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episode【prelude】
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住宅街の片隅にある小さな森。その森の正式な名前は誰も知らない。
ただその森は「歌う妖精の住む森」として皆に知られていた。
一聞するだけでは、とても楽しそうな森だと感じるだろう。
しかしその話には続きがあった。
「その森の妖精は歌で人を眠らせて、夢の世界に連れて行ってしまう。連れ去られた人は二度と元の世界には帰れない」
こんな恐ろしい噂がある森なのだ。
子供はおろか、臆病な大人もその森に容易に立ち入ることはなかった。
そんな森の入り口に佇む少女が一人。
真新しい制服で学生鞄を抱えた少女は、自分の足元から森の奥に続く道を見つめて唾を一つ飲み込んだ。
そして一度ギュッと瞑った後にパッと大きく目を見開くと、意を決したように森の中に続く小道を駆け出した。
「あれ?今、森の入り口に誰かいなかった?」
「えー?居ないよ」
「嘘……地元の音楽学校の制服着た女の子がいたような気がしたんだけど」
「怖っ!妖精に連れてかれていなくなった女の子の亡霊とか言わないでよ!?」
「そんな事言ってないし!」
「あの森に入ってくなんて、心霊スポット巡りしてるユーチューバーくらいでしょ?
女の子一人で入ってくわけないって!」
「まあ……そうだけど……。
あ、でも知ってる?あの森ってもう一つ伝説があるんだよ」
「え、なにそれ」
「あの森に住んでる妖精と一緒に歌うと、どんな人でも魅了される歌声を手に入れることができるんだって」
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