ダイヤモンドハッピー
CHATARSIS
ダイヤモンドハッピー
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#catharsis感想
「…私、思ったの。」
重たい空気の中、口を開いたみどり。
「望々も遥奈も七海も、みんなアイドルやりたいんでしょ?望々も、さっき色々言われてたけどそれでも数ある仕事の中からこれを選んだ、そうだよね?」
「…」
「私ね、そうやってアイドルとして輝こうとしてるみんなが夢を捨てるようなことするとは思えないの。」
「だから、私でいい。私じゃないけど、私が罪を被ればみんなはアイドルできるんだもんね。」
そう言った彼女の目は決意に満ちて、けれど抑えきれなかった感情が頬を垂れていた。
「…ほんっと、そういうとこだと思うよみーちゃん」
そう言って頬の涙を拭ったのは望々だった。
「人情の塊みたいなみーちゃんが、こんなことやれるわけないでしょ〜。それくらい、すーぐ嘘だってバレちゃうねぇ」
「…そうだねぇ。お人好しさんは困った困った」
そう言って笑うのは七海だ。
全てがアホらしいといわんばかりのパリッとした笑い声からは自然と笑みがこぼれる。
「頭は優秀な望々さんが言うんだよ、いやぁこれは間違いないねぇ」
「名探偵と崇めてもよいのだぞ〜」
さっきまでの雰囲気が嘘のように茶番を始める彼女ら。これが友情の答えなのだろう。
「第一にあの場面で『私じゃない』って言えてたんだもん。立派に成長してるじゃん、みどりさんさ」
「自分に勝ってて偉いねぇ。立派なアイドルへの1歩だね〜」
「えっ何ふたりとも」
わしゃわしゃと頭を撫でられみどりは困惑している。さっきした決意はなんだったの、と呆然としつつも場に流されついには笑みが零れた。
「じゃあ、やっぱりみんなあたしだと思ってるんだ…」
輪に入る資格などないと言わんばかりに悲しみに暮れている遥奈。
それもそうだ。みどりでもない望乃でもない七海でもないなら…それをぎゅっと抱きしめた影が3つ。
「なぁーに言ってんの、あんたはない。1番ない。」
「ま、単純に見たら怪しさ満点だったけど流石にあからさまでしょ〜。これは真犯人がいるとののちゃんは予想〜!」
「遥奈ちゃんほどアイドルらしい人が、たった1度の過ちでもするわけがないよ」
そう言って笑う彼女らには一点の曇りもない。こんな形だが、お互いの心をさらけ出したことで気が置けなくなったのだろう。
「はーちゃんはさ〜、周りの目を気にしすぎなんだよね。」
「そうそう、優劣つけるものじゃないんだよ。遥奈の歌が、踊りが好きだからみんな見に来てんの。」
「みんな違って、みんないいんだよ。」
喧嘩するほど仲がいい…とはこのことか。
あれだけのぶつかり合いがあって、なおお互いを認められるのは長い付き合いの賜物なのだろう。
スタッフも感情のジェットコースターに振り回されてたことを実感し、ほっとため息をつく。
未来は変わった、ライブまでもう日がない。
新生『Catharsis』、始動まであと───。
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