「堕天使からのお返事」
秘密結社 路地裏珈琲
「堕天使からのお返事」
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https://nana-music.com/sounds/056aff79
休日、いつもの貸しスタジオへと練習に集まってきた、俺たち半端者の堕天使に、一通の手紙が届いた。
その手紙に差し出し人は書かれていない。見たこともない国の切手に導かれて、読めない消印はタトゥーのようで、ただならぬ気配を纏って開封を待っている。俺にはわかる...このワイルドでありながらも暖かい、ロックな空気。
できればミリほども傷つけたくない封筒を、ちびちび破って、喜びでマスカラをだだ流しながら、その手紙を回し読みした。
「......師匠.....!!」
俺たちは、その日のうちに、筆をとった。
ーーーー.........
拝啓 偉大なる我らが師匠
あれからいくつもの悔しい夜を乗り越えて、
月のようなあなたの背中を追い続けてきました。
空の眺めはどうでしょう?
ずっと俺たちが見上げていたあなたは、
本当に高みへ行ってしまわれたんですね。
俺たちはと言えば、転換期を迎えています。
なけなしの収益をかき集めて、流通盤を出すことになりました。
けど、これが最初で最後。
このシングルを世に出したら、俺たちは人に戻ります。
夢を追って落ちこぼれた堕天使は、
あなたにもらった勇気を胸に、
現実と向き合う覚悟を決めました。
豪雨のようなピンチと困窮の連続で、
でも、だからこそあなたに会えた訳で。
成功はなくとも、どエモい日々でした。
完パケしたら、必ず贈るので。
月を目指してもがいた堕天使の断末魔を
どうか、その耳に残してやってください。
次に会う時には、もう普通の人間かもしれませんが
いつかまた、どこかで。
どうか素敵な空の旅を。
あいるびーばっくっすわ。
ーーー.......
堕天使たちから、お手紙が届きました。
“バラ色の日々”
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