nana

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🎪そんな最期ならふたりに相応しい🎭 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 第22幕『別離』 「自分が何をしたのか、解っていますか?」  その声は穏やかであるはずなのに、一音一音を身に受ける度に全身の震えが止まらない。浅い呼吸を続けながら顔を上げると、美しいその人は──神は、安らかな表情のまま激怒していた。  コロッセウムの人々を皆殺しにした後、サフィは天国街へと強制送還された。神様の前に帰ってきた彼は、かつてのあどけなさなど微塵も感じさせぬような、精悍な顔つきになっていた。  真っ白に輝くエマの魂を抱えたまま、サフィは口をきゅっと結び、睨めつけるような目で神様を見た。 「恐れながら申し上げます。人間の殆どは非情で愚かな生き物です。あの者たちは、消え去るべき存在だったのです」 「お黙りなさい」 「エマは心根の優しい子で、不遇な環境で育った可哀想な子で、そんな子の命を軽くあしらったあいつらは最低で、だからおれは……」 「黙りなさいと言ったのが聞こえませんでしたか?」  冷ややかな声と共に、頭上から氷の刃が降ってきて、サフィの胸元を貫いた。刃はサフィの身体を突き刺したまま、地面に彼を繋ぎ止める。 「うぐっ……!? 何を……!」 「あなたがわたしの話を聞かないので」  神様は淡々と告げると、サフィと目を合わせて息を吐く。 「あなたは、人間は愚かな生き物だと言いました。まるで自分と人間とは全く違う生物だとでも言いたげに。けれどね、サフィ。私から見れば、今のあなたは、もうすっかり人間のようですよ」 「……!」  その時になってようやく、サフィは自身の身体が醜くくすんでいることに気がついた。サフィが息を呑んだのを見て、神様はそっと彼に突き刺さった氷の刃を引き抜いた。 「気が付きましたか。自分の仕出かした大罪に。天国街の掟を破り、自我の思うままに人間を殺したあなたも、淘汰されるべき存在なのです。あなたは、これから編まれるはずだった人類史の全てを壊してしまいました」  神様は変わらず平坦な口調で述べた後、その美しい瞳に僅かながら哀れみの色を示した。 「ですが、わたしは大切な八番目の使徒として、あなたを愛しています。……サフィ、その穢れた魂をこちらに渡しなさい。そして、これを消した後、天国街でもう一度学び直しなさい。それが、わたしからあなたに与える罰です」  優しい笑みを浮かべ、神様はこちらに手を伸ばす。だが、サフィは神様の手を振り払った。 「嫌だ」 「なぜ……」  神様に、驚きの色が纏わりついた。一瞬だけ、神様の動きが止まる。その時を待っていた。  サフィはエマの魂をしっかりと抱き、神様に背を向けて走り出した。程なくして、背後から焦ったような声と、幾つもの足音が聞こえてくる。けれどサフィは、一度も振り返ることなく走り続けた。 「……っ!」  光を帯びた矢が視界いっぱいに降り注ぐ。身体中を矢に傷つけられながら、それでもサフィは足を止めない。どこか遠くへ逃げなくては。天国街に居場所が無いなら、エマと二人暮らせる場所を、新たに創造しなくては。  矢も届かない果の果てまで走り続けたサフィは、遂に天国街の端までやってきた。一歩先には、まだ誰も足を踏み入れたことの無い、真っ暗な奈落が広がっている。だが、サフィは臆すること無く、暗闇に向かって足を踏み出した。 「あっ……!」  落ちる。堕ちる。耳元で強く風が舞い、底の見えない暗闇へ真っ逆さまに落下していく。身を切るような風圧に目を瞑りながらも、サフィはけっしてエマの温もりを離そうとはしなかった。全てが闇に包まれた空間で、気の遠くなる程の時間、サフィは流れ星を抱えたまま堕ち続けた。 〖同調〗  強い重力に身体を引かれるような感覚がして、スーは自分が真っ逆さまに落下していることに気がついた。ふと隣を見れば、涼し気な顔でサフィも落ち続けている。 『おれの記憶とお前の記憶が、一致したね』  サフィは緩やかな口振りでそう言うと、大きく裂けた口元をより一層引いて見せた。 『地獄の底に落ちてしまえば、お前はさっきまで見聞きしてきたおれの記憶を全て失うよ。……今まで、おれの所にやってきた全員がそうだった。あの正義感の強い令嬢だって、貴方の力になりたいとぬかしていた割に、最後には呆気なく忘れてしまった』  なびく髪の向こうで、サフィの表情が少しだけ寂しそうに映った。彼の言う人物に心当たりを覚えたスーは、もしやと思って尋ねてみる。 「その言い方……もしかして、ダンも昔、此処に?」 『もう何百年も前の話だけれどね』  サフィは深く頷いた後、試すような視線をスーに向ける。 『でも、おまえは特別だから、全てを覚えていてくれるのかもしれないね』 「特別……それってどういう……」  スーが声を上げた途端、その音をかき消すようにして突風が巻き起こった。ぐるぐると渦のようになった風の中に吸い込まれ、スーの意識は又もや遠くなる。 『もう少しすれば分かるさ。さあ、ここからは最終章だ』 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 〖LYRIC〗 🧊🎲タイムリミットの鐘が鳴る 🎲ふたりは置いていかれる 🧊大人達が憂いてる あいつは正気じゃない…と 🧊🎲タイムリミットの鐘が鳴る 🧊ふたりは確かに生きている 🧊🎲ふたりだけ花びらの散るように 幼気な春風に舞うように 🧊そんな最期ならふたりに相応しい 🧊🎲さんざめくこの世界にさよならを 🎲手を繋いだままなら 🧊🎲二度とこない 🧊再会 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 〖CAST〗 🧊サフィ(cv:オムライス) https://nana-music.com/users/1618481 🎲閻魔様(cv:はいねこ) https://nana-music.com/users/7300293 〖ILLUSTRATOR〗 秋ひつじ https://twitter.com/akhtj0801 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 〖BACK STAGE〗 ‣‣第21幕『幸福のサーカス』後編 https://nana-music.com/sounds/0693dee9 〖NEXT STAGE〗 ‣‣第23幕『創造』 https://nana-music.com/sounds/0695f839 #CIRCUS_IS #再会 #はるまきごはん

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