白紙の言葉
大沼パセリ
白紙の言葉
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🟢PanakeiA💚ソロ3
白紙の言葉/大沼パセリ
🍎ミロ・オレンジ(CV.あろ)
『もう少し話に付き合って』
智慧を司る果実の精霊は、堕落の切符という烙印のせいで神にこそならなかったものの神から大層気にいられていた。そこいらの神やヒトより頭が回ったからだ。
精霊は神にある遊びの提案をした。
黄金色に輝く果実を見せてこう言った。
「じつはこんなものを作ってみたのです。日頃実らせているものの何倍も栄養満点で美味しいものです。せっかくのとびきりの出来を腐らせないように周りを金で覆ったのです。どうでしょう、味見をしていただきたいのですが、試作ですから果実はひとつきり、代表を神の中から決めてきてはいただけませんか」
神々はこんな決め方をした。
『最も美しい女神の元に黄金の果実が授けられる』
するとどうだろう、美しい神々は醜く争い、ヒトも神もたくさん死んだ。
約束通り、生き残った美しい女神に黄金色のそれを授け、試食させると、女神は恍惚の表情を浮かべひときわ幸せそうな顔で頷いた。老化防止作用や健康に良い栄養が多く含まれていたせいか、女神は長い間美しさを保ち、長い間健やかに存在した。
以降その果実にはこんな別名がついた。
“不和の果実”
黄金色のそれは、そんなことはないのだが
“不老不死を与える果実”として記録されてしまったようだ。
多くの神やヒトを踏みつけにして、流れる赤い血を見ずにただの果実を頬張る女神を目の当たりにした精霊は、以降黄金色の果実をつくることは無くなった。
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空箱に閉じ込められた鳥のよう
泣き喚く声が雨となって心を濡らす
何にもないし
とんでもないし
愛してる けど
本質ばかり探して
ぎゅうぎゅう窮屈苦しい
書き留める余白は
もう、もうないんだ
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#色の国公式 #色の国創作
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