71-セリ
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71-セリ
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🐦もう、涙なんて出てこないと思っていたのに、ポロポロと出始める。すると、母は怒った声で、私を制した。
?『司』
?『やめて。それ以上、私の自慢の娘を侮辱しないで。例え、それはあなた自身のことであろうと、許さない。』
🐦『……ごめんなさい』
?『……何度も話してるけど、あなたは、私が必死にお腹を痛めて生んだ子なのよ。生まれてきたあなたを一目見たとき、あぁ、天使のようだと思った。お父さんもあなたが生まれてきたことを喜んでくれた……私と夫の宝物なのよ。あなたが幸せでいるときが、私たちの幸せなの。だから……もう、死ぬなんて言わないで。……私が死ねと言われるより、よっぽど辛い』
🐦そう言うと、一粒、涙を溢した。滅多に見せない、気丈で頼れる母が見せる、初めての姿だった。
それを見て、私の発していた言葉の重みに気がつく。私は、私自身を傷つけるのと同時に、周りの人も傷つけていたんだ。
🐦『ごめんなさい……!ごめんなさい……!』
?『……約束してね。もう、言わないって。』
🐦私は何度も謝った。日々、家族と過ごした楽しい思い出が、脳裏を横切る。目の前の辛さしか見えず、幸せだった日常のことを、忘れかけていた。大切なことを思い出し、大粒の涙が溢れでていた。
?『はぁ……司をいじめたクソ野郎共の上靴に、犬のフンでもいれてやろうかしら……』
🐦『お母さん……それはバレたら捕まりそうだからやめてね。』
?『……言わないで行動しとけば良かったわ。良い?司。覚えておいてね。私達は、どんなことがあろうと、あなたの味方だって。道は数えきれない位あるんだから。』
🐦そう言うと、私の席の隣に来て、ギュッと抱き締めてくれた。こんな私でも、愛してくれる両親のことが大好きだ。だから、両親のために、生きようと思った。母の体温で、傷ついていた心が、治っていくような気がした。
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