任務編2 アンタレス組
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任務編2 アンタレス組
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#星詠みの詩
【任務編2 アンタレス組】
私たちは今回も偉大なる天文台へと向かった。スコーピオンとアンタレスは天文台を訪れた若い学者さんと、その師匠にあたるであろうご老人の話を聞いている。そのすぐそばの本棚で、私は蛇使い座について調べていた。
「蛇使い座……アスクレピオス……あっ」
その時、星詠みに関する書物に、気になる文章を見つけた。
「星の子に見初められし13人の人の子ら、13の星を司る者となる……?13人?12人の間違いかしら」
文章を読み進めていくと、次々と気になる文言が出てくる。
「蛇使い座を司る者は、災いを止める贄として身を捧げる。星詠みの死を嘆き悲しんだ星の子は、亡くした者に再び命を与える禁忌に手を染めた。それが原因となって、13番目の星の子が追放された……」
私が星詠みになる前は、13人目である星詠みとその監督官が存在していたらしい。
しかし、監督官が悪いことに手を染めてしまったから13人目は選ばれなくなってしまった。
確かに、禁忌に手を染めてしまっているのだから、仕方のないこと。当然の報いだ。
――けれど、冷静になって考えてみたらどうだろう。
13人目の監督官はきっと、愛しい星詠みを失ってとても悲しかったんだ。これは、愛する人のための行い。
それなのに、13人目の監督官が禁忌を犯してしまったこと“だけ”が、悪とされている。
「……本当に正しいのは、誰なのかしら……」
もし、アンタレスが大好きなスコーピオンを失うようなことがあれば、同じ行動に出たかもしれない。
私だって、大好きな仲間をそんな形で失ったのだとしたら、耐えられない。
しばらくそのことについて考え込んでいると、会話を終えたらしいスコーピオンが私の元へやってきた。
「お疲れ様。君にしては珍しく考え込んでいるね。何かあった?」
青白い、大きな手が私の頭を撫でる。こういう時、スコーピオンはお兄さんぶった態度をとる。
「ふふ、あなたには私が小さい子に見えているのかしら?大丈夫、少し考えすぎただけよ」
アンタレスが妬いてしまいそうなやり取りをしていた次の瞬間。
突如、建物全体を大きな揺れが襲った。
「二人とも、本棚から離れて」
スコーピオンがアンタレスを脇に抱え、私の手を引く。
本棚から離れた瞬間、たくさんの書物が先ほど座っていた場所に降り注いだ。
「すごい揺れ……なにが起きているの……?」
しばらくして揺れが収まると、スコーピオンが考えるような仕草をした。
「震源地はおそらく、星神の天文台だろう。ここからそう遠くない位置にあるから、影響を受けやすかったのかもしれない」
「星神の天文台?だとしたら……っ、スコーピオン、リブラ、急いで帰ろう!」
アンタレスは何か勘付いたのか、慌てたように偉大なる天文台を出ていった。私たちも慌てて後を追いかける。
空は黒い雲に覆われ、雨が降り出しそうなくらい真っ暗だった。何かの前触れじゃないといいけれど。
不安が募る中、急いで星神の天文台へはいると、星空の下へとつながる鏡が無残に砕けていた。
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☆アンタレス組の判断→現地にとどまり、調査する
☆調査して得られた情報
【先ほどの学者と老人の話】
「300年前も、おなじように空模様が突然変わることが多かったようです。原因は特定できないまま、各地で大雨が降ったり日照りが続いたり、季節が反転したり……まさに天変地異と呼ぶにふさわしい不可思議なことが起こっていたんだとか」
【割れてしまった鏡】
人間界と星空の下をつなぐ鏡だ。普段は大きな鏡に様々な世界がかわるがわる映されるが、ひびが入った影響なのか、黒い雲のような模様が不気味に渦巻いている。星の子の力を使えば、修復できないこともなさそうだ。
【偉大なる天文台にあった】
「いて座はケンタウロスのケイローンを模したものだと言われている。――ケイローンはあらゆる学術に長けており、多くの人がケイローンの教えを乞うた。そのうちの一人が、後に医術の神と呼ばれるようになったアスクレピオスである」
🎶「迷いの森」Make a filed Music様
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