ノンブレス・オブリージュ
🧊リィ(cv.???)/ピノキオピー
ノンブレス・オブリージュ
- 26
- 6
- 0
10番目の私〜人格統合経過報告〜『6.ノンブレス・オブリージュ』
----------♡----------
🧊5番目-リィ
チノはジタバタと容赦なく暴れていた。ひとまず身体の主導権はマオに明け渡し一命を取り留めたものの、チノがいる限りこの身体を守り続けることは難しいだろう。我を忘れた彼女はもう、排除すべき人格と言っても差し支えなかった。
「離せ離せ! どうせ皆消えるって分かってんだろ! だったら、いっそ……」
「うるさい! 自暴自棄になってるのはお前だけだよ。私だってこんなことはしたくない。頼むから、戻ってくれよ……!」
チノは、私と同じで口は悪いが、なんだかんだ頼りになる良いやつだ。仲間を消そうだなんて考えるはずがない。きっと、彼女は怯えて気が動転しているんだ。少し乱暴にでも押さえつけて、落ち着くのを待てばいつもの彼女に戻るだろう。
私は、必死で表の世界に戻ろうとする彼女を引き留めながら、自分自身に言い聞かせるようにそう考えていた。けれど、押さえれば押さえるほどに、チノは自制心を失っていった。
「皆で消えるんだ! それが一番苦しまなくて済むんだよ!」
「何を馬鹿なことを……!ああ……そんなに消えたいならな……!」
その先を口にしてはいけないと、私の内側が叫んでいる。けれどこのまま放っておけば、私はおろか、残った全ての人格が彼女によって消されてしまう。1人の命と、6人の命。どちらも同じ身体に宿る者ならば、私は──。
「お前だけ消えろよ!」
自分でも驚くほどに鋭い言葉が飛び出した。と、次の瞬間、無数の硝子の破片がチノの身体全体に突き刺さった。目を見開き驚愕した表情のまま、彼女はぴたりと動きを止めた。静止した身体には、徐々にヒビが入っていく。そして……。
チノの身体は、大きな音を立てて砕け散り、後には何も残らなかった。
「あぁ…………」
全身から力が抜けていく感覚を覚えた。真っ白な空間で、私は1人膝をついて呆然と前を見つめていた。
おそらく、私の言葉のせいでチノは消えた。この身体に消されたんだ。安堵と罪悪感が混ざりあって気持ちが悪い。皆のためとはいえ、私は絶対に手を出してはいけなかった引き金を引いてしまった。
「こんなこと、許されるはずが、ないな」
気がつけば、自分の手のひらにもギラリと光る硝子が突き刺さっていた。それを認知した瞬間、痛みがじわじわと全身に広がっていく。
「はは、こんなところまでお揃いじゃなくても良いのにな……」
表の世界から、マオの呼びかける声が聞こえてきた気がしたが、私にはもう、言葉を判別する力も残されていなかった。真っ白な空間の向こうにある光に手を伸ばしたまま、私はそっと意識を放棄した。
視界が黒に染まる直前。走馬灯のようにチノとの思い出を見た。同じ1人の人間だったはずの私たちは、何故か手を繋いで外の世界を歩いていた。
……ああ、そうか。そういうことか。
全部、思い出した。
----------♡----------
🧊リィ(cv.???)
----------♡----------
世界中のすべての人間に
好かれるなんて気持ち悪いよ
だけど一つになれない教室で
君と二人 手を繋いでいたいの
数の暴力に白旗をあげて
悪感情を殺してハイチーズ
ポストトゥルースの甘いディープキス
エロく歪んでるラブアンドピース
自己中の光線銃
乱射する 強者のナンセンス
オートクチュールで作る
殺しのライセンス
分断を生んじゃった椅子取りゲーム
無痛分娩で授かるベイブ
壮大な内輪ノリを歴史と呼ぶ
生きたいが死ねと言われ
死にたいが生きろと言われ
生きたいが死ねと言われ
死にたいが生きろと言われ
幸せ自慢はダメ?
不幸嘆いてもダメ?
図々しい言葉を避け
明るい未来のため
さんはい
「この世には
息もできない人が
沢山いるんですよ」
さんはい
「この世には息も
できない人が
沢山いるんですよ」
あちらが立てば
こちらが立たず
譲り 奪い 守り 行き違い
地雷原で立ち止まり
大人しく犬になるんだワン
ノンブレス ノンブレス
ノンブレス ノンブレス・オブリージュ
I love you
息苦しい日々の水面下
ゆらゆらと煙る血の花
ぼくらは コンプレックス
コンプレックス コンプレックス
コンプレックスを武器に争う
それぞれの都合と自由のため
息を止めることを強制する
息が詰まる息が詰まる息が詰まる
息が詰まる息が詰まる息が詰まる
息が詰まる息が詰まる息が詰まる
息が詰まる
----------♡----------
サムネイル:ぴざめーかー 様
https://picrew.me/ja/image_maker/1469896
#10番目の私
#ノンブレスオブリージュ #ピノキオピー #U #U56 #toU
コメント
まだコメントがありません