初春の海に行くと、 いつも思い出す男の子がいます。 あれはたしか、小学校四年生の頃… 自分でも夢だったのか現実だったのか よくわからない思い出です。 たった二日間、それも短い時間の出逢いなのに、 一生残る想い出になるなんて。 私はまだ、どこかで彼に出逢えないか 心のすみっこで願っているのです。 * 小学四年生の私は、 ある海辺の街に住んでいました。 家は自営業で、漁協に機械を卸す 商売をしていました。 父はよく漁協に配達に行く時に、 私を海岸に遊びに連れて行ってくれました。 当時は本当にのどかで、 子どもがひとりで近所の海岸で遊んでいても 危ない目にあったりはしなかったのです。 「ヒロコ、海、行くか」 その日も父は、私を助手席に乗せて 配達にでかけました。 海の近くに来ると、私はうれしくて 助手席で足をバタバタさせました。 「ヒロコは、ほんとに海が好きだな」 「うん。波の音って安心するんだよ、おとうさん」 「そういえば、この前、おばあちゃんに 海の俳句を教えてもらったんだって」 おばあちゃんは俳画教室の先生です。 私は時々、おばあちゃんから俳句と俳画を 習っていました。 「うん、あのね、おもしろい俳句なんだよ。 のたのた言うの」 「のたのた? ああ、蕪村だな。 ちゃんと覚えてるかい?」 「言えるよ。はるのうみ、ひねもす… ひねもす、のたりのたりかな! いい句だね、おとうさん」 わかって言ってるのかねぇと、 ハンドルを握る父が笑いました。 「さあ、30分くらいで済むから、 ここで遊んで待っておいで」 私は車から降りて、父に手を振りました。 わずかながらの砂浜のある、 いつも波の穏やかな小さな入江です。 入江の端が、漁協のある港になっているので、 仕事をしている父からは私が見えているのでした。 勝手知ったる私は、堤防の階段を降りて 砂浜に駆け出しました。 貝殻に木の枝、小石にガラス石、 水と砂は無尽蔵。 カニやフナムシ、打ち上げられた海藻。 一日中だって遊んでいられる。 私はすぐに貝殻を探し始めました。 白くなったアサリ、渦巻きの小さいの、 桜貝は小さくても宝物です。 角の丸いガラス石も大切に持って帰ります。 「あ、桜貝あったぁ」 と、ひとり声をあげた時でした。 背後に人の気配を感じて振り向くと 背の高い痩せた少年が立っていました。 学校でも近所でも見かけない子です。 「こんにちは」 とりあえず声をかけましたが、 黙ってこちらを見るだけです。 「どこ小? このへんの子?」 尋ねると、少年はわずかに唇を引き締めました。 「私、貝殻拾ってたの。散歩に来たの?」 すると、少年は黙ってしゃがむと 両手のひらで砂を集めて山を作り始めました。 小さな砂の山ができると、 木の枝を真ん中に刺して私を見上げました。 私は顔を輝かせて、砂山のふもとの砂を そっと手で崩しました。 棒倒しは、ふたりいないとつまらない遊びです。 私は少年が遊びに誘ってくれたのが嬉しくて、 黙って砂山を少しずつ崩していきました。 勝負がつくと、ふたりで黙って貝を拾い、 砂浜の端まで行って岩場でカニを探しました。 黙っていても楽しい。 変わった子だなぁと思いながら、 岩場で見つけたヤドカリを 水たまりに集めていると、 少年が初めて声を出しました。 「かくれんぼしよう」 いいよ、と頷くより先に 「君が鬼」と少年が言いました。 いつもなら「なんでよ、じゃんけんしよう」と 言い返すところですが、少年にはどこか 自然に人をそうさせてしまうようなところがありました。 そこで、私はおとなしくその場にしゃがみ、 両手で目を塞ぎました。 いーち、にーぃ、さーん… 10まで数えたところで ふわっと風が私の頬を撫でました。 あまり長く数えてるのが不安になってきて、 20まで数えて顔を上げようとした時、 堤防のほうから父の声が聞こえました。 「おおい、帰るぞー」 私はハッとして岩場から立ち上がり、 あたりを見回しました。 少年の姿はどこにも見当たりません。 だいたい砂浜に隠れるところなんて あるはずがないのです。 「おとうさん、男の子見なかった? 一緒に遊んでたんだけど」 「さぁ…いなかったなぁ。 帰ってしまったんじゃないかい」 私は気持ちを残したまま、 車に乗り込みました。 車の中から何度も振り返り、 砂浜を探しましたが、 少年の姿はどこにも見つかりません。 〈つづく〉 ____________✍ 長々とお読みくださり、 ありがとうございます🙇‍♀️ いつもながら素晴らしい演奏は にわとりのとさかさん🐔です。 こんなことしてるのも フレンドさんのなかでは 自分くらいかなぁ…すみません💦 よろしければ、続きもお付き合いください。 よろしくお願いします🐾 ____________✍ 🔹INDEX🔹 妄想ドラマ小説「カントリーガール」 🔹第1弾🐔 ・第1話 https://nana-music.com/sounds/0538b593 ・第2話 https://nana-music.com/sounds/0538b59f ・第3話 https://nana-music.com/sounds/05391486 ・第4話 https://nana-music.com/sounds/05391489 🔸第2弾🍳 ・第1話 https://nana-music.com/sounds/0542e620 ・第2話 https://nana-music.com/sounds/05433d4d ・第3話 https://nana-music.com/sounds/05439abe ・第4話 https://nana-music.com/sounds/0543f2a8 ・第5話 https://nana-music.com/sounds/0543f2b3 #うか谷山浩子 #nana文芸部 #うか小説

partnerパートナー広告
UTAO
14コメント
ロード中