キャンディアイス・テンプテーション
🎪タダー·🖤スニカー·🤍スクイーク
キャンディアイス・テンプテーション
- 65
- 8
- 0
第2節「ラットアタットサーカス団」
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
「…………」
「…………」
道を見失い、散々さまよった山の中。枝をかき分けながら進んだ獣道の先で目に飛び込んできたものにオホツチとワダツミは口をあんぐりと開けて絶句していた。
「何かしら、あれ」
「何だろうね、あれ」
人影どころか動物の姿もほとんど見えないような寂しげな野原に、どっしりと鎮座していたのは巨大なテントだった。色とりどりの旗で飾られた黄色と赤の派手な色をしたテントは、月明かりの下で照明に照らされてぴかぴかと光っている。
「テントのように見えるけど」
「テントに見えるわ!でもすごく派手!」
「確かにすごく派手だ。それにとても大きい」
「とっても大きいわね!あんな大きなテント、どんな人が住んでるのかしら!」
2人が見たこともない建物に声を弾ませ、テントの周りをぐるぐると歩き回っているとテントの一部がめくり上がり、そこから派手な服を着た少女が2人が姿を現した。
「あーあ、退屈退屈退屈すぎるっ!退屈すぎてボク石になっちゃいそうだよーっ!フラッフィーもそう思わない?」
「チューウィーったら声が大きいよ……確かに気持ちは分かるけど、団長がここにテントを建てるって決めたんだから仕方ないよ」
荷物の入った木箱を運ぶ二人は、おそらく双子だとすぐ分かるほど顔がそっくりだが性格はかなり違うらしい。チューウィーと呼ばれる少女は元気いっぱいに不満を喋り続けているが、フラッフィーと呼ばれる少女の方はかなり大人しい性格らしくぼそぼそとそれをなだめている。
「団長も団長だよ!『このサーカスという素晴らしい文化を広めるためには、あらゆる場所で公演をしなくてはならないのです!』だっけ?言いたいことは分かるけどさ、こんな村どころか家ひとつない所でサーカスをしたってお客さんが来るわけ……」
誰かの物真似らしきものを披露していたチューウィーは、その途中で物珍しそうと自分を見つめるオホツチとワダツミと目が合うと、そのまままばたきを3回した。そして。
「お客さんだーーーーーーーーーーーッ!!!ようこそ!ちょっと待ってて!そこ動かないで!」
「「…………わっ!」」
大きな声で叫ぶとテントの中に飛び込んで行ってしまった。オホツチとワダツミは驚いて飛び上がったときにお互いを抱きしめ合ったポーズのままその様子に顔を見合わせた。
しばらくするとチューウィーは何人か新しい人々を引き連れて戻ってきた。
「あらあら本当にお客様なのね。でもその様子だとまたチューウィーが驚かせてしまったのね。ごめんなさいなのよ。でも、ずっと待っていたお客様が来てくれて嬉しかったからなのよ」
最初に口を開いたのはフリルの沢山ついた可愛らしい服をきた女性だった。見た目通りの可愛らしい声で2人に声をかけてくれたが、その身長は2人が見上げなければならないほど高い。カガチ島の男衆でもこんなに背の高い人は居なかった。
「いやはや、スウェーの言う通り一時はどうなることかと思いましたが本当におふたりが来てくれて良かった!お客様がいらっしゃるのを首をながーくして待っていたのですよ!このままお客様が来なければ我々も首が回らなくなって、首を括ることになっていたかも……」
次にぺらぺらと喋り始めたのは派手なメイクをした人物だった。中性的な見た目だがどうやら女性らしい。彼女は喋り終えたあとに困惑しているオホツチとワダツミの顔を交互に観察するように見つめると、肩を落としてため息をついた。
「うーん、面白くなったですかねぇ。今のは首を長くと首が回らないと首を括るの「首」を3つをかけた会心のジョークだったのですが……」
「スニカー姉の冗談ってホント最悪のセンス。マジで面白くないから」
次に口を開いたのは肩に白いネズミをのせた少女だった。少女はツンとした表情でそっぽを向く。
そのやり取りにオホツチとワダツミが心配そうに顔を見合わせると、スウェーが朗らかに笑いながら2人に話しかける。
「心配しなくていいのよ。スクイークのあれはいつものことなの。きっと反抗期なのよ」
「反抗期じゃないって言ってるだろ!もうそんな歳でもないし……」
スクイークは眉を吊り上げて怒っているが、スウェーとスニカーはその様子を吠える子犬を見るような目で微笑ましそうに見ている。
「あら?ところでクランクはどこなのかしら」
「さっき舞台裏で煙草吸ってるの見たよ!」
「あっ、ちょっとチューウィー……!」
フラッフィーが慌ててチューウィーの口を塞いだが時すでに遅く、その言葉を聞いたスウェーは目元をぴくりと動かすと微笑んだ。先ほどと同じ優しげな笑顔だがどこか雰囲気の違う笑顔にチューウィーはフラッフィーの後ろに慌てて隠れる。
「クランクったら、何度も舞台裏は火気厳禁って言ってるのよ……チューウィー、教えてくれてありがとうなのよ」
「あ、あぅ……どういたしまして……あぁ、ごめんクランク、安らかに眠れ……」
そんな騒ぎを引き裂くように、華やかで明るくそして何よりもよく通る声が突然響き渡った。
「お客様が来たというのは本当かな!?やぁスウェー15分ぶりかな?今日も君は世界一可愛いね!そこに居るのは勤勉なスニカー!今日も四つ国で一番のコメディアンを目指しているかい?我がサーカスの愛すべきチューウィーとフラッフィーもいるじゃあないか!チューウィーは今日も大きな声でお客様に挨拶できたようだね?パフォーマーにとって声の大きさは素晴らしい強みだ!いやいやフラッフィーも気にする事はない、君の思慮深さは我がサーカスには無くてはならない!誰も欠けてはならない才能だ!おやおやスクイークはどうしてそんな顰め面をしているんだい?私の小さい子ネズミちゃん、どうか笑っておくれ!」
「はぁ……相変わらずうるさ……」
スクイークのため息と共に姿を現したのは、シルクハットを被った女性だった。何故か小脇に気だるげな雰囲気の女性を抱えているが、それを感じさせない軽やかな足取りである。おそらく話の流れからすると抱えて連れられてきているのが先ほど話に出ていたクランクだろう。
そしてその女性はクランクを木箱の上に座らせると風のように素早くオホツチとワダツミの背後に移動し、2人の方を馴れ馴れしく抱き寄せた。
「そして心待ちにしていた大切なお客様!しかもおふたりも!さぁさぁさぁさぁ遠慮せずテントの中へ!団員全員が貴女方を歓迎致します!」
「ええっと、さっきから何度もお客様って言われてるけど……」
「そう!何度もお客様って言われてるけど僕たちなんの事か分からないわ!」
怒涛の言葉の洪水に混乱する2人を彼女は驚いたように交互に見つめると、肩を抱いていた手を離し頭の上のシルクハットを取って、恭しくお辞儀をして見せた。そしてこう告げた。
「これは失礼!私はこのサーカス団の団長タダー・ラットアタットと申します!お客様のためなら火の中、水の中、空の上でも地の下であろうと伺います!ようこそ!移動式サーカスラットアタットサーカス団へ!」
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
🎪タダー・ラットアタット(cv.くらげ∞)
🖤スニカー・ラットアタット(cv.レイ)
🤍スクイーク・ラットアタット(cv.心鳥)
🎪「一名様、ご案内~~!!!!」
🤍「このくだんない世界 逃げ出したくない?」
🖤「そんじゃ行こう 秘密のダンスフロア」
Here we go
🖤信号もないのに クルマが止まったら
それがこのくだんない日常をぬけだす
最後のチャンスさ
🤍”ねぇ、もっといいところへ連れてって”
それは暗号 君のその声で
扉があいたら飛び乗るだけ
🎪Welcome to the wonderland
さぁいただこう秘密の甘いお菓子を Ah
All:Candy ice
🎪甘くなって
All:Candy ice
🤍とろけだして
All:Candy ice
🖤君はもうきっとおりこうさんじゃいらんない
All:Candy ice
🎪溺れちゃって
All:Candy ice
🖤覚えちゃって
All:Candy ice
🤍君はもう虜 トびそうな快感
🤍人生なんてつまんないから
🖤人間なんてやめちゃって
All:Candy ice 貪ろう キメよう
そんでもう全部バイバイバイ
🎪「孤独だったんだろ?こっちおいでよ」
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
🎪タダー・ラットアタット(cv.くらげ∞)
ラットアタットサーカス団の団長。
「驚きと喜びが人生を豊かにする」がモットーで、寝ても覚めてもご飯を食べててもサーカスのことばかり考えている変人。大仰な身振り手振りを交えて物凄い勢いで喋る癖がある。
【固有魔法】
「サーカスを始めよう(ショー·マスト·ゴーオン)」
好きな場所に瞬時にサーカスのテントを建てる魔法
🖤スニカー・ラットアタット(cv.レイ)
サーカス団のピエロ担当。
おしゃべり好きなお調子者で、いつも派手なメイクと衣装を身にまとっている。笑顔が胡散臭く、更にジョークのセンスがブラック過ぎたりと壊滅的なため、他のメンバーにはピエロに向いてないのでは?と言われている。
【固有魔法】
「お前の宝は何だ?(ザット·キャノット·ビー·シーン)」
相手が最も大切にしているものを奪う魔法
🤍スクイーク・ラットアタット(cv.心鳥)
サーカス団の猛獣使い担当。
少年のような小柄な見た目。破天荒な団員たちに呆れておりツンツンした言動をするが、動物たちに優しく、さらに姉妹で1番年下ということもあり「反抗期か~」という生暖かい目で甘やかされているのが不満らしい。
【固有魔法】
「私の小さな友人たち(リトル·トーカー)」
動物たちと会話できるようになる魔法
⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒
𓆙第4章 プレイリスト𓆙
https://nana-music.com/playlists/4096351
𓆙 素敵な伴奏ありがとうございました𓆙
ちーと様
https://nana-music.com/sounds/063a1317
𓆙 𝕋𝕒𝕘 𓆙
#luz #しゅーず #センラ #XYZ #カラスヤサボウ #違法伴奏じゃないです #ちーと伴奏
#魔女タダー #魔女スニカー #魔女スクイーク
コメント
まだコメントがありません