〈第3話〉協力【後編②】
台本:由季 BGM:『【BGM】虹の彼方に』アーレン様、演奏:ゆずちゃ様 SE:効果音ラボ様
〈第3話〉協力【後編②】
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【Normal】〈第3話〉協力【後編②】
その頃のアレンはというと…
アレン「なぁ、アリス。あいつから連絡はあったか?」
シャルロットの目論見通り、アレンはアリスティアの事務所を尋ねていた。
一方、アレンお手製のシュガーブレンドを片手に資料を読んでいるアリスティア。彼女は手元から視線をあげることなく、会話に応じる。
アリスティア「…あいつ?ボクの知り合いに"あいつ"なんて名前の人物は居ないね」
アレン「心当たりはあるんだな?」
アリスティア「…生憎、5年も会ってない奴の顔なんて忘れたよ」
視線を上げることのないアリスティアの気を逸らすように、わざと不機嫌な声色を使うと
アレン「…お前だって他人(ひと)のこと言えない癖によ」
色違いの瞳がアレンを映す。
そこに陰りはなく、真っ直ぐに。
アリスティア「…それには事情があった。君も理解しているはずだろう?」
アレン「理解はしてる。でも許してねぇ」
紛れもないアレンの本心だった。
対するアリスティアは、少しばかり納得がいかないようで、挑戦的な表情を見せる。
アリスティア「…ギルバートは許すのに?」
アレン「別にあいつのことも許してねぇよ。それに…もう1人、居るだろ」
それは話題に出すことも億劫な程に。
アリスティアは柄にもなく、話題を無理矢理逸らすように声色を変えた。
アリスティア「…分かってる。それで?何故ギルのことが出るんだい?」
アレン「…あー、この前電話があってな」
と言うと、資料がぐしゃりと握られる音がした。
アリスティア「…へえ。いい度胸じゃないか。次会った時は覚悟してもらおう」
アレン「…だな。俺も言いたいことが山ほどある。一発ずつで済めばいい方だろ」
アリスティア「…君はすぐ力ずくで解決しようとするね…いいかい、アレン。これは真面目な話だ。…いざとなった時、ボクらは真実を受け入れると思うかい?」
アレン「……受け入れるしかねぇよ。道を違えたって、ぶん殴ってでも引き戻してやる。…俺たちはいつだってそうだろ?」
アリスティア「……そうだね」
そうは言うものの、言葉に覇気のないアリスティアを見て、アレンは隣に座って彼女の頭を撫でた。不器用で優しい手つきとは裏腹にその眼差しはどこか温かくて…
アレン「…んな不安そうな顔すんなよ。殴るのは俺だけで十分だ。お前の分も責任とってやる」
アレンの言葉にいつもの調子を取り戻したのか、軽口をたたくアリスティア。だが、その表情はとても安らかだ。
アリスティア「…不安しかないんだが」
アレン「おい、そこは嘘でも頷けよ!」
隣合った距離はそのままだった。
FIN
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