添いたい心
伸太郎「」菊花「」
添いたい心
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8年前失踪した友レイガは復讐に心を奪われていた。彼の暴走を止めようと追いかけた伸太郎とかつての恋人菊花に刃を向けた。
レイガは一国を滅ぼすために使った毒を恋人へ与え再び2人の前から姿を消したのだった。
菊花に残された時間は僅かだった。
けれど、彼女は怒りもしなければ泣きもしない。
毎日、見舞う伸太郎に今まで見たことの無いような穏やかな微笑を向けていた。
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菊花「ねえ伸太郎、デートしようか?」
伸太郎ー菊花は久方ぶりの笑顔で言った
菊花「懐かしいねここのベンチ。裏の落書き…はないか。新しいのに変わってるもんね」
伸太郎ー彼女はあの頃3人でよく行った場所を回っていた
デートなんて言ったけど彼女の視線の先にあの頃のレイガがいる気がした
伸太郎「あれから8年だ、残っていないものの方が多いさ」
菊花「この街はたくさん変わってしまったけれど、変わらないものもある。この桜、あの頃と変わらず綺麗に咲いていると思わない?」
伸太郎「あの頃を思い出すくらいに変わらないな。この樹は」
菊花「変わらない思いだってあると思うの」
伸太郎「……レイガのことがまだ好きか?」
菊花「あの人の心はもうわたしには見えない。……でも、あなたにはみえてるんじゃないの?あの人の心に添いたいと思っているんじゃ……」
伸太郎「見えねぇよ、愛した女を傷つけるまでに至ったあいつの気持ちなんて。」
伸太郎ー変わらない思い。あるとしたらそれは
(8年前)
菊花『……伸太郎、私が側にいる。レイガがいなくても私と世界を生きようよ』
伸太郎ー差し出された手を掴んだあの日の約束だけだ
伸太郎「俺は菊花といる世界が続けばいい」
菊花「……大丈夫よ。負けないから。生きてみせるから」
伸太郎ーこの暖かい手を……離さない
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握りしめた手の大きさに菊花は願った。
彼がレイガのように復讐に心奪われないことを。
自分の居なくなった世界を彼が生き続けてくれることを。
4作目です
久方ぶりに台本を書きました。
1作目「決別」の続きになっています。
お借りした曲
サイト DOVA-SYNDROME
https://dova-s.jp/
曲名 「ワスレナグサ」
作曲者 まんぼう二等兵 さま
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