RAINBOW CIRCUS
The Epic of Harmosphere第4章
RAINBOW CIRCUS
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第2節「ラットアタットサーカス団」
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「レディース&……いえいえ、違いましたね!今日は親愛なるお嬢さん方お二人の為の特別ステージ!我が移動式サーカスラットアタットサーカス団は四つ国いちのパフォーマーばかり!さぁ最初に登場いたしますのは、当サーカス一番の芸達者!ピエロのスニカーです!」
ステージに現れたタダーがテント中に響き渡る声でそう宣言すると、ジャジャン!と音楽ともにステージの反対側がライトで照らされる。
しかしそこにあるのは全面が大きくあいている巨大な空の箱だけだ。
「あら?空だわ!」
「うん。空だね」
「おやおや~?どうしてしまったのでしょう!ここの下でしょうか!?それとも箱の後ろ側?スニカー!どこへ行ってしまったのですか!?」
タダーは大仰な身振りで箱の全面の蓋を閉め、箱の周りをぐるぐると回り始める。そして、箱自体をくるりと回転させる。すると……
「おっとっと!遅刻をしてしまいましたかね?いや、きっとまだバレていないはずです」
なんと空だった箱の中から突然スニカーが飛び出してきた。スニカーは慌ててやってきたかのような仕草でジャケットの裾をおどけて直している。
「わぁ!全然魔力を感じなかったわ!あれも『せじな』かしら!」
「『手品』だよ。多分そうじゃないかな」
「こらっ!スニカー!遅刻ですよ!」
「これは失礼しました!急げ急げ!」
スニカーは大袈裟に慌てた様子で車輪がひとつしかない不思議な乗り物に乗ると、そのまま器用にステージじゅうを走り回る。細い台の上にもまるで自分の足のように器用にジャンプし、走り抜ける姿にオホツチとワダツミは夢中で拍手した。
「遅刻のお詫びに皆さんにプレゼントをお贈りすることにしましょう!」
そういうとスニカーは懐から細長い何かを取り出すと不思議な乗り物に乗りながら、それを膨らませて器用にねじって動物の姿に変えていく。それをぽいぽいと捨てていくが、風船でできた動物たちは地面に着地した瞬間に命を得たように走り回り始める。そのうちの一匹──ピンクのうさぎはオホツチの胸に飛び込んできた。
「わっ!」
「あはは!かわいいわ!」
カラフルな動物で溢れかえったステージだったがそこに凛とした声が響いた。
「女王陛下のお通りだぞ!」
するとステージ奥の幕の向こうから金色の毛並みの立派な雌ライオンが飛び出した。風船の動物たちは慌てて道をあける。
「誇り高き貴婦人レディのダンスをご覧あれ!」
肩に白いネズミをのせたスクイークがそういうとレディはステージにある障害物のうえをひらりひらりと飛んでいく。さらにスクイークがステージ中央にある輪に火をつけたが、レディはそれに恐れることもなく火の輪をしなやかに身をしならせてくぐっていく。
「お次はスリーピーの曲芸……あれ?スリーピーはどこだろう?」
「ネボウ!ネボウ!」
「あぁ、まったく!スリーピー!起きて!」
オウムのチャッティとスニカーの言葉に、ステージの奥でクマのスリーピーが顔を擦りながら起き上がるときょとんとした顔をしてみせる。
「コッチダ!ネボスケクマ!」
チャッティがそばにあった自転車のハンドルに飛び移ると、スリーピーはそれだ!という顔でそれにそれに飛び乗る。そして上手く自転車をこぎつつバランスをとってその上でポーズを決める。
「わぁ、すごいな」
「すごいわね!とっても器用ね!」
しばらくステージをぐるぐると走っていたスリーピーだったが、そこにさらに2人の影が加わる。
「あははっ!オホツチ!ワダツミ!見て見て!これが団長に新しく買ってもらった靴だよ!」
「もう、チューウィー!本番なのに勝手にお喋りしたらダメだよ……!」
「あー!そうだった!ごめんごめん!ちゃんと集中するから!」
チューウィーはぺろっと舌を出して笑った。
車輪のついた珍しい靴を履いた2人は、ステージの上をまるで氷のようにくるくると滑りながら手にしているジャグリングのクラブを投げている。クラブはまるで生き物のように右手へ左手へ、チューウィーからフラッフィーへと移動する。
「さぁ、最後の大技だよっ!」
チューウィーはそのままステージに作られたスロープをスピードを上げて上りきると空中でくるりと一回転した。その軌道をなぞるようにフラッフィーが少し遅れてスロープからジャンプする。赤と青の2色のクラブが水が流れるように美しく二人の間を飛び回る。
「あっ!あそこに誰かいるわ!」
飛び上がったフラッフィーを視線で追っていたワダツミはテントのはるか上に立つ人物を見つけて興奮したように声を上げた。ふわふわの可愛らしいドレスに身を包んだその人影はスウェーだ。
スウェーはリングから天井近くに作られた足場から近くにあったブランコを掴むと、躊躇いなく地面を蹴った。
「わぁ……」「ひぇ……」
思わず目を覆った2人の手の隙間から、スウェーの白い衣装がひらひらとたなびくのが見えた。スウェーは客席を見下ろすと安心させるように2人に微笑みかけ、そのまま空中で一回転する。ふわりとドレスが花のように広がる。そして向かい側からやってきたブランコに危なげなく飛び移る。
ホッとしたのも束の間、スウェーは1往復したブランコからそのまま先程のブランコへと後ろ向きに回転して飛び移る。
「うわぁ!」「気をつけて!」
手に汗を握る2人だったが、やがてスウェーは最後に4回転を華麗に決めると、足場に備え付けられたハシゴからステージに降りてきた。
にっこりと微笑んで会釈したスウェーだったがしばらく辺りをきょろきょろとすると、ムッとした顔で舞台裏へと去っていく。しばらくしてスウェーに引っ張られてクランクがやってきた。
(今のは演出じゃなさそう……)
(演出じゃなさそうだね……)
そしてスウェーは先ほど舞台裏で見た的の前に立った。クランクは気だるげに手元で何本かナイフを弄んでいたが、やがて的に向かって構える。
しんと静まり返った中、クランクの手元から真っ直ぐナイフが飛びスウェーの顔の真横の風船をぱちんと割る。
さらにそのまま2本3本とナイフが飛んでいく。反対の顔の真横、足の間、胴体のギリギリ近く。ナイフが投げられる度にワダツミはオホツチに抱きついたが、視線はステージに釘付けだ。そして最後に頭の真上の風船が割られ──
「ジャジャーン!我がサーカス自慢のナイフ投げクランクの妙技はいかがでしたか!?さぁまだまだサーカスは続きますよ!」
風船から吹き出した大量の紙吹雪と共に、タダーの楽しそうな声が響く。どうやらまだサーカスは終わらないようだ……
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「楽しい時間はまさに矢のごとく光のごとく過ぎ去ってしまうものですねぇ……!」
地平線が朝日で赤く染まった頃、オホツチとワダツミはテントの前で団員たちに見送られていた。
「とても楽しかったわ。僕、サーカスが好きになったわ!」
「とても楽しかったよ。私もサーカスが好きになったよ!」
「それは良かったです!なんなら我がサーカス団に入団して頂いても良いんですよ?」
タダーは目を輝かせてそう言う。
「それは無理だ。旅を続けないと」
「そうね無理だわ。旅をするのが掟なの」
「そうですか……」
そしてしゅんと肩を落とした。その様子に2人は顔を見合せて苦笑する。
「でもまたみんなに会えたら、その時は絶対サーカスを見に来るよ」
「そうね!ポップコーンもまた食べたいし!」
「ははは!ええ、またお会いましょう!団員一同お二人の旅路の幸運をお祈りしておりますよ!」
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🎪タダー・ラットアタット(cv.くらげ∞)
🩷スウェー・ラットアタット(cv.楓🍁)
💜クランク・ラットアタット(cv.❁*。ちみ。*❁)
🖤スニカー・ラットアタット(cv.レイ)
🤍スクイーク・ラットアタット(cv.心鳥)
❤️チューウィー・ラットアタット(cv.なぎ)
💙フラッフィー・ラットアタット(cv.春野)
All:(Tick Tack) ❤️幕開けさ
All:(Tick Tack) 💙始まりです
❤️💙夢が咲くよ
💜この瞬間を 💙共有してく
🎪🖤チケットキミは持ってるだろう?
All:(Focus) 🤍瞬きさえ
All:(Focus) 🖤させやしませんよ!
🤍🖤見つめていて
💜fine-おわり-のベル ❤️鳴り響くまで
🎪💙幸せを君にあげよう
💜空を裂いた Knife 🩷子猫はダンス
💜🩷キラめきはSpot Light
❤️最高のプログラム 🖤準備は万端ですよ
All:めくるめくイリュージョン!
All:感動 Show time!(Show time!)
On stage!(On stage!) Tonight!(Tonght!)
🩷世界中でひとつの場所
All:Welcome to stage!(to stage!)
Today's(Today's) On stars!(On stars!)
🤍猛獣たちがテントを揺らすよ
🎪誰もが夢中になれる
All:Oh Rainbow Circus Live!
All:(Yes!)Fantastic night!
Fantastic night! 耳澄まして…
(Yes!)Fantastic night!
Fantastic night! 夢が流れだす…
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🎪タダー・ラットアタット(cv.くらげ∞)
ラットアタットサーカス団の団長。
「驚きと喜びが人生を豊かにする」がモットーで、寝ても覚めてもご飯を食べててもサーカスのことばかり考えている変人。大仰な身振り手振りを交えて物凄い勢いで喋る癖がある。
杖はいつも被っているシルクハット。
【固有魔法】
「サーカスを始めよう(ショー·マスト·ゴーオン)」
好きな場所に瞬時にサーカスのテントを建てる魔法
🩷スウェー・ラットアタット(cv.楓🍁)
空中ブランコ担当。高身長だが愛らしい外見。
可愛いものが大好きでいつもふわふわの衣装を着ており、可愛い姉妹たちも溺愛している。おっとりした性格だが怒るとタダーですら震え上がるほど怖い。
杖は団長から初めて貰ったドレス。
【固有魔法】
「好きなように踊らせて!(マイ·フェイバリット·シングス)」
どんなものでも可愛らしく飾り立てる魔法
💜クランク・ラットアタット(cv.❁*。ちみ。*❁)
ナイフ投げ担当。気だるげでグラマラスな見た目。
いつもやる気がなく、ステージをサボろうとしては他のメンバーに叱られて舞台に引っ張り出されている。しかしナイフの腕はピカイチ。ヘビースモーカー。
杖は足につけるタイプのナイフホルダー。
【固有魔法】
「真実は煙の中へ(スモーク·アンド·ミラー)」
相手の認識をうやむやにする魔法
🖤スニカー・ラットアタット(cv.レイ)
サーカス団のピエロ担当。
おしゃべり好きなお調子者で、いつも派手なメイクと衣装を身にまとっている。笑顔が胡散臭く、更にジョークのセンスがブラック過ぎたりと壊滅的なため、他のメンバーにはピエロに向いてないのでは?と言われている。
杖はサーカスのチケットの半券。
【固有魔法】
「お前の宝は何だ?(ザット·キャノット·ビー·シーン)」
相手が最も大切にしているものを奪う魔法
❤️チューウィー・ラットアタット(cv.なぎ)
サーカス団の曲芸担当。
フラッフィーとは瓜二つの双子だが、性格は自信家で傍若無人。いつも元気いっぱいで声も大きい。しかし衝動的に行動して失敗することも。サーカスの舞台で注目を浴びるのが大好きなのでサーカスは気に入っている。
杖は赤いジャグリングのクラブ。
【固有魔法】
「紳士淑女の皆さんご覧あれ(ホップ·アップ)」
物にかかる重力を軽くする魔法
💙フラッフィー・ラットアタット(cv.春野)
サーカス団の曲芸担当。
チューウィーとは瓜二つの双子だが、性格は大人しく引っ込み思案。用心深く聡明だが、声が小さく、上手く自分の意見が言えないことも多い。サーカスの皆のことは好きだが個性豊かなメンバーに頭を悩ますことも。
杖は青いジャグリングのクラブ。
【固有魔法】
「紳士淑女の皆さんご覧あれ(シット·ダウン)」
物にかかる重力を重くする魔法
🤍スクイーク・ラットアタット(cv.心鳥)
サーカス団の猛獣使い担当。
少年のような小柄な見た目。破天荒な団員たちに呆れておりツンツンした言動をするが、動物たちに優しく、さらに姉妹で1番年下ということもあり「反抗期か~」という生暖かい目で甘やかされているのが不満らしい。
杖は1代目オーネストの骨。(今は2代目)
【固有魔法】
「私の小さな友人たち(リトル·トーカー)」
動物たちと会話できるようになる魔法
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𓆙第4章 プレイリスト𓆙
https://nana-music.com/playlists/4096351
𓆙 素敵な伴奏ありがとうございました𓆙
QuesTesT様
https://nana-music.com/sounds/05ac92c7
𓆙 𝕋𝕒𝕘 𓆙
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