天ノ弱
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
天ノ弱
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__𝕀 𝕕𝕠𝕟'𝕥 𝕟𝕖𝕖𝕕 𝕝𝕚𝕞𝕚𝕥𝕖𝕕 𝕔𝕠𝕟𝕤𝕦𝕞𝕒𝕓𝕝𝕖𝕤.✩₊*˚
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今からちょうど二日前。灯莉は、雪涙と再会した。
どうやら雪涙は、灯莉のことを探していたらしい。以前会った時よりも明るい表情で、父親と姉妹と話が出来たのだ、と言ってくれた。
灯莉は、少しは雪涙の役に立てたらしい。雪涙がまた生きようと思ってくれた、それだけで嬉しかった。
灯莉にとって、雪涙は大切な友達だった。誰にも――中学校の友達にさえも話してこなかった母のことを、唯一相談出来た友達が雪涙だった。
自分でも、どうして雪涙に話をしようと思ったのか分からない。勝手にシンパシーのようなものを感じていたのだろうか。それとも、彼女が今にも消えてしまいそうな気がしたからなのか。本当の理由は、もう灯莉にも分からない。
大きな嘘を吐きながら友達でい続けることが、正しいことなのかは分からなかったけれど。だけど、灯莉が強くいるための嘘ならば、きっと許されるはずだ。
灯莉は、歌って世界を守る、中学3年生の星巫女なのだから。
星天界に召喚される際の、いつもの浮遊感と星空を全身に感じながら、灯莉は今日も雪涙に会えるかな、なんて考えていた。
ドームから階下へと降りる透明な階段を、弾むように駆け下りる。
そこには、三人の少女の姿があった。双子座の星巫女である璃星と璃月と、牡牛座の星巫女である叶夜。三人とも、今さっき星天界に辿り着いたところらしい。
今この場にいる三人とは、誰とも話したことがない。どうすればいいのか、と、灯莉が頭を悩ませていると。つんつん、と後ろから肩をつつかれた。振り返ると、同じ顔がふたつ。璃星と璃月が、同じ表情をして灯莉の方を見ていた。
「どうしたの?」
何かしてしまっただろうか、と不思議に思って問いかけると、意外な言葉が返ってきた。
「聞きたいことがあるの」
二人の内の一人が口を開いた。月のヘアピンをしているから、おそらく璃月の方だろう。
「キミはボク達と同い年だから、聞く相手として相応しいと思ったんだ」
灯莉と同い年だ、と思っているということは。小柄で風が吹けば折れてしまいそうなくらいに線の細い二人は、意外なことに十五歳らしい。
「ワタシ達は疲れているの。星巫女として呼び出される度に、身体が重く感じるの。」
「これはボク達が暮らす環境が、一般的な家庭とかけ離れているからかもしれない。理由は分からない。だから、意見を聞こうと思って」
なるほど。二人きりで世界が完結している印象を受けていた二人が、珍しく他人に話しかけた理由が分かった。確かにこれは、二人だけでは答えの分からない問題だろう。
正直なところ、灯莉にも思い当たる節はあった。
元々栄養失調気味の灯莉は、体調の悪いことが多かったのだけれど――以前より、そう感じる頻度が増えた気がする。
今までは多少のふらつきなんていう「気のせい」で済ませられるようなものだったのが、眩暈や頭痛などの具体的な症状を伴うことが増えた。
星巫女になる、なんていう慣れないことを続けているからだと思っていたけれど――やはり中学生にもなれば、身体が変わってくるのだろうか。生きるために必要なエネルギーが増えるくらいなら、一生このままで良いのだけれど。
「……そうなんだ。私は、特にそんな感じはしないかな?」
灯莉は、嘘つきだ。
出来損ないの山羊座の星巫女は、嘘つきだ。
だって、仕方ないではないか。ネガティブなことを口に出せば、それが本当になってしまう。――お母さんの病気が悪化した時も、そうだった。
あの日以来、灯莉は絶対に、嫌な予感を口にしないと決めた。
だからいつものように、普段通りの笑顔を作って答えた。
相手のためではない。自分を守るための、自分が強くあるための、醜い嘘。
叶夜が何か言いたそうに灯莉の方を見ていた。咎めるような視線をこちらに投げかけてきている。
きっとそれだって、気のせいなのだろうけど。
灯莉の中に微かに残った罪悪感が、きっとそう見せているだけだ。
灯莉はずっと、自分と他人を騙して生きている。そんなに簡単に、灯莉の嘘が見抜かれるわけがない。
灯莉の答えを聞いた二人は声を揃えて礼を告げると、二人の部屋に向かっていった。
本当に疑問を解決するためだけに灯莉に話しかけたらしい。やはり双子の世界は二人きりで完結している。
体調について叶夜には聞かなくて良かったのだろうか。
叶夜は相変わらず、何をするともなく、一人で天窓から星空を眺めている。
先程鋭い視線でこちらを見ていたこともあり、二人きりになったことに多少の気まずさを感じた。灯莉も自分の部屋に向かった方が良いだろうか。
部屋に戻ったところで、特にすることもないのだけれど。
このまま何の会話も交わさずに二人でいる方が居心地が悪い。
そう考えて立ち上がり、一歩を踏み出した瞬間。
まず感じたのは、強い眩暈だった。すぐに一瞬、火花が散るような感覚。視界が熱い。立っていられない。
明らかに異常だった。身体が悲鳴を上げていた。
椅子の倒れる大きな音に、叶夜がこちらを向き、小さく息を呑んだのが見え。
すぐに瞼が重くなり、身体が鉛に変わったかのように自分の意思で動かなくなった。
首につるした淡い紫の心鍵が、鈍く光っている。くすんだ輝きが、灯莉の呼吸と呼応するように瞬いている。
そんな光景を最後に、灯莉は意識を失った。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
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✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
☔️今日はこっちの地方は
どしゃぶりの晴天でした
⛓昨日もずっと暇で一日満喫してました
🎈別に君のことなんて考えてなんかいないさ
🔗いやでもちょっと本当は
考えてたかもなんて
🎈メリーゴーランドみたいに回る
☔️僕の頭ん中はもうグルグルさ
☔️🔗⛓🎈この両手から零れそうなほど
君に貰った愛は どこに捨てよう?
限りのある消耗品なんて
僕は要らないよ
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♉︎Taurus #星巫女_叶夜
☔️叶夜(cv.碧海)
https://nana-music.com/users/5927253
♊︎Gemini #星巫女_璃星 #星巫女_璃月
⛓璃星/🔗璃月(cv.唄見つきの)
https://nana-music.com/users/1235847
♑︎Capricorn #星巫女_灯莉
🎈灯莉(cv.瑠莉)
https://nana-music.com/users/6276530
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴mami♡様
https://nana-music.com/sounds/039e2083
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
#mamiピアノ伴奏
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