分岐ルート アクエリアス
--
分岐ルート アクエリアス
- 22
- 9
- 0
#星詠みの詩
【アクエリアス】
助手くんは日に日に室内で過ごすことが増えていった。やはり、体調が優れないらしい。
僕とガニメデは毎日のように彼のもとを訪れ、看病しているが、一向に良くなる気配はなかった。それでも、いつも僕たちを笑わせようと頑張るところが助手くんらしい。
そんなある日、彼の体を抱きかかえ車いすに移動させるときに、ふと彼の両足が魚の尾ひれのようなものに変化していることに気づいた。
エメラルドグリーンの、澄んだ海の水を映したかのような、それはそれは美しい鱗。
――その輝きを、忘れられずにいる。
「ガニメデ、君は助手くんの足を見たことがあるかい」
一度だけ、ガニメデに訊ねたことがある。
「彼の足を占領するように生えた美しい鱗。それだけじゃない。襟元から覗く皮膚の切れ目……美しき変化と言ってしまえばそれまでだが、君は僕に何か隠し事をしているんじゃないか?」
「あんたには、まだ言ってなかったか。あいつは、人魚になるんだ。星の子の力が人間の体を侵食する現象はよくあることだからな」
「それは、僕の体にも起こることなのかい?……ガニメデ、僕は君の力を受け継いでいる。ふふ、君のような美青年になってしまうのかもしれないね」
「……さあ。十分整った顔立ちしてるけどな、あんたは」
ガニメデはそれ以来、助手くんの話をしようとはしない。
僕たちは不老不死だ。
助手くんの体調不良は一時的なものなのだろうが……果たして、不老不死の人魚は陸上で生活できるものなのだろうか。
🎶「神隠しの真相」しゃろう様
コメント
まだコメントがありません