カントリーガール【2】

谷山浩子

🌟カントリーガール妄想ドラマ小説 第2弾　第2話。 ようこそ、お越しくださいました。 連続妄想ドラマ小説 「カントリーガール」スタート🎬✨ （INDEXはキャプション末にあります） ★……☆……★……☆……★…… 台所から少女の鼻歌が聞こえる。 小鳥が舞うように、 甲斐甲斐しく家事をしながら。 亡き妻も歌が好きだった。 しかし、少女が嬉しそうに歌うのは、 私の担当編集者が来ているからだろう。 彼は、編集者ながらに ミュージシャン志望 という変わり者だ。 出版社に勤めながら、 アマチュアで活動し、 デビューの目算あれば すぐに辞めると言う。 曲も作れば歌詞も書く。 文学に造詣が深いかと言えば そうでもないが、センスはある。 彼は見目もよく愛想もいい。 何しろ若く声がいい。歌がうまい。 彼女は会うとたちまち彼に惚れ込んだ。 言わずともわかる。 彼を前にすると、 その瞳は輝きを増し、 声がワントーン上がるのだ。 嗚呼、少女の心の移ろい易さよ。 この間まで私を見上げた瞳で、 衒いもなく青年を見上げる。 それからしばらくして、 彼は担当を外れた。 新しい担当に聞けば、 念願のメジャーデビューを 果たしたという。 彼が来なくなって、 少女は寂しがると思いきや、 そうではなかった。 胸に青い封筒を押し抱き、 春を悦ぶ小鳥のように歌う。 その歌を聞いて驚いた。 それは、私が妻に贈った あの詩だったからだ。 彼女は誇らしそうに、 私に封筒を開いて中の手紙を見せる。 そこには私ではない筆跡で書かれた 私の詩があった。 デビュー曲の歌詞を書いて、 手渡してくれたのだという。 「君だけに打ち明けたいんだ」 と言って。 なんということだ。 少女の口から、私の詩が 歌となって流れ出す。 「カントリーガール 君の目の中で夕焼けが燃える カントリーガール 君の微笑みは草原のにおいがする 好きだよ」 ……★……☆……★……☆……★…… お読みくださり、お聴きくださり、 ありがとうございます🙇‍♀️💕 コメントのお返事が追いついていなくて 申し訳ありませんが、 この企画は毎日更新とさせていただきます。 なかなかに慌ただしい。 あっという間に5話になってしまいそうです。 よろしくお付き合いくださいませ🙇‍♀️ 明日は第3話。 スペシャルなサウンドで お送りします。 お楽しみに！ ……★……☆……★……☆……★…… 🔹INDEX🔹 妄想ドラマ小説「カントリーガール」 🔹第1弾🐔 ・第1話 https://nana-music.com/sounds/0538b593 ・第2話 https://nana-music.com/sounds/0538b59f ・第3話 https://nana-music.com/sounds/05391486 ・第4話 https://nana-music.com/sounds/05391489 🔸第2弾🍳 ・第1話 https://nana-music.com/sounds/0542e620 ・第2話 https://nana-music.com/sounds/05433d4d ・第3話 https://nana-music.com/sounds/05439abe ・第4話 https://nana-music.com/sounds/0543f2a8 ・第5話 https://nana-music.com/sounds/0543f2b3 #nana文芸部　#うか谷山浩子　#うかしろみ　#うか小説