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- 月見花
- 123───その吐息の儚さに鳥肌が立つ。序盤の淡さとは一転、流転遷移する感情と記憶のように、その漣は大きく波打ち合切を押し流して。鈍色の曇天、排気ガスの匂いが融けだした虚ろな宵空。溜息をつくその内情は、きっと血色の薄い頬と伝う透明からは想像に難い。相手の矛盾を許容し赦すことに疲れてしまった声音に聴き取れて。聴き取れて、しまって。涙を流すことすら独りを選ぶような諦念かと解釈が出来、それが強さか弱さかと二択に決めつけることは出来なかった。敢えて伝えるならそれらは二択ではなく同一で、表面は平静のまま諦念を伝えて、その実悔恨と混濁する感情を独りで咀嚼する貴女は強くも弱くもあるのでしょう。出来たら独りで吐きもせずに噛み締めることもなく、中途半端に唾液に塗れたそれを差し出して分けてくれたらと願う心象に行き着いた。貴女の胃の腑だけを穢さないで、どうか私と毒を分け合って。