D92 シオン
紫苑本丸
D92 シオン
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#紫苑本丸
政府の保護施設に着いたのは早朝。
連れてこられたみんなは…酷い怪我をしていて息絶えているように見えた。
こんな私のためにぼろぼろになった彼らに涙が止まらなくて…。
それでも必死にみんなの顔を見ようとしたとき、微かに目を開けている者がいた。
「燭台切光忠!!!」
これでもかってぐらいの大声を出したけれど反応はなかった。
「燭台切光忠!!」
少しだけ瞳が動いたような気がした。
「…だい……す…き。」
その一言を言って彼は目を閉じた。
「うっ……うぅっ。お守りを…持たせたのにっ…効かなかったの?」
「……シオン、彼らは一度として折れてはいないよ。」
「え…?」
「彼らは簡単に折れるようなやつらじゃない。君が信じてあげず誰が信じると言うんだい?」
「…ありがとう。」
「いや…いいんだ。僕もやっと膿がとれた気分だよ。」
そういうと彼は私をみて優しく微笑んだ。
なんでこんなに優しく微笑むのだろうか…全くわからなかった。
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