〈第2.5話〉白百合が赤く染まる頃に【中編①】
台本:由季 BGM:みわたか様 SE:効果音ラボ様
〈第2.5話〉白百合が赤く染まる頃に【中編①】
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【CEA】〈第2.5話〉白百合の赤く染まる頃に【中編①】
そして現在。
首都ロンドンでは、金色の髪をハーフアップにした少女、ティナと、同じく金色の髪を編み込んだ女性、ルチアが街を颯爽と歩いている。
ルチア「お嬢様、本日のイベントはよろしかったのですか?」
ティナ「だって退屈なんだもの。神様の前で誓うなんて馬鹿馬鹿しいったらないわ!だいたい見えないものに縋って何になるというの?」
ルチア「さぁ。私には分かりかねます」
ティナ「貴女が信じるのは "私だけ" だものね?」
ルチア「えぇ、勿論」
ティナ「逆らったら許さないわよ。ルチアは私が居ないと駄目なんだから…」
少女は何気なく周りを見渡した
すると──
ティナ「…!!」
微動だにしない主に、
痺れを切らしたルチアが問いかける
ルチア「お嬢様?」
ティナ「………ルチア、予定変更よ。これからミュージアムに行くわ」
ティナは振り向くことなく言った。
ルチア「………かしこまりました」
ルチアの返事を最後まで聞くことなく、ティナはミュージアムに向かって歩を進めていく。
ルチア「…癪ですね。お嬢様には私だけで十分というのに」
小声でルチアがそう呟いていたことなど露知らず───
ティナ「…!!…あぁ、ついに見つけたわ!」
見つけてしまった。
少女の理想そのものを…
───
時刻は16時丁度。
とあるミュージアムの前には、クレアとセオが道行く人々を観察していた。
クレア「予定だともうすぐね」
セオ「あぁ、それにしても……こんな人通りの多いところでよくやるよな。あ、エクレアも同類か」
クレア「一緒にしないでくれる?あー、もう…帰っていいかしら。」
セオ「勝手にどーぞ。僕は正々堂々、師匠に褒めてもらうからな」
クレア「それは癪だわ。だいたい、なんでこの私があんたなんかと…」
セオ「それ毎回言わないと気が済まないのか?」
クレア「私だってね、オリヴァーに頼まれなきゃこんなとこまで来ないわよ」
セオ「それはこっちのセリフだ」
───
ミュージアムから少し離れたところで待ち合わせをしていたのはレイとオリヴァー。
レイ「早速動き出したみたい」
視線の先には、ミュージアムの前の人だかりがあった
皆一様に、口元は笑みを浮かべ、同じ制服を着て、足並みを揃え、正に洗練された淑女そのもの。
オリヴァー「どうやら…あの中には居ないようだね」
レイ「え?」
オリヴァー「そのための俺たちさ。周りをよく見てご覧」
そう言われ、レイは自然な動きで視線を巡らせた
レイ「………1人だけ纏っている雰囲気が違う?」
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