海辺の葬列
台本:あいざわ 読み手:ぺる
海辺の葬列
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素敵な台本をお借りしました。
『人は死ぬ時に海の匂いがする』
手を着けた。
海水
棺掛け
卿帷子
いつもの事。
百合の噎せ返る匂いと
煙の染み付いたスーツ
何度も繰り返した。
壊れて
崩れて
最後は灰になって壺の中に沈む。
何日も
何ヶ月も
何年も
取り残されたままで
また無に戻る。
海水に手をつけた。
冷たい。
生きているという感覚
死んでいるという感覚
僕は無に戻る。
それは物理的な意味でもあり
また、精神的な意味でもある。
僕は死なない
否、死ぬことができない。
歳月はまた僕をひとり置き去りにして
冷たい海風と共に去っていく。
____『人は死ぬ時に海の匂いがする』
鼻腔に残るあの匂いが、僕は嫌いだ。
#声劇 #声劇台本 #朗読 #朗読台本 #本と万年筆
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