谺、碧海、那由多を見定むアグラフォノスの詩篇
⛰️オホツチ🌊ワダツミ
谺、碧海、那由多を見定むアグラフォノスの詩篇
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プロローグ「西の国 カガチ島」
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かつてこの世には混沌があった。
その中に浮かぶ大陸は、混沌に押し流され生命が息づくことが出来なかった。しかし、神は混沌を天と地と海にお分けになり、大陸に息を吹きかけ植物をおつくりになった。そして自らの身を切り分けて生き物と人間をおつくりになった。
しかし混沌の中に棲んでいた大蛇はこれを良しとせず大陸を死と血で汚そうとした。神は三日三晩大蛇と戦い、倒された災厄の大蛇は海に沈み島となった。これが我々が住まうカガチ島である。
「──っておばばが言ってたけれど、オホツチはどう思う?僕は信じられないわ。だってこの島が蛇だったって言うなら、ものすごく大きい蛇だったってことになるじゃない」
「ものすごく大きい蛇だったってことになるね。でも一概には否定できないかもしれないな。「大地の傷跡」だって昔とある魔女があけたと言われているって本で読んだことがあるし、昔は常識を外れた存在が居たのかもしれないよ」
「なるほど、昔は常識を外れた存在が居たのかもしれないのね。相変わらずオホツチは物知りね」
ある昼下がり。二人は村長であるおばばに呼ばれ丘の上の集会所へ向かっていた。
道中、いつも通り好奇心旺盛なワダツミが、本が好きなオホツチを質問責めにしていた。オホツチとワダツミはカガチ島に住んでいる魔女で、どこへ行くのも一緒の仲の良い双子だ。夜の海のような深い色合いの黒髪と、島では珍しい鉱石のように輝く金色の瞳は写し鏡のように瓜二つである。しかし2人が浮かべている表情は全く異なり、島の住人ならば誰もがニコニコと笑顔で話し続けているのがワダツミで、大人びた表情で質問に答えているのがオホツチだと分かることだろう。
やがて二人が集会所に着くと、そこにはおばばを初めとする村の長老たちが集まっていた。その様子に2人は不思議そうに首を傾げた。
「おばば、私たちに何の用かな」
「何の用かしら。僕も心当たりがないわ」
「お前たちを呼んだのは他でもない、そろそろお前たちも15の歳を迎えるじゃろう」
その言葉にワダツミは目を輝かせ、オホツチはため息をつくという正反対の表情を見せた。
「島の外に出れるってことね!」
「島の外に出なきゃいけないってことか」
「オホツチは島の外に出たくないの?」
「島の外に出たくないね。今の生活に満足してるのにわざわざ島の外に行く必要を感じない」
「行く必要を感じなくても、行かないといけないのよ。ねぇおばば?」
「その通りじゃ。この島がかつて世界を壊そうとした災いの大蛇だったと言われているのはお前たちも知っておるじゃろう」
道中ちょうどその話をしていた2人は、おばばの言葉にすぐ頷いた。
「その後、神は魔力(マナ)のバランスが崩れまた大蛇のような災厄が訪れぬよう、一部の人間に魔力を与え魔女にしたと言われておる。神の伝説はもはや大陸では忘れられつつあるが、我々はこの島に住まうものとして魔力の均衡を見守り続けなければならんのじゃ」
そう言いつつおばばは1枚の紙を渡してくる。2人がそれを開くとそれは真ん中に穴の空いた大陸、ハルモスフィア大陸が描かれていた。
「故に人間より強い魔力を持つ魔女は、魔法をより正しく使うために4つの国を巡り見聞を広めねばならないのじゃよ」
「島の外の知識を学んで、判断力を鍛えてこれば良いってことか」
「島の外の知識を学んで、判断力を鍛えるなんてなんだか難しそうね」
「いや。知識を深めることは必要じゃが、この島に戻ることは義務では無い。お前たちが旅をしていくなかで他の生き方を見つけたなら好きに生きるといい。ただし魔法は正しく使うんだよ」
その言葉に2人は目を瞬かせ、顔を見合わせる。
「島に戻らないなんて……そんなことがあるのかな?何だか不思議な感じだ」
「そんなことがあるのかしら?何だかワクワクするわね」
そして15の歳を迎えた日、2人は船に乗り込み生まれ故郷に別れを告げた。オホツチは不安を、ワダツミは期待を胸に抱えながら……。
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⛰️オホツチ (cv.ゆん)
🌊ワダツミ (cv.中条瑠乃)
🌊開かれしは 御伽話
旅立ちをば 奏姫(かなめ)は告ぐ
遥か遠く 大海原(わたのはら)に
童子(わらべ)は何想ふ
⛰️始まりしは 刻(とき)の運命(さだめ)
幾億年の 因果を超へ
炯眼(けいがん)に見ゆ
烏羽玉(うばだま)にぞ 物語は開く
🌊⛰️イティア ネヌイ セネスィア
ロネイン ネエス スィエノラ
エネイン ロラ テヌァシエ
🌊響け ⛰️響け 🌊⛰️響け
🌊⛰️イティア テスエ テヌエリア
ロネイン ラロ ワンケイディア
エネイン ネスィア コナシエ
⛰️響け 🌊響け 🌊⛰️響け
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⛰️オホツチ(cv.ゆん)
4期の主人公。ワダツミの双子の姉。
ワダツミよりも大人しく、常に冷静な言動をする。新しいことを学ぶのが好きでよく本を読んでいる。
少年のような話し方をするが、一人称は「私」。
固有魔法:「動かざる山を見よ(ヌムカラ·トァ·フシ·ヌンリ)」
物や場所を通じて過去を見ることが出来る魔法
🌊ワダツミ(cv.中条瑠乃)
4期の主人公。オホツチの双子の妹。
オホツチよりも快活でおしゃべり好きな性格。好奇心が旺盛だが、考え無しに行動してしまうことも。女性的な話し方をするが一人称は「僕」。
固有魔法:「波立つ海を見よ(ヌムカラ·トァ·シン·アトゥイ)」
物や場所を通じて未来を見ることが出来る魔法
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𓆙第4章 プレイリスト𓆙
https://nana-music.com/playlists/4096351
𓆙 素敵な伴奏ありがとうございました𓆙
m.様
https://nana-music.com/sounds/0510ae39
𓆙 素敵なイラストありがとうございました𓆙
uta様(@u_ra_115)
𓆙 𝕋𝕒𝕘 𓆙
#エレクトーン
#魔女オホツチ #魔女ワダツミ
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