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WATER〈vo.エリス羽衣〉【旅芸人一座の物語〜第25話】
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——旅芸人一座の物語、第25話。3年近く前のエリスさんのコーラスリクエストに、こんな形で応えました。  こんばんは。清水はこべ(箱)です。  小説と、コーラスのコラボです。遊佐未森さんの楽曲に、旅芸人一座の物語を載せました。今回の主役は伯爵の娘、アコベールです。  コーラスはパン振りで多重しています。イヤフォン等で聴いていただけると嬉しいです。  ★・「旅芸人一座の物語」とは・★  エリス羽衣さん企画のリレー小説。書き手はエリスさんと私のふたりです。歌と物語を合わせて、nanaに不定期連載しています。  今回の物語は、前回投稿、第24話の続きになります。第23話とも関連が深い話ですので、合わせてお読み頂くと、より楽しめると思います。  第23話「夜明けの足跡」  https://nana-music.com/sounds/06c374b2  第24話「レンズ|M氏の幸福」  https://nana-music.com/sounds/06c3f96a  ★・・・音楽について・・・★  遊佐未森さん作詞作曲の美しい楽曲。未森さんのライブでは、定番の一曲です。  前回投稿の第24話に引き続き、なおはっぷさん(なおがれさん)演奏、エリスさんボーカル、私コーラスです。  コラボ元のサウンドは、3年近く前のモノラルのサウンドです。その後、なおはっぷさんがステレオ伴奏をお出しになり、私は2年前に、ステレオ版でエアハモを作っています。  今回のコーラスは、前半は、モノラル版のアレンジに合わせた新録です。後半は、2年前の音源を重ねました。  実は、エリスさんからは、以前よりコーラスのリクエストを頂いていたのですが、ずっとお約束を果たせず、今回、ようやくご一緒出来ました。  なおはっぷさん、エリスさん、私にとって大切なサウンドになりました。沢山遊ばせてくださり、ありがとうございます。    ★2年前のエアハモ、3種類あります。  ①間奏コーラス無し=原曲に近いアレンジ   https://nana-music.com/sounds/066f1c39  ②間奏コーラスフル=ライブ版に近いアレンジ   https://nana-music.com/sounds/066f1c75   ✴︎今回のコーラスの後半は、こちらの音源です。  ③エアハモ②を加工、間奏も歌って下さる方用   https://nana-music.com/sounds/066fafd9  ★私のボーカル入り(ステレオ版)   https://nana-music.com/sounds/066f311b  ★・・・お詫びと御礼・・・★  腱鞘炎のご心配を下さった皆さん、ありがとうございます。完治はしていませんが、回復傾向です。  今回の初稿は2年前に出来ていました。加筆修正は、先月より開始しましたが、無理せず、時間をかけておりますので、ご安心ください。  コメント返信は、最近再開しましたが、半年ほど遅れています。創作・投稿を優先で、無理ない範囲でお返事します。ご容赦頂けると幸いです。  ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★  以下、読み物を掲載します。【長文注意】 ※文章の無断転載はなさらないで下さいね。 ※小説にコラボをお考えの方は、ご相談下さい(キャプション表記でお願い事項あり)。(絵師さんゆるく募集中!) ※登場人物は全て架空の存在です。nanaのフレンドさんからお名前を頂いているケースもありますが、性格その他、全て創作で、ご本人とは別の存在です。  ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★  【旅芸人一座の物語】  企画:エリス羽衣  書き手:エリス羽衣・清水はこべ(箱)  ★まとめ読みプレイリスト  ① https://nana-music.com/playlists/3601402  ② https://nana-music.com/playlists/3730970  ★時系列順まとめページ  https://nana-music.com/sounds/061cd18e  ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★  第25話「WATER」  書き手:清水はこべ(箱)  ボーカル:エリス羽衣  コーラス:清水はこべ(箱)  ★これまでのあらすじ  王宮に招かれた旅芸人一座。その実態は、王宮の秘密を探る諜報集団。  何も知らない、貴族の少女アコベールは、一座の歌姫エリージャの歌に魅了され、エリージャもまた、アコベールの無邪気さに癒される。  一座が王宮を去る日、馬車の荷台に隠れて、こっそりエリージャについて行こうとしたアコベールだったが、すぐに見つかり、王宮へ帰される事に。  一頭の馬に乗り、王宮を目指すエリージャとアコベールが見たものは、炎に包まれたアコベールの屋敷だった。  炎を逃れた二人は、老医師ミムルドの元を訪れる。ミムルドは、アコベールの後ろ盾になる事を約束。  一座に戻ったエリージャは、座長のジェイから、「放火の犯人は一座」という噂が流れている事を知らされる。  一座の汚名を晴らすため、ジェイは、ミムルドの元へ向かうが、途中でみぞおちの痛みに襲われ、落馬。右足を負傷してしまう。  それから数日後、アコベールは水汲みに出掛け、ミムルドの元には、一頭の馬が辿り着く。背中に鞍を乗せた馬は、どうやら主人とはぐれた様子だが……  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  泉の前で、アコベールは深呼吸した。  水面を渡る風が心地良い。足元では、銀猫のウーカが毛づくろいをしている。  水汲みはアコベールの日課だ。ミムルドは、料理によって、井戸の水と泉の水を使い分ける。  「ねえ、ウーカ、同じ水なのに、井戸の水と泉の水の味が、全然違うのは何故かしらね?」  アコベールは、柄杓で水桶に水を汲みながら、ウーカに話しかけた。ウーカはアコベールに身を擦り寄せた。  が。突然、ウーカは、アコベールに背中を向けると、耳を立てて、尻尾を膨らませた。  「どうしたの?」  ウーカの視線の先にあるのは、草の茂みだ。突然、ウーカはその茂みに飛び込み、姿が見えなくなった。  「ウーカ!」  アコベールは柄杓を放り出し、ウーカの後を追った。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  「にゃあうう」  アコベールは、ウーカの声のする方向へ向かい、そして、足を止めた。  茂みの中に、男が倒れている。  ウーカは体の毛を逆立て、男を睨んでいる。アコベールは、ウーカを抱き上げ、恐る恐る男の顔を見た。  「……座長さん?」  倒れているのは、旅芸人一座の座長だった。  ——ただ聴きのお客様はお断りしています。エリージャに送らせますから、お城にお戻り下さい。  荷台に隠れていたアコベールに、きっぱりと告げた人物だ。口調は優しげだったが、有無を言わせない迫力があった。  何故、こんな所に居るのだろう。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  誰かに呼ばれた気がして、ジェイは目を覚ました。  捻挫の右足を引きずりながら、何日歩いただろう。  ミムルドの屋敷まであと少しというところで、再び、みぞおちの激しい痛みに襲われた。草の茂みに倒れ込んで、七転八倒している内に、気を失ったらしい。  「……大丈夫ですか?」  不意に声を掛けられた。  銀猫を抱いた少女が、自分を覗き込んでいる。ジェイはその顔に見覚えがあった。  「アコベール・ステラリア……」  ステラリア伯爵家の一人娘。一座の汚名を晴らす鍵となる少女。  アコベールは目を丸くした。  「座長さん、私の名前を知っていらしたのですね」  弾んだ声で、無邪気に笑う少女に、ジェイは咄嗟に言葉を返せなかった。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  座長は呆気に取られた様子で、黙り込んでいる。  続く沈黙に、アコベールが不安になった頃、座長は慌てたように半身を起こし、笑顔を見せた。  「失礼しました。存じてますよ。アコベール様が、ミムルド先生の元にいらっしゃる事もね。実は、私も、先生の所に伺う途中でして」  「ミムルド様の所に?」  「ええ。とっくに着いている筈だったんですが、情けない事に落馬しましてね」  「座長さん、血が!」  アコベールは思わず叫んだ。座長の右足首には大きな擦り傷があった。  「ああ、ここに倒れた時に、少し擦りむきまして」  「ちょっと待ってて下さい。ウーカ、ここに居てね」  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  アコベールは泉へ引き返した。放り出した柄杓の側に生えていた草の葉を何枚か摘み、柄杓に水を汲んで、再び座長の元へ向かう。  「私、初めて包丁を触った時に、指を少し切ってしまって、ミムルド様に、この薬草で手当てして頂いたんです」  「いや、傷は大した事が無いので……」  「じっとしてて」  アコベールは柄杓の水で傷口を洗い、薬草を傷に重ね、そのまま手で薬草ごと傷口を包んだ。  ——お嬢ちゃんのお遊びに付き合わされるのか。  ジェイは内心で溜息をついた。  擦り傷など、放っておいても治る。血止めの薬草を当ててもらったところで、捻挫は治らない。  だが、アコベールの様子は、ジェイに口を挟ませなかった。ジェイは諦めて、彼女の気の済むようにさせる事にした。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  ——痛いの、痛いの、飛んでいけ。  傷口に手を当てながら、アコベールは、乳母を思い出した。火事で亡くなった、大好きな「ばあや」の事を。  屋敷の探検で、擦り傷を作ると、ばあやが薬を塗って、おまじないをしてくれた。貴族の娘らしからぬ振る舞いを嫌う両親には、見つからないように、こっそりと。  ——お嬢様、無茶はしないでくださいよ。お嬢様に何かあったら、私はこのお屋敷を、おいとましなくちゃいけませんからね。  ばあやはいつもそう言って、片目をつぶる。  ふたりだけの秘密の時間。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  「痛いの、痛いの、飛んでいけ」  アコベールは、無意識に、ばあやのおまじないを呟いていた。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  「痛いの、痛いの、飛んでいけ」  時間が過ぎるのを待っていたジェイは、アコベールの発した言葉に、ぎょっとした。  ——ジェイ、いつものおまじないをしてくれる?  遠い日々の記憶が、ジェイに押し寄せる。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  どのくらい時間が経っただろうか。  「よかった! 血が止まりましたね」  アコベールの言葉に、ジェイは、はっとした。右足首に視線を落とす。  傷口は、跡形も無く消えていた。  「歩けますか? 歩けないようだったら、ミムルド様をここへお連れします」  「……いや、大丈夫そうだ」  ジェイはゆっくり立ち上がる。捻挫の痛みも、嘘のように消えている。  「良かった! じゃあ、ミムルド様のところへご案内しますね」  無邪気に笑うアコベールと、訝し気なジェイを、銀猫のウーカが見つめていた。  ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★  ★続きの章の投稿は、コメント一斉通知や、リポスト等でお知らせします(通知をご希望の方は、コメント頂けると嬉しいです)。  ★投稿順続き  第26話「M氏の幸福|はちあわせのメッカ」  https://nana-music.com/sounds/06c581ff  ★時系列続き(2024年10月6日時点)  第26話「M氏の幸福|はちあわせのメッカ」  https://nana-music.com/sounds/06c581ff  ★・・・あとがき・・・★  第23話のあとがきにも書きましたが、2年前に、この物語の執筆が中断したのは、父が亡くなったのが原因でした。  闘病生活は長く、医師の宣告もあったので、覚悟はしていたのですが、やはり直後は、書くことも歌うことも出来ず、nanaもしばらくお休みしていました。  ようやく少し歌える気力が戻ってきたところで、nanaに復帰して、初めてちゃんと歌った歌が、ステレオ版のこの楽曲でした。今回の後半のコーラスは、その時のものです。  エリスさんにリクエストを頂いていたのに、申し訳ないなと思いながら、でも、あの時の私は、この歌を歌う事で救われたのでした。  2年が経ち、あの時のコーラスで、止まっていた物語を前に進められるのは、私にとって、大きな意味のある事です。なおはっぷさんとエリスさんに、もう一度お礼を言わせてください。心からありがとうございます。  さて、湿っぽい話はこのくらいにしておきます。物語を進めなくては。  この続きは3話分、初稿が上がっています。校正はこれからなので、少し時間が空くかもしれませんが、腱鞘炎と付き合いながら、少しずつ出していきます。  あとがきまで読んで下さった方、本当にありがとうございます。よろしければ、またお目にかかれます様に。  ✴︎ーーー★ーーー✴︎  「WATER」  【旅芸人一座の物語〜第25話】  ★音楽  遊佐未森「WATER」  JASRAC:082-1143-4  作詞:遊佐未森  作曲:遊佐未森  原曲歌唱:遊佐未森  演奏:なおはっぷ  ボーカル:エリス羽衣  コーラス:清水はこべ(箱)  ★読み物  「旅芸人一座の物語」  企画:エリス羽衣  https://nana-music.com/sounds/05fd857f  書き手:エリス羽衣・清水はこべ(箱)  (第25話書き手:清水はこべ(箱)) #iPadオンリー伴奏 #なおはっぷさんとエリス #エリス2022の01 #エリス遊佐未森 #旅芸人一座の物語 #なおはっぷさんに感謝の箱 #エリスさんに感謝の箱 #箱の中の遊佐未森さん #箱のこーらす #箱のよみもの

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