冬ノ幕一巡目 参
まほろば食堂不知火道本店
冬ノ幕一巡目 参
- 52
- 12
- 0
___________________________
まほろば食堂冬ノ幕一巡目
-冬来リナバ春遠カラジ-
参
___________________________
「いなり寿司でしたら、すぐにお出しできますよ」
私がたぬきの食べ残したいなり寿司に熱い視線を送っていたのは見透かされていたようだ。私は素直に、いなり寿司5つと粕汁を注文した。
この食堂にはお品書きというものはなく、食べたい物を伝えればなんでも提供してくれるらしい。
甘めに煮付けた油揚げに、ふっくらとした酢飯が抜群に私の空腹を満たしてくれる。
昆布だしの効いた粕汁は、冬の寒さで冷え切った私の体を芯から温めてくれる。具材には鮭が入っており、口に入れれば鮭の身はほろほろと溶けた。
控えめに言って、最高である。
私はあっという間にそれを平らげた。
「お粗末様でした」
ご馳走様と手を合わせた私に微笑みかける店員。
私は、料理に対する感想を述べ、店主の顔が見たいと頼んだ。するとその店員は
「さく、呼ばれているよ」
と、名前を呼んだ。
呼ばれて出てきたのは、いなり寿司を食べていた生き物____たぬきである。
___________________________
読み手/
mono
https://nana-music.com/users/8169346
ネクロ
https://nana-music.com/users/10019485
ロイ
https://nana-music.com/users/2687825
演者/
もちがとりを
https://nana-music.com/users/9935855
___________________________
おとわび様「古都に咲く花」をお借りしております。
素敵なBGMをありがとうございます。
___________________________
#大正孤月横丁参丁目曲ガリ角ニテ
#まほろば食堂不知火道本店
#まほろば食堂冬ノ幕一巡目
コメント
まだコメントがありません