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Rapturous Blue【王宮風】|O'Carolan's Welcome【旅芸人一座の物語〜第4話】
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ひょんな事から、nanaでリレー小説が始まりました。 物語をイメージして歌い、1シーンを読み物としてキャプションに記載します。 企画はelithさんです。elithさんのサウンドのキャプションの一言から、コメント欄で物語が展開し、やりとりを続ける内に、elithさんと私のリレー小説に発展しました! このサウンドに掲載しているのは、第4話です。第1話から第3話は、elithさんのところにあるので、ご興味ある方は是非!(キャプションとコメント欄、両方読んで頂くとより楽しめるかも!) 物語は、王宮に招かれた旅芸人一座のお話です。スリルとサスペンスに彩られた活劇長編……に、なるの……かな?? 物語の展開が予測出来ないのは、リレー小説ならでは! ふたりそれぞれ、書きたいところから書きたいように進めているので、どんなお話になるのか、我々も楽しみです! 密かに、絵師さんゆるく募集中です。画像コラボしてくださる方がいらしたら、ふたりとも、小躍りして喜びます!!! 歌は、ポケットビスケッツの「Rapturous Blue」です。名曲ですが、nanaには伴奏が無いんですよね……。 今回は、ケルト音楽「O'Carolan's Welcome」に乗せて、マッシュアップで歌いました。ギターはbananacoffeeさん、フルートはayaさんです。 強引に載せているので、Bメロは省略、歌詞も物語に合いそうな箇所を抜粋して歌っています。リズムもキーも原曲とは違いますが、物語の世界観には合ってる……かな? bananacoffeeさん、ayaさん、華やかで美しいサウンドをありがとうございます。 以下、読み物を掲載します。長文ですので、ご興味無い方は、飛ばして下さいね。 ※文章の無断転載はなさらないで下さいね。 ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ 【旅芸人一座の物語】 企画:elith 書き手:elith・清水はこべ(箱) 第1話「Lemon【王宮風】」書き手・歌唱:elith https://nana-music.com/sounds/05f4a4a0 第2話「Lemon【-2】」書き手・歌唱:elith https://nana-music.com/sounds/05fbd904 第3話「天体観測」書き手・歌唱:elith https://nana-music.com/sounds/05fd857f ★まとめ読みプレイリスト ① https://nana-music.com/playlists/3601402https://nana-music.com/playlists/3730970 ★時系列順まとめページ(elithさん作成) https://nana-music.com/sounds/061cd18e ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ 第4話「Rapturous Blue」 書き手・歌唱:清水はこべ(箱) ★これまでのあらすじ 王宮に招かれた旅芸人一座。その実態は、王宮の秘密を探る諜報集団。 その事を知らない、貴族の少女アコベールは、一座の歌姫エリージャの歌に魅了される。 歌を教えてほしいと、エリージャにせがむアコベール。戸惑いながらも、アコベールの無邪気さを微笑ましく思うエリージャ。 一座が王宮を去る日、馬車の荷台に隠れて、こっそりエリージャについて行こうとしたアコベールだったが、すぐに見つかり、王宮へ帰される事に。 一頭の馬に乗り、王宮を目指すエリージャとアコベールは、道中で、異変に気がつく。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 「声を出してはいけませんよ」 姐様は静かに言った。 声なんか、出てこない。だって。 城が燃えている。 黒い煙を上げて、私の屋敷が炎に包まれている。 お父様とお母様は? ばあやは? みんなは? 声にならない。全力で走る馬の上で、ただ、姐様の背中にしがみつくだけ。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 屋敷の裏手の森には、まだ火が回っていない。 エリージャは、馬の歩みを緩めた。雲を観察し、風の音に耳を澄ます。 ——しばらく、風向きはこのままね。 更に耳をそばだてる。一座で随一の歌い手であるエリージャの、類まれな聴力は、周辺に人の気配が無い事を察知する。 ここならしばらくは安全だ。木陰に馬をとめ、少女——アコベールに語りかける。 「ここに居て下さい。すぐに戻ります」 「姐様、どちらへ?」 「蔵へ。あなたの身を護るものがあるはず」 「私も行きます!」 「いいえ。あなたのお父様もお母様も、お仕えの皆さんも、もうお屋敷にはいらっしゃいませんよ。火を逃れて、何処かへ行かれたはず」 ——生きていれば。 そのひとことを、エリージャは胸の内だけで呟く。 「いいえ! 蔵の事は、姐様よりも私の方が、詳しいもの! ……お願い。ひとりにしないで」 アコベールは、強い瞳をエリージャに向けた。 ——ああ、十年前のあの日、私も同じ瞳をしていた。 ため息をひとつ吐いた後、エリージャはアコベールの手を取った。 「急いで蔵に行って、風向きが変わる前に、ここへ戻ります。早くしないと、私たちはふたりとも死にますよ。他の場所に入る時間はありません。いいですね」 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 「姐様、これは?」 「武器は要りません。あなたには扱えないでしょう」 「これは?」 「装飾品も不要です」 「何が必要なの?」 「情報です。何か書き付けのようなものがあれば」 そう、情報。座長に、どうしてもアコベールを護りたい、と、思わせる何か。 座長の価値基準は、「一座の益になるかどうか」だけだ。このままアコベールを連れて帰る訳にはいかない。一座の益にならないと判断されたら、アコベールの命さえ危うい。 「書き付け? お父様の書棚はこちらよ」 小さな書棚には扉が付いていて、鍵が掛かっていた。 「少し耳を塞いでいて」 訝しげなアコベールが耳を塞いだのを確認して、エリージャは、書棚の扉の硝子に声をぶつけた。硝子は砕け、床に散った。 「姐様……すごい!」 書棚に並べられた封書を手に取ろうとして、エリージャの手が止まった。 ——この印は! 「姐様?」 エリージャの記憶が渦巻く。立っていられない。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 十年前、炎に包まれたエリージャの屋敷。悲鳴と怒号。エリージャの背中を焼いた火の熱さ。 ひとり生き延びたエリージャは、出自を捨て、歌い手となった。 一座の情報網を利用し、何年もかけて、エリージャが手に入れたのは、廃墟となった屋敷に残されていた馬の鎧だった。 エリージャの家の家紋と異なる印の入った鎧。 一座の情報網を持ってしても、どこの家の物か、或いは、何処の組織の物か、全く分からなかった。 書棚に見つけた封書に刻まれた印は、鐙の印と同じ物だった。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 「姐様、姐様、しっかりして!」 アコベールの叫び声で、エリージャは我に返った。 「ああ、ごめんなさい。大丈夫よ」 アコベールはまっすぐにエリージャを覗き込んでいる。 ——この子の父が……。 「姐様……!良かった……!」 アコベールの瞳が揺れて、涙が溢れ出した。 「……私には、……もう、姐様しか……」 そのままアコベールは、エリージャの懐に飛び込んで、ほえるように泣き出した。 エリージャは、反射的にアコベールを抱きしめた。アコベールの涙で、胸が冷たい。 ——考えるのは、後だ。煙の匂いが強くなっている。そろそろ風向きが変わる。 「もうすぐここにも火が来ます。急いで離れなくては」 しゃくり上げながら、アコベールは頷いた。 ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ ★続きはこちらです! 第5話「M氏の幸福」 歌唱:elith 書き手・コーラス:清水はこべ(箱) https://nana-music.com/sounds/060c0969 ★コラボ元サウンドのayaさんとも、以前にTwitterのひとことをきっかけに、リレー小説を展開した事があります!気になる方は、こちらもどうぞ! 「影のないボクと灰色の猫」 https://note.com/smzhkb/m/mebb00585fa7f ✴︎ーーー★ーーー✴︎ Rapturous Blue【王宮風】|O'Carolan's Welcome 【旅芸人一座の物語〜第4話】 ★音楽 「O'Carolan's Welcome」 作曲:Turlough O'Carolan(1670ー1738) ギター:bananacoffee https://nana-music.com/sounds/01065ab4 フルート:aya(ふえふき) https://nana-music.com/sounds/02ff1d4c ★歌 ピケットビスケッツ「Rapturous Blue」 作詞:CHIAKI & ポケットビスケッツ 作曲:パッパラー河合 原曲歌唱:千秋(ポケットビスケッツ) 歌唱・コーラス:清水はこべ(箱) ★読み物 「旅芸人一座の物語」 企画:elith https://nana-music.com/sounds/05fd857f 書き手:elith・清水はこべ(箱) (第4話書き手:清水はこべ(箱)) #旅芸人一座の物語 #箱のよみもの #箱のまっしゅあっぷ #箱の中のはやりうた #エリスさんに感謝の箱 #あやさんに感謝の箱 #bananacoffeeさんに感謝の箱

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