Day&Night
Aqu3ra
Day&Night
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#雪嶺より
самоубийство03/Day&Night
この毛皮がかつての伝統であり最後に生きるものとしての証左なら、決して脱ぐわけにいかない。
寒い。凍えそうだ。温かいスープの一つでも口にできれば、次の朝日が昇るまで歩き続けられるだろう。
僕達はその実、高尚などではないのだ。誰も言葉にしないだけで。
──吹雪が弱まった頃、僕らは数キロの北上を果たしていた。
目的地はまだ遠い。だが今日は天候に恵まれている。雲間から陽光が差したのだ。
北上を始めてから長い間見なかった自然光。北の大地に、仲間に、冬に、歓迎されているようだ。
「見て、息が凍った!」
「綺麗だね。私達はやっぱり、冬と生きていくんだよ」
新雪が降り積もった地面は、踏みしめるとサクサクと音がするようだった。
「ねえスーリカ、今日はどこまでいけるかな」
「いけるところまで。エーリ、疲れた?」
「ううん、今日は天気がいいから」
「風がないうちに進みたいね」
前を歩くイーニが振り返って、僕らに歩調を合わせた。ニェークはまだ先頭でぴょんぴょんしている。
「踊ってるみたい」
「……ああ、ニェークのこと?」
「俺がなんだってー!?」
ランタンをカラカラ鳴らしながらニェークが走ってくる。僕らは顔を見合わせて笑った。
血が湧きたつのを感じる。この旅はまだ終わりこそ見えないが、体に流れる息吹はいつだって本当のことを教えてくれるのだ。
「これだけ元気なら、今日はうんと北上できそうだね」
素晴らしい歓迎の兆しが続くうちに、僕らは歩みを進める。
この先の先に、目指す大地がある。
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ㅤ ㅤ Voice actor
イーニ🤍霜村
スーリカ🖤🦐
エーリ🤎07
ニェーク💙かたたたき
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