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- 月見花
- 123ゆらりと揺蕩うように穏やかな澄み切った声音が、春の夜空に舞う桜の花を乗せて鼓膜を優しく揺さぶったものかと錯覚しました。私の耳元に桜花弁は在る筈も無く、耳元で子守唄然と宙に染み込ませられていった声音は手元の端末から無機質に届くもので、決して傍らに三十六度の温もりや息遣いは存在しないのに。まるで同じ部屋で別のことをして指を絡めあっているような安寧、若しくは成猫が陽だまりに微睡んでいる温度で。ともすれば幾許か不条理な喧騒が訪れればあえかにかき消されてしまう儚い音色。きっと柔らかな音程を他者からの騒音に阻まれようものなら切なく苛まれ、再度の施しを望むのだろうと予想に易い程、心に馴染む歌声でした。素敵な歌をありがとうございます。貴女が居てくれて、幸福です。