呪詛屋の女主人 黒魔女さとら
Eve
呪詛屋の女主人 黒魔女さとら
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古い店構えに、怪しいアイテムが並ぶ。魔法陣の書かれた羊皮紙、ルーン文字等呪詛の刻まれたアクセサリー、不思議な色の液体の入った小瓶…さほど大きくはない店いっぱいに商品が所狭しと並び、店内は何となく薄暗い。しかし、そんな陰気にも取れる空間に、黒のローブを加工したドレスに身を包んだ美女が、明るく微笑んで声をかける。
「いらっしゃい!お久しぶりね。お茶でも飲んでいかない?」
竹を割ったような真っ直ぐな性格に、きりりとした佇まい。彼女のお陰で、店の中も何となく明るく居心地よく感じる。
そんな彼女の明るさか、それとも情深い性格のせいか…彼女を頼り助けを求める声は後を絶たない。今日もまた、お店の相談事や生活の悩みを聞く。中には彼女の出す美味しいお茶が目当ての者も居るかもしれない。どんな些細な事でも、この女主人は分け隔てなくアドバイスをしてくれる。そう、この人物にも…
「さぁとぉらぁさぁーーーん!!何度もすいませんんん!いらっしゃいますかぁ?」
はぁぁ…大きなため息をついて、ドアを開く。
「ニフ、またなんか仕事が終わらないの?…全く。ちょうど休憩にってお茶入れたところだから、上がっていきなさい」
「本当ですか!?私もお菓子を買ってきたので、一緒に食べましょう」
急に明るくなるニフに更に呆れるさとら。とはいえ、呪詛作りの休憩に茶菓子が来たのは歓迎だ。
「そうそう。この前武器屋の主人から素材が足りないって相談受けたんだけど、出張所からも依頼を出せない?」
「うーん、分かりました。こちらからも募集をかけてみますね」
さとらには、理事会では吸い上げきれない細やかな相談を請け負うというもう一つの顔がある。彼女に相談すれば、商店街や理事会…みんなの力で助け合う事が出来る。
「…あ!それはそうと…以前お願いした花祭の準備の件、精霊にお話しました?そろそろ企画を進めてますよね?」
ニフはニコニコと自分のまとめた資料を取り出しながらさとらに問いかけた。
…………長い沈黙に真顔のさとら。ゆっくり笑みの消えるニフ…………。
「…こんな時こそ、冷静になりましょうか」
「え?ちょっ…さとらさん!!??」
「なんなのよ!まるで毎日ダンスさせられてるかのような忙しいさ!あぁ!でも花祭での場所の件はちゃんと進めたんだから!後は理事会の承認待ちだけど、勿論、それを知らせに来たのよね?」
「………あーーーーーーー!!!!」
「ニフーーーー!!」
怒涛の忙しさに頭の中が宙を舞う。普通ならば、とっくにキャパをオーバーしたこの状況、最悪だと吐き捨ててしまうだろうが、一通り叫びあった2人はゲラゲラ笑いだし、仕方ないよね!と改めて互いに手を取りあった。
さぁ、貴方の仕事を進めたいのならば是非、彼女の店へ相談しに来て欲しい。そして、出来るならば彼女から祭りの準備に誘われたら、快く手伝っていただきたい。
「ようこそ、キリエの商店街へ。私は呪詛屋のさとら。この街の仲間になってくれて本当に嬉しいわ!一緒に楽しんで行きましょうね。何時だって歓迎するわ」
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NPC さとらより、心からメンバー様を歓迎致します。
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