君の神様になりたい。
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
君の神様になりたい。
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__𝕊𝕠𝕞𝕖𝕠𝕟𝕖 𝕔𝕒𝕟'𝕥 𝕓𝕖 𝕤𝕒𝕧𝕖𝕕 𝕓𝕪 𝕒 𝕤𝕠𝕟𝕘 𝕝𝕚𝕜𝕖 𝕥𝕙𝕚𝕤.✩₊*˚
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夢を、見ていた。
他人の心の声が聞こえることに気付いた日の、幼い叶夜の夢を。
あの頃は、みんなをしあわせにすることが自分の使命だと思っていた。
ただ純粋に、盲目に、世界を信じていた。
この世界は星の神様に守られていて、だからみんなが幸せになれるのだと。
世界には綺麗なものしかなくて、いつだって輝いているのだと。
叶夜は、誰かの笑った顔が好きだった。
見ているだけで自分も笑顔になれるような、そんな幸せそうな顔が好きだった。
誰かの笑顔を見ると、叶夜も幸せになれた。
自分の力があれば、もっと沢山の人を笑顔に出来ると信じていた。
感謝の言葉と共に向けられた暖かい笑みが、理解出来ないものを見る嫌悪の眼差しに変わったのはいつだろう。
無くしたかった負の感情を、消すことが出来ないと気付いたのはいつだろう。
叶夜が笑顔にしたかった人達が、叶夜を害しているのだと気付いたのはいつだろう。
大好きだった姉までもが、叶夜を拒絶するようになったのは、いつのことだっただろう。
叶夜と同じ澄んだ青に映った怯えと恐怖の色を、今でもまだ夢に見る。
何年前のことだったか、今ではもう思い出せない。
「気味が悪い」という彼女の声が聞こえたその日から、叶夜は二度と誰にも心を開くことが無くなった。
どうして。
叶夜はただ、みんなを笑顔にしたかっただけなのに。
世界は、叶夜を裏切った。
――違う。元々、世界は綺麗なものなんかではなかったのだ。
勝手に叶夜が夢を見て、勝手に失望しただけ。
なんて身勝手で、傲慢なのだろう。
みんなが幸せな世界なんて、実際には存在しない綺麗ごとだった。
信じてたのに。
本当はずっと、信じていたかったのに。
目を覚ますと、満天の星空が視界に飛び込んできた。
無数の星が瞬く、幻想的な光景。
覚醒したばかりの頭を働かせ、数瞬の後に星天界に来たのだと気付いた。
陽が落ちる前、身体の倦怠感を感じた叶夜は自室のベッドで横になり――そのまま眠ってしまっていたらしい。
眠っているうちに知らない場所に連れていかれていることに多少の嫌悪感を覚えたが、それを言う宛はどこにもなかった。
前方には、双子座の星巫女――璃星と璃月がいる。
初めて会った時に比べて、二人の姿は幾らかやつれているように見えた。
二対の薄紫の双眸は、一瞬もこちらを向くことがない。まるで、お互いのことしか見えていないかのようだ。
それでも、薄っすらと二人の感情が流れ込んでくる。
どちらの声かは分からない、混ざり合って混沌とした感情の渦。
魚座の星巫女が死んでしまった。これからどうなるのか分からない。怖い。怖くて仕方がない。お互いがいなくなるのが。二人でいられなくなるのが。
閉じられた二人の世界からも漏れるほどの強い恐怖が――死ぬことではなく、二人でいられなくなることへの恐怖が、叶夜へと伝わってくる。
絶えることなく吐き出される恐怖、恐怖、恐怖。感情の波に飲み込まれて、窒息してしまいそうだ。
そっと瞼を伏せ、自室へ向かう階段へ向かって歩きだす。
それと入れ違いに、パタパタと跳ねるような足音が聞こえた。
軽やかに弾む、廊下を駆ける足音。暗い星空に映える桃色が覗いた。
無邪気に笑う乙女座の星巫女、琉歌が叶夜の方へと駆けてきていた。
出会った日と同じように、満面の笑みを浮かべている。
怖いことも悲しいことも、何も知らないかのように。
まだ純粋に世界を信じている笑顔を見て、息が詰まった。
琉歌からは、一切の恐怖も怯えも伝わってこない。
流れ込んでくるのは、喜び、期待、安堵。負の感情が欠落している。
琉歌は、咲羽の死を知らない?
一瞬思い当たったその可能性を、すぐに否定する。
咲羽が死んだ日。星天界には、星巫女全員が集められていた。
琉歌も、見ているはずなのだ。動かなくなった咲羽も、周囲の星巫女達の絶望と慟哭を。
地獄のようなその光景を見た上で、琉歌はまだ笑っている。
琉歌と咲羽は、仲が良かったはずなのに。
幼い琉歌には、まだ「死」という概念が理解出来ないのかもしれない。
湧き上がった不安に蓋をして、そう思い込んだ。
琉歌は、怒りや悲しみといった負の感情自体が欠落しているのかもしれない。
彼女と接してきて、時々そう思うことがあった。
ただ真っ直ぐに世界を信じているその言動であったり、他人の悲しみを理解出来ない様子であったり。
あの日だって、どうして祈鈴が泣いているのか、分かっていないようだった。
初めて琉歌に会った時、彼女の分の苦しみを、叶夜が背負わされているようだ、と感じた。
もしかすると、それは正しかったのかもしれない。
琉歌は、負の感情に対して、あまりにも鈍感なのかもしれない。
怒りも悲しみも恐怖も感じられない琉歌の分まで、叶夜は他人の苦しみをも流し込まれて生きている。
もしそうなら、世界はあまりにも不公平だ。
じわじわと脳を蝕むその疑念を振り払う。
琉歌が今、笑顔でいられるのは。
きっと、彼女がまだ幼いせいだ。かつての叶夜のように。
たとえ叶夜の予感が正しかったところで、叶夜にはどうすることも出来ないのだから。
叶夜には、幼い頃の叶夜のことも、琉歌のことも、救うことなんて出来ないのだから。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
⛓「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
🔗「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
💘そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
☔欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
⛓苦しいから歌った。
🔗悲しいから歌った。
💘生きたいから歌った。
☔ただのエゴの塊だった。
⛓🔗こんな歌で誰かが、救えるはずないんだ。
☔💘だけど僕は、君の神様になりたかった。
⛓🔗☔💘こんな歌で君のジュグジュグ腐った傷跡が埋まるもんか。
⛓☔君を抱きしめたって、叫んだってなにも現実なんて変わるもんか。
⛓🔗☔💘がむしゃらに叫んだ曲なんて、僕がスッキリするだけだ。
🔗💘ほしかったのは共感だけでも君も救いたかった。
⛓僕は無力だ。🔗僕は無力だ。💘僕は無力だ。☔僕は無力だ。
⛓🔗☔💘僕は無力だ。
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♉︎Taurus #星巫女_叶夜
☔️叶夜(cv.碧海)
https://nana-music.com/users/5927253
♊︎Gemini #星巫女_璃星 #星巫女_璃月
⛓璃星/🔗璃月(cv.唄見つきの)
https://nana-music.com/users/1235847
♍︎Virgo #星巫女_琉歌
💘琉歌(cv.ゆうひ)
https://nana-music.com/users/8498301
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴パテラ様
https://nana-music.com/sounds/04a90082
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
#カンザキイオリ #君の神様になりたい #DTM #nana民と繋がりたい
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