受けた恩は…
NAZNA
受けた恩は…
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定期検診の帰り、アグルはお気に入りのサンドイッチ屋の辛口ドッグを幸せそうに頬張る。あの医者の顔、今思い出しても笑える。異様な回復力に目を丸くしていた。もう療養所には来なくて良いとの事だ。
「ちゃんとした治療ってやっぱすごいね。こんなに綺麗に治るんだからありがてぇ…ただなぁ、拘束される上に、飯がまずいのなんの…ああ!サンドイッチうめぇえ!」
お店の店員から、ありがとうございます!と手を振られ、アグルは上機嫌で手を振り返した。可愛い兎の獣人…よし、これはまたしばらく通わねば!
久しぶりの完全な体と、いつもの生活…。アグルはタバコを吸いながら半神の目を輝かせる。…お、何人か面白い奴がいるな…仕事に誘えるかもしれねぇ…。フーっと煙を吐いた。
「あいつもこんな風に人を見てるのかねぇ…数少ない俺の同種。面倒くさくて、どん臭くて、クソ真面目な…いい女」
ハァックション!…夏風邪ですか?とシノの心配する声が聞こえる。くしゃみの主は眼鏡を直して笑った。
「受けた恩はからなずきっちり返せ。恩を返さなきゃ、それはいつか仇になる。俺らの世界の常識だ…ま、あいつは感謝されないぐらいで怒る奴じゃないが…あいつには世話になりっぱなしだ。なんかいっちょやりますかね」
タバコを捨て膝をペシリと叩いて立ち上がると、フラフラと歩き出した。
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ニフに感謝を伝えてください。
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