「さて、と......」

「あのう、僕」

「ごめんください」

「姐こちゃん、お仕事だよ」

カウンターでグラス磨きに勤しんでいた浅葱に、激震が走った。つい先ほど突如現れた子供、おませな幼女が、くるりと巻き髪を指で回しながら発した一言のせいだった。

カスタムメニュー☕️路地裏珈琲スタッフ編

「すごいじゃないか......何をどうやったら、アレがこうなるんだ」

その日、僕はカウンターの中でずっと難しい顔をしてサイフォンとにらめっこしていた。球面のガラスで、ムスッと膨れた髭面が、そこそこ不細工に歪んでいる。

あなたはマスター達との、出会いを覚えて居るだろうか？

おそらく40前後と推察される、2人の紳士。

寂れたカフェのマスターに、声を掛けられたらご用心。

ビルエヴァンスの珠玉のワルツには実は歌が乗っているバージョンがあります。