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白日(-4)【旅芸人一座の物語〜第21話】
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リレー小説【旅芸人一座の物語】第21話です。 物語の時系列としては 第17話「僕のこと」の直後です。 第17話「僕のこと」 https://nana-music.com/sounds/063402dd 以下、過去作品の紹介からあらすじ紹介まで、 はこべさんのキャプションを転載します。 その後、物語になりますのでお楽しみください♪ ※文章の無断転載はなさらないで下さいね。 ※作中の登場人物は全て架空の存在です。 nana上のフレンドさんからお名前はお借りしている部分もありますが、性格その他全くの創作です。 ご了承ください。 ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ 【旅芸人一座の物語】 企画:エリス羽衣 書き手:エリス羽衣・清水はこべ(箱) ★まとめ読みプレイリスト ① https://nana-music.com/playlists/3601402https://nana-music.com/playlists/3730970 ★時系列順まとめページ https://nana-music.com/sounds/061cd18e ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ 旅芸人一座の物語 第21話「白日」 書き手:エリス羽衣 ボーカル:エリス羽衣 ★これまでのあらすじ 王宮に招かれた旅芸人一座。 その実態は、王宮の秘密を探る諜報集団。 何も知らない、貴族の少女アコベールは、一座の歌姫エリージャの歌に魅了され、エリージャもまた、アコベールの無邪気さに癒される。 一座が王宮を去る日、馬車の荷台に隠れて、こっそりエリージャについて行こうとしたアコベールだったが、すぐに見つかり、王宮へ帰される事に。 一頭の馬に乗り、王宮を目指すエリージャとアコベールが見たものは、炎に包まれたアコベールの屋敷だった。 炎を逃れた二人は、老医師ミムルドの元を訪れる。 ミムルドは、アコベールの後ろ盾になる事を約束。 一座に戻ったエリージャは、ミムルドからの伝言を ジェイに伝えた。ジェイはミカに座長代理を頼んで、 慌ただしく出立していった。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 座長代理の役得で手に入れた専用天幕に戻ったミカは、 片頬をゆがめてため息をついた。 「ミカ姐が教えてくれたんでしょ、かあ…」 一座に入ったばかりのエリージャを いいように使っていた連中を一喝したのは本当だ。 だが。 (あたしはあんたが思ってるほど、いい人じゃない) 部屋の真ん中に置かれたろうそくの炎を見ながら ミカはエリージャと初めて会ったときのことを 思い出していた。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ あのときも、どこかの森で野営をしていたのだった。 「おい、誰か来てくれ」 夜中に天幕の外から座長の声が聞こえた。 出入り口に近い位置に寝ていたミカは、身を起こした。 どのみち夜中の厄介ごと(夜中に起こされるなんて 厄介ごとに決まっている)の対応は、新人(といっても そろそろ一年経つが)である自分の役目だ。 外に出ると、月明かりの下、何かを背負った座長が 立っていた。 「ミカか?…こいつを頼む。ケガしてる。 世話してやってくれ」 「え?ええ???」 座長が背中から降ろしたのは、 ぐったりしている女の子だった。 寝具の上に寝かせるまでは座長がしてくれたが、 頼んだぞの一言だけ残して去っていってしまった。 (え、熱あるよこの子…それにケガって一体どこに?) 手桶に汲んだ水で濡らした手拭いで体をそっと拭って やりながらケガの有無を確かめていく。左の足首が 腫れているようだった。 背中も拭いてやろうと脇の下から手を入れて 背中を支えようとしたとき、ぬるっとした嫌な感触が 手のひらに当たった。 「ぎゃーっ!!」 「ちょっと、なに?……うるさいよ新人。早く寝な」 天幕の奥のほう(ベテランだ)から 叱責の声が飛んできた。 (そんなこと言ったって……!!!) ミカは泣きたい気分で闇に向かって イーッとしかめっ面を向けた。 ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 次の日。 「座長!」 ミカは座長の天幕へ向かった。 「血止めの薬と化膿止めの薬をください。 背中の傷がひどくて…」 「おお、いいぞ。ちょうどこないだ町で 薬を買い足したところだ。ほれ」 薬は高価だ。座長は金銭にはうるさい男なので、 こんなにすんなりと薬をくれるとは意外だった。 女の子は3日間、熱を出したまま眠り続けた。 ミカはその間、背中の傷を水で洗ってやり、 薬を塗ってやり、唇を湿してやった。 怪我人の世話をしているからといって、 その他の仕事が免除になるわけではない。 炊事当番もこなしつつ、洗濯物は川まで行って 洗わなければならない。しかも自分の分だけでなく、 怪我人の血で汚れてしまった敷布まで。 「ったく、なんであたしが!」 先輩たちは今日、馬車を出して町まで出かけていった。 新しい衣装、楽譜、甘い嗜好品、みんな欲しいものは 山ほどある。 (新色の紅とかほしかったんだけどな。 でも頼むと手間賃ボられるしなぁ) 二人分の洗濯をし、エリージャの背中を洗うための 水を多めに汲み、細々立ち働いているうちに 町に行った連中が帰ってきた。 明らかにご機嫌な様子が見てとれる。 彼女たちは馬車から降りるとそのまま座長の天幕へ 入っていった。 しばらくして出てきたときには、 野営地に戻ってきたとき以上にはしゃいでいた。 「良い値が付いたね!やった!」 「あの居酒屋は狙い目ね!また次も行こうっと」 (ははあ…なるほどね。買い物だけじゃないんだ。 情報収集もちゃっかりしてくるってわけか) ミカには目もくれずに通り過ぎていく彼女たちの背中を 見るうち、ミカはなんだか腹が立ってきた。 (あたしは怪我人の世話を押し付けられて、 買い物にも行けず情報も得られずなのに… だいたいただ働きっていうのがおかしいのよっ!) ミカは座長の元へ直談判しに行った。 (第22話へ続きます) ★ーーー✴︎ーーー★ーーー✴︎ーーー★ お読みいただきありがとうございました😊 久しぶりの一座の物語です。 なんと2年ぶり!!!! 自分でも細かいことを忘れてしまっていて、過去作を読み返しながら書きました笑 そして案の定長くなったので前後編です😅💦 文章書くの久しぶり過ぎて(2年ぶりだもん) 取捨選択が下手くそだわ💦💦 🔹「旅芸人一座の物語」に、オリジナルの主題歌とMVが出来ました! 「架空映画化」をイメージして、素晴らしいクリエイターの皆様にご参加頂いて、数ヶ月の濃密なやり取りを経て生まれた作品です。 「夜明けの足跡」オリジナルMV (架空映画「旅芸人一座の物語」主題歌) ✴︎nana  https://nana-music.com/sounds/0654ab2b ✴︎YouTube  https://youtu.be/MnLi_6_yc_M ✴︎ーーー★ーーー✴︎ 「白日」 【旅芸人一座の物語〜第21話】 ★音楽 King Gnu「白日」 作詞:常田大希 作曲:常田大希 演奏:ちび https://nana-music.com/sounds/05045ae6 歌唱:エリス羽衣 
 ★読み物 「旅芸人一座の物語」 企画:エリス羽衣 https://nana-music.com/sounds/05fd857f 書き手:エリス羽衣・清水はこべ(箱) (第21話書き手:エリス羽衣) #白日 #KingGnu #キングヌー #ドラマ #DTMer #ちび #凸コラ #旅芸人一座の物語 #ちびさんとエリス #エリスキングヌー #エリス2024の08

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