〈第3話〉愛と狂気は紙一重【後編②】
台本:由季 BGM:『ad-lib piano BGM 或色』レーニャ様
〈第3話〉愛と狂気は紙一重【後編②】
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【CEA】〈第3話〉愛と狂気は紙一重【後編②】
ティナが居たであろう場所は真っ赤に染まっており、その中で彼女は朧気な意識を必死に食い止め、愛を囁く
ティナ「…………クレア、さま、だ、いす、き」
クレア「………」
ティナ「……こ、れで、あ、なたの、なか、で、わ、たしはえいえん、にな、る」
オリヴァー「……認めるよ。だが、君は我々を愚弄した。許し難いが、その死をもってすべて水に流そう。…よかったね、君の死は安泰だ」
ティナは息を引き取る最期まで、クレアへの愛を囁き続けた。
ティナ「……………あ、………あい、して………る」
そして、パタリと動かなくなった
ーーー
沈黙
セオ「…………死んだ、のか?」
少女はピクリとも動かない
レイ「…………愛は人を変える、ね」
クレア「…これがティナの…愛」
オリヴァー「どうだい?彼女の覚悟は」
クレア「………………怖い、怖いわ
…でも……赤って素敵な色なのね。綺麗……」
───
──ティナ
名前を呼ばれる。
──ティナ、ここに居てはだめ。
ティナ「!」
目が覚めると、そこは真っ暗な空間だった
朦朧とする意識の中で、確かに痛みを感じていた。ティナは手探りで暗闇の中を進んでいく。だが、不思議と恐れはない。
──迎えが来てるわ。案内してあげる。
ティナ「あなたは…誰なの?」
確かなのは、"大好きだったひと"であること
──ティナ、こっちよ。
ティナ「…どうして…名前が思い出せないの?」
あの声を知っている。
ティナの目からは訳も分からず涙が溢れていく。忘れてはいけなかった。忘れたくなかった存在の慈愛に満ちたあの声を…
ティナ「……ねぇ、どこ?」
──残念だけど、お別れね。もう迷い込んではだめよ。
ティナ「!待って…」
──大丈夫、また逢えるわ。
すると、眩しい光が差し込み、真っ白な空間に移り変わる。聴こえたのは、
──こんなにすぐに会えるとは思いませんでした……お嬢様。
ティナ「っ!」
懐かしい声、そして何よりも大切な……
──お待ちしておりました。……おかえりなさい、お嬢様
ティナ「……ただいま、ルチア」
その時、少女は心から笑えた気がした
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