◆YELLOW
✝️ダニエル・ベイス_CV.なるせ(神山羊)
◆YELLOW
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Character's Song #1 & Secret Data
◆ No.01 ✝️YELLOW / 神山羊
【 Corrupted hymn 】
Singer : ダニエル・ベイス/CV.なるせ
Profile : https://nana-music.com/communities/1152346
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Lyric/
つまりは好奇心に囚われてたんだ
大切なものなら壊したんだ
明かりの灯らないホールケーキ
木製の君と踊ってたんだ
クローゼットで待った今日も
小さな身体ただ寄せ合って
眠るのさ、変わるのさ
想像容易い安全
「私馬鹿な子なのどこにも行かないで」
濁った正体の鈍い目を覚ませ
夜のうち片付けたおもちゃ
無邪気なままでまだいたかった
愛情はhighただ捨て置くばかり
剥がれ落ちた大事な記憶
but 後悔 low-lifeならば敢えて
ありえないことを願う夏を
YELLOW
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最初から期待なんてしなければ良かったのに
【過去】
ダニエルには双子の兄と二つ下の弟がいた。父親は弟が産まれる前に家を出て行ったため、二人には父親と過ごした記憶はほとんどない。幼少期から兄弟三人は母の手で育てられてきた。
兄の方は成績があまり良くなかったが、好奇心旺盛で誰にでも優しい、笑顔が似合う人だった。母も兄のことはよく可愛がっていた。
対して、ダニエルは幼い頃から物覚えが良く優秀であったが、大人びて真面目な性格やいつも感情のない表情、立ち振る舞い。
兄とは顔も性格もまるで似つかず、成長と共に父親の生き写しのように育っていった。
そんな彼のことを母親は他の兄弟と扱うことが出来ず、いつの間にか、ダニエルと話すことすら少なくなっていった。
本当はただ感情や意思を表現するのが苦手なだけだった。兄や弟が当然のように受けている無条件の愛情が欲しかった。
だからダニエルは必死に勉強した。それが、彼にとって唯一兄よりも優れていることだったから。母に褒めてもらいたかったから。
______あなたは本当に優秀な子ね。弟や×××の分ももっと頑張れるわよね?これからも期待しているわ、ダニエル。
そうして努力を続けた彼にかけられた言葉は、無感情で機械的な言葉ばかりだった。
だが、他の兄弟みたいに頭を撫でたり抱きしめてくれなくても、母が自分にだけ向ける言葉をくれた事が、ダニエルにとって何よりも嬉しかった。
母に言われ弟がミドルスクールに入る前から勉強を教えていた。弟は兄に似て明るい子で、愛想の悪いダニエルにもよく懐いてくれた。
兄の方も、家やミドルスクールでいつも一人でいるダニエルのことを気にかけてくれていた。こんな自分にも変わらず優しくいてくれる兄弟のことは大好きだった。
でも時折、双子なのに何もかも違う兄の姿と自分を見比べて、心の奥で少しだけ羨ましく思うことがあった。自分のせいだとは分かっているのに、どうしても兄への嫉妬が渦を巻いた。
二人の14歳の誕生日の事だった。パーティの買い出しを母から頼まれた兄に連れられ、冬空の下を二人で歩いていた。
予約していたホールケーキとリストに載った食材を買い終えたが、元々多めに渡されていたのか、少しだけマドルが余っていた。
余ったマドルは帰って母さんに返そうと言うダニエルに対し、寄りたいところがあると言って、兄は無邪気な顔でダニエルの手を引いて歩いた。
連れてこられたのは兄がよくミドルスクールの帰りに寄っているらしいパン屋だった。母さんには内緒だぞと笑い、この店で一番好きだというカレーパンを一つ買った。
兄が好きそうな辛口で味の濃いものだったが、寒空の下二人で分け合って食べるカレーパンはとても美味しかった。
寄り道のせいで遅れてしまったため、ダニエルは少しだけ急ぎ足で歩いていた。危なっかしい兄を気遣い、比較的重いホールケーキを持って先を急ぐダニエルに対して、
マイペースな兄はふらふらとイルミネーションを楽しんでゆっくり歩いていた。ダニエルは見慣れた景色に興味はなかった。
二人で青になった長い横断歩道を渡っていた時だった。不意に、兄が氷で滑り転んだ。
先を歩き既に渡り終えていたダニエルは、兄の間抜けな声を聞いて呆れながら振り返った。
瞳に映ったのは、赤信号を止まらず走ってきた車が、兄を引きずっていく光景だった。
目の前の光景が受け入れられなかった。ケーキの箱を雪の上に落としたことにすら気づかないまま、呆然と立ち尽くしていた。
誰かが通報したのか、直ぐに警察と救急車が到着した。その後すぐに母が顔色を変えて駆けて来て、泣き叫びながら兄の名を呼び続けたが、兄がそのまま目を覚ますことは無かった。
それから母はおかしくなった。家に帰ってくるなり、うつろな表情のままでうわ言のように木枠の中の兄に話しかけ、机に伏せたまま眠ることが増えた。
ダニエルもあの時の光景がフラッシュバックしては後悔に苛まれ続けていた。しかし、変わり果てた母の代わりに自分がしっかりしなければならないと、あの事故を思い出さないように家事やアルバイトに打ち込んだ。
極力、母の前に姿は出さないようにした。
兄の死から半年も過ぎた頃だった。
ある日突然母は元気になり、昔のような落ち着きを取り戻した。何事も無かったかのように二人に声をかけ、仕事や家事もいつも通りこなした。
それ以来、母の口から兄の名前は一切出ることがなく、それどころかダニエルに笑顔で話しかける事が増えた。ずっと母が向き合っていた兄の写真も、いつの間にか見かけなくなった。
突然のことに混乱し真意は分からなかったが、なにか自分の知らないところで変化があったのだろうか。母も変わろうとして無理に自分に笑いかけてくれているに違いない。そう思うことにしていた。
それから時間と共に家族は笑顔を取り戻していった。母もダニエルに対して愛情を向けるようになった。
望まぬ形ではあるがようやく向けられた母親の愛に、ほんの少しだけ幸せを感じてしまっていた。
兄が死んで一年が経った十五歳の誕生日のことだった。誕生日祝いのケーキとの豪勢な料理を囲んで、母はダニエルにこう言った。
_____お誕生日おめでとう。あなたがこの家の長男でよかった。こんなに可愛い二人の子がいてくれて私は幸せよ。愛しているわ。×××。
その時にようやく気がついた。欲しかったはずの愛情は、兄が死んで初めて貰った愛情は、最初から自分に向けられたものではなかったのだと。
壊れてしまった母の歪んだ愛情はもう元に戻らないことを知った。それから母に兄の名前を呼ばれる度、どうしようもない罪悪感が襲った。
丁度その頃に発現したユニーク魔法で、兄のふりをして母の前に出ることが増えた。弟に止められることはあったが、そのときの母親は心無しかいつもより幸せそうに見えたのだ。
魔法越しに鏡を見ても兄を思い出すことは出来なかった逃げ出したいとは思わなかった。母には自分が必要だから。
それからこの家で半年間を過ごした後の夏頃、NRCから棺を乗せた黒い馬車が迎えに来た。
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【裏設定】
兄の事故が原因で、誰かと一緒にいる時は無意識に横について歩くようになった。
入学後、動物言語学を通して動物に心を打たれる。その後、許可を貰い自ら研究会を立ち上げるほど動物が好きになる。最初に世話を始めたのはバーニーズという犬種で、よく一緒に昼寝をしたり、野外で遊んでいるのを目撃される。動物と遊ぶとつい甘やかす口調になってしまうのでなるべく人目を避けている。
動物が食べられるオリジナルのお菓子作りの研究をしていたのが発展し、自分や他の人のためにお菓子作りをすることが増えた。作ったお菓子はフロスや希望した寮生に配っている。
ホリデーは一週間程必ず家に帰るが、その間動物の世話を見てくれる人がいなかったため、遠隔操作、見守り機能付きの自動お世話マシンを開発した。
元々暗い性格で周りとは距離を取っていたが、期待するのもされるのも怖くなり、他人により冷たい態度を取るようになった。
NRCはミドルスクールの時と違い、自身の態度をものともせず正面からぶつかってくる生徒が多いため最初は動揺したが、素の自分を煙たがらない人達と出会うことが出来て少しだけ救われている。人といることに居心地の良さを感じることが増えた。
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