第18話「風のルサリィ」/ブルーバード(いきものがかり)
プリンセス・アテナ
第18話「風のルサリィ」/ブルーバード(いきものがかり)
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第18話「風のルサリィ」
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グランツ王国の首都グラドでは、日曜日以外の毎朝6時から朝市が開かれる。
大盛況の朝市から少し離れた路地を、一人の老婆が大きな荷物を抱えて歩いていた。
「ひぃ……ふぅ……」
少し歩いては休み、休んではまた歩き、亀の歩みのような速度で家路を辿っていた。
そこに━━━
🍃「おばちゃん、大丈夫?あたしが手伝ってあげる!」
一人の少女が声をかける。
薄緑の髪を結い上げた涼やかな目元の、耳の代わりに小さな鳥の羽が生えた娘。
「ありがとうお嬢さん、でも大丈夫かい?とても重いよ」
🍃「大丈夫だいじょうぶ!あたし、魔術が使えるから!」
そう言って娘が指先を軽く振ると、老婆の荷物は宙に浮き娘の周りに集まってきた。
🍃「さ、おばちゃんは私の背中に乗って。おうちまでおんぶしてってあげる!」
老婆は娘の背中でしきりに感謝の言葉を述べ、二人は楽しそうに会話しながら老婆の家へ向かうのだった。
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『━━━風のルサリィ。
NORNのメンバーの一人で、セイレーンの一族出身。
大きな翼はないが、風の魔術で空を自由に飛んだり物体を浮かせる力を持つことから強い魔力を持つ術者であることが予想される。
セイレーン族らしい美声の持ち主。』
アテナがセレネから受け取った調査書には、簡単なプロフィールにも満たないプロフィールとそんなエピソードが記載されていた。
ライブ当日のことは、未だによく覚えている。
👑「風のルサリィ、悔しいけどほんっとに歌が上手かったわね……」
NORNとは、いずれまたどこかの現場で競演することになるだろう。
そう思うと、調査書を掴む指先にも自然と力が入るのだった。
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Lyric
🍃飛翔(はばた)いたら 戻らないと言って
目指したのは 蒼い 蒼い あの空
“悲しみ”はまだ覚えられず “切なさ”は今つかみはじめた
あなたへと抱く この感情も 今“言葉”に変わっていく
未知なる世界の 遊迷(ゆめ)から目覚めて
この羽根を広げ 飛び立つ
飛翔(はばた)いたら 戻らないと言って
目指したのは 白い 白い あの雲
突き抜けたら みつかると知って
振り切るほど 蒼い 蒼い あの空
蒼い 蒼い あの空
蒼い 蒼い あの空
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🍃「ヴェルダンディ様、ただいま戻りました」
😈「おお、ルサリィか。首尾はどうだ?」
🍃「ええ、とっても感謝してくれましたよ!ちゃーんとあたしがアイドルだってことも話しておきましたから」
😈「うむ、よくやった。小さなことからコツコツと……だ。なぁ、ルサリィ?」
🍃「もちろん、ヴェルダンディ様の仰せのままに!」
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【ヴォーカル】
🍃風のルサリィ
おと*°
https://nana-music.com/users/8312441
【伴奏】
わか様
https://nana-music.com/users/1308600
【テキスト】
あきなと。
https://nana-music.com/users/1150486
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