『魔法の鏡』
俺たちの出会いは偶然の出会いだった。
昔から力の弱かった彼は上級の吸血鬼や魔族に絡まれることが多く口車に乗りやすい彼はサンドバッグ要員として痛めつけられることが多かった。
それが吸血鬼や魔族間の弱肉強食の末路。弱いものは強い奴の食い物にされる。これが道理だ。
その日は普段より必要以上に痛めつけられた記憶だけはある。
目を覚ましたら知らない天井に知らない魔力に知らない女の子が古びたベットの横に座っていた。
「えぇっと……」
彼はそこで初めて自分に置かれた状況が上手く呑み込めず目に飛び込んできた自分のあまりにも滑稽な姿に苦笑いを浮かべた。
「あっ、よかっ……た……」
か細い女の子の声に視線を向けると看病してくれたであろう女の子から発された声だった。
正直その声音にすら魔力が篭っているようで少しクラクラする。
そんな彼女の笑顔はあまりにも自分とよく似た『力のない笑顔だった』
こんな偶然から始まった繋がりは今も尚途切れることなく続いている。
「私、風鬼君のよく似た人を事見たことあるんです」
「え、どこで?」
「鏡の中で。小さい時だったけど」
シエルの発言に風鬼は首を傾げた。
天井裏の狭くて小さな彼女の秘密基地、そこに設置されていた古い魔法の鏡に、彼は映ったと言う。
その時、何となく。
風鬼には思い当たる節があり乾いた声を漏らした。
(そっか、君はあの時の子か。……なんの因果かな)
魔法の練習がしたくて魔法道具を色々弄っていた時にどこかの鏡と誤って繋げてしまいそこに映し出された真っ白な少女。
少しだけ会話をして、忘れた頃に鏡に顔を見せてやれば決まって嬉しそうに笑う不思議な女の子。
魔法道具が割れてしまってからは記憶にすら残っていなかったあの子。
「私にとって、初めてのお友達は彼だったけど……1番仲のいいお友達は……風鬼君かも」
「そっか。」
妬けるなぁ……昔の自分に。
「風鬼君!!!!!!!!!」
LIVEが終わり全てのLIVEを見届けてから去ろうとした彼に声をかけてきた人物が1人。
聞き間違えるはずもない
見間違えるはずのない。
君の
貴方の
声
姿
振り返りたい欲を押さえつけ「何」と冷たく言い放つ。
あぁ、彼はまた嘘をつこうとしている。
彼は決まって私に嘘をつく時は私の顔を見てくれないから。
話したい事は沢山ある、伝えたい事も沢山。
でも、今は……今は……シエルは風鬼の手を強く握る。
予想だにしない彼女の行動にビクッと肩を震わせチラッとそちらに視線を向けると今にも泣き出しそうな彼女の瞳が見えた。
(泣かせたい訳じゃないんだけな……)
「あの……えっと……その……私……ちゃんと、見せれましたか……?」
「……うん、受け取ったよ。君の気持ち」
あぁ、やっとこっちを見てくれた。
シエルは風鬼の顔を見るとあの優しい微笑みを見せ1粒の涙を流した。
強大な魔力は弱い生き物からしたらそれだけで毒になるというのに……君の魔力は不思議と心地がいい。
「ねぇ、風鬼君」
「何」
わがままを言っても怒られないだろうか。
少しだけ、意地悪をしても良いだろうか。
そんな迷いを抱えながらも彼女は微かに震える声に力を込めた。
「名前を、呼んで……?」
「……………良いの?」
魔女の名前は基本呼ばないのが暗黙の了解。
魔女同士ならまだしも他種族に名前を呼ばれるのは忌み嫌っているはずだ。
それがわかった上で、風鬼は一度も彼女の名前を口にしたことがない。
それが彼と彼女を分ける境界線だったから。
「うん、1回だけ。」
私ここまで頑張ったんだよ。と言わんばかりの彼女の力強くも意地悪な視線に風鬼は「アハハ」と笑い飛ばしシエルと向き合い彼女の手を握り返す。
『お疲れ様、シエル。君は相変わらず大人しくない子だね』
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☁️天井裏の 狭い小さな部屋 そこには誰も 訪れたことはない 孤独な世界の真ん中で そっと 幸せを夢見てる 儚い少女
☁️(🌪)ある日のことです 古ぼけた鏡に 突然映った少年の姿 魔法使いと名乗ったその人は 私にそっくりな 笑顔で笑う
☁️(🌪)廻り始めた運命 変わり出す日常 初めてできた、「友達」って呼んでいいの!? 戸惑いながら鏡越し 重ねた瞬間に始まる
🌪魔法の時間
☁️「名前を呼んで?」
🌪☁️(☁️) 触れたその手から 伝わる君の声 暖かくて、不意に涙がこぼれ落ちた このままでずっと 握っていていいの? 寂しい世界で一人 ずっとずっと、待っていた 鏡の向こうの 優しい手
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☁️シエル/°しえる様
https://nana-music.com/users/4037971
🌪風鬼/疾風怒濤
https://nana-music.com/users/8017457
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#Onenightstage #ワンステ
#Onenightstage2nd #ワンステ2
#ワンステ君と歌いたい
#シエル #風鬼
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