任務編2 エウロペ組
--
任務編2 エウロペ組
- 24
- 9
- 0
#星詠みの詩
【任務編2 エウロペ組】
蒼天の街で起きた300年前の災害について調べるため、私たちは忘却の神殿へやってきた。大理石を基調とした大きな神殿は荘厳で、背筋がしゃんとするような立派なつくりをしている。けれど手入れが行き届いていないようで、壁や柱の多くはひび割れ崩れかかっている。
「星詠みになる前、お母さんから聞いたことがある。星詠みにまつわる神殿は今その地域の人に忘れ去られてしまって、残ってるかどうかもわからないって。本当にあったんだ……」
「ねぇ、向こうに祭壇がある。……行ってみない?」
タウラスは目をこすりながら、壁一面に装飾の施された通路を指さす。
その先に、確かに広い空間があるのがわかる。興味本位で、そちらの方へと向かうことにした。
コツコツと、靴が床石を叩く音がこだまする。少し怖いけど、探検しているみたいで、ちょっと楽しいかも。
「わぁ……」
祭壇につくと、私は息をのんだ。祭壇に導くように、左右対称的に並ぶ柱。その床石には、様々な形の彫刻が施されている。石を削って作られた厳かな祭壇の上には、綺麗な花がひっそりと供えられていた。先日、カプリコーンたちが任務に訪れたからかも。この広間を囲む壁にも、何かを現した壁画が描かれていて、その一つ一つがとても美しい。忘れ去られて劣化し、ところどころ崩れたり欠けたりしてしまっていることが残念だけれど、この神殿がまだ新しかった頃はもっとすごかったんだろうな。
「アリエス、上を見て」
その時、エウロペが天井を指さした。つられて上を見上げると、そこには、空をかたどった大きな壁画があった。
星を手のひらで受け取る人の絵。
その隣には、たくさんの光を使役する人の絵、民衆に慕われる人の絵。
そして13のモチーフが円形に並べられその中央にはバツ印……そんな不思議な絵が、円状に並んで描かれていた。
「これってもしかして……」
その壁画を見て、かつて読んだ本にも同じ絵が載っていたことを思い出した。題名は確か……『星の子の契り』。
「そうだ、星詠みは、星の子に選ばれてその力をもらうんだっけ。じゃあ、あの最後の絵は何だろう……?」
その時だった。神殿全体を、大きな揺れが襲う。
「わ、っ!?なにこれ……!」
「アリエス、タウラス!ここは危ないわ!早く外へ!!」
私は慌ててタウラスの手を引っ張りながら外へ出た。こんな時でも寝ようとしていたのか、タウラスはぼんやりしている。
幸い、祭壇が入り口からそう遠くない位置にあったためすぐに外に出ることができた。
空は黒く、厚い雲に覆われ、ちらちらと雪が舞っている。
この地域の天気は夏で、つい先日サジタリアスたちが夏の気候に戻したばかりのはずなのに……
「一体、何が起こっているの……?」
-----------------------------------------------------------------
☆エウロペ組の判断→現地にとどまり、調査する
☆調査して得られた情報
【祭壇へと続く道の床石(彫刻)】
水瓶を持った男性や矢をつがえるケンタウロスなど、それぞれの星座を意味しているようだ。その中には竜や蛇、カラスといった他の星座を模したものもある。中でも、12星座の彫刻は金の装飾が施された痕跡がある。
【忘却の遺跡の近くに咲いている花】
忘却の遺跡の入り口に、白い花弁が特徴的な花がたくさん咲いている。
花に詳しいタウラスに訊ねてみると、それはノースポールという花だそうだ。
【祭壇の天井に書かれた壁画】
それぞれの壁画が何かを意味しているようだ。
エウロペ曰く『星の子の契り』というタイトルのようで、星詠みの始まりと星詠みが繁栄していった流れを模している。
🎶「語られざる過去」Make a field Music様
コメント
まだコメントがありません