第19話「水のセドナ」/あいぞめ(能登麻美子)
プリンセス・アテナ
第19話「水のセドナ」/あいぞめ(能登麻美子)
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第19話「水のセドナ」
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グランツ王国の首都グラドには、整備された大きな公園がいくつか存在する。
その中で最もグランツ城の近くに位置するのが、ここ国立マリエール公園だ。
広い芝生の広場とちょっとした人工林、その中心には美しい水を湛えた湖があり、訪れた人たちは散歩をしたり芝生に寝転んだりと思い思いに楽しんでいる。
そんな国立マリエール公園の湖の畔で、一人の幼女がしくしくと泣いていた。
周りの大人たちが聞けば、大切なペンダントを湖の中に落としてしまったらしい。
そこに━━━
💧「あ、あの、わたし、取ってきてあげる……ね」
幼女が顔を上げると、そこには水色のウェーブヘアを二つ結びにして、耳の代わりに魚のようなヒレがあり身体中に鱗をもつ少女が立っていた。
潤んで透き通った瞳は、なんだか不安そうに揺れているようにも見える。
幼女が驚いて返事もできずにかたまっていると、
💧「ご、ごめんね、急にこんな……その、気持ち悪い見た目の……半妖に話しかけられたら、こわいよね……ごめんね……
あっ、あの、でも!必ずあなたのペンダント、見つけてあげる……から」
そう言って、鱗の少女は湖に飛び込んだ。
透き通った水の中で、時折少女の鱗や髪が太陽の光を反射してキラキラと光る。
しばらくすると、鱗の少女は水から顔を出し、そして右手に持ったペンダントを幼女に見せた。
幼女はぱっと顔を明るくして鱗の少女に駆け寄り、ペンダントを受け取って何度もお礼を言う。そして、
「おねぇちゃん、おねぇちゃんはね、キラキラでとっても綺麗だったよ!全然気持ち悪くなんてないよ!」
と鱗の少女の目をまっすぐ見て言った。
それを聞いた鱗の少女は、安心したように微笑むのだった。
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『━━━水のセドナ
NORNのメンバーの一人で、体中の鱗と人魚のようなヒレの耳をもつ「鱗びと」の末裔。
水の中でも地上と同じかそれ以上に自由自在に行動することができ、水の魔術を操るようだが詳細は不明。
見た目がことさら特殊なので人間から忌避されることに不安を抱えている様子で、人前はあまり得意ではないようだ。』
2枚目の調査書を読み、うーんと首をかしげるアテナ。
👑「確かにあの水のセドナって子は、人前に出ることに乗り気じゃなかったようだったわ。
それに、ステージの照明も暑すぎて苦手ってMCで言ってた……それでもNORNに参加したのはどうしてなのかしら?」
NORNの謎は深まるばかりである。
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Lyric
💧月の光 心 照らし出す
燃ゆる花の舞 道しるべ
絡みつく あやまちの詩
胸をしめる
果てぬ 川に手を挿し 流そう
想い 詰めた言の葉
藍に染めて
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💧「ただいま……ヴェルダンディ様」
😈「おお、セドナ。……どうした、なんだか嬉しそうではないか」
💧「そうなんです……えへへ、わたし、ちゃんと人間のお役に立って来られましたよ」
😈「そうか、よく頑張ったな。
お前は人間の中に混ざると特に目立つ……それを恨んだこともあるだろうが、今はそれが私の作戦の一助となっているのだ」
💧「はい、ヴェルダンディ様。仰せのままに……」
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【ヴォーカル】
💧水のセドナ
未羽
https://nana-music.com/users/7499766
【伴奏】
ポネッティ様
https://nana-music.com/users/18894
【テキスト】
あきなと。
https://nana-music.com/users/1150486
コメント
1件
- 昇❄のぼりめちゃくちゃ話見逃してましたなんてこと……😭 ライバル達の動向とても気になるしサウンドも楽しみにしているので……応援してます……҉*\(`•ω•´)/*҉