あの日 光を見つけたんだ
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昔から、晴れた日でも部屋で本を読んでいるような暗い子だった。
でもそれは、仕方のないことだから。思うように動かない体、すぐに疲れて辛くなってしまう心。そういうことを気に留めずに元気に笑っていられる子を見て悲しくなってしまうのが嫌だったから、その寂しさを紛らわせるために一人で本を読んだり、何か他のことを考えたりしていた。
でもあの二人だけは、私の幼なじみだけは違った。たびたび部屋に引き篭もろうとする私を、二人はいつも外へ連れ出してくれた。外に出てもできることなんて何もないと思っていたけれど、太陽の光に当たっていると元気になれるよ、と二人は教えてくれた。
二人は、似ているようであまり似ていない姉妹だった。姉の方はいつも明るく気丈な子で、口下手な私とたくさん話をしてくれた。妹の方は大人しく落ち着いた子で、あまり喋らなくても優しくそばに居てくれた。誰かの笑顔を見ると寂しくなるはずだったはずなのに、二人の笑顔を見るといつも心がぽかぽかと温まっていくのが感じられて、それがすごく幸せだった。
それなのに私は、あの日大人のフリをして逃げた。
寝付けない夜に深く考え込んでしまった。二人の笑顔が私にはだんだん眩しくなりすぎていって、そこに陰を生み出してしまうような私なんかいらなかった。私に注いでくれる優しさが、私が弱いせいで二人が何かを諦めることが、どうしても嫌で仕方なくなってしまった。今住んでいる場所よりも環境の良いところに行って体を治すため、そんな理由をこじつけて遠くに引っ越した。そのことを思い立ってからは、顔を見るのがなんだか怖くなってしまって、さよならも言わずに逃げてしまった。
私は弱いままで良かった。強くなるために誰かの力を借りなくても、私が一人で大丈夫でいれば強くいられる気がした。ただ二人があのまま元気で居てくれることを祈りながら、一人で生きていくんだ。
そう思っていたのに。
あの日から降り続けていた雨が突然、息を止めた。
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lyrics
読みかけのままで閉じたページ
挟まれた栞 淡い記憶
そうだあの日 光を見つけたんだ
いつからか私の心は
ひとりぼっちじゃなくなってた
君の心が暗闇から連れ出してくれて
夜空を舞う星たちのように
未来は輝き始めたのに
私見えなくなってたんだね
自分のことばかりだったんだ
今もふと思い出して 情けなくなって
苦しくもなるけれど
誰かを守れる私になって
胸を張っていつか思えるんだ
あの日 君に出会えて良かった
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Cast
❄️疏雪 -Soyuki- cv.碧海
Instrument
→ https://nana-music.com/sounds/02de595e
#ClariS #終物語
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