2人声劇「『花散らし』の一節より」
△:様〇:様 書き手:橘
2人声劇「『花散らし』の一節より」
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貴方は泣けなかった、
否、泣いたのだ
〈作中人物〉
△:作家。花食病の患者。
〇:先生の一番弟子。
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(♩木漏れ日の音 )
△「気がつくと、いつも同じ場所にいる
木漏れ日が僕を包み込んでいた
居心地がいい
ずっとここにいたい
山茶花に染まった太陽は
僕には眩しすぎた」
(♩戸が開く音/ドアベル)
○「こんにちは」
△「やあ」
○「原稿の調子は如何ですか?」
△「もうじき、完成しそうなんだ」
○「そうですか、愉しみです」
△「ーそろそろ、花瓶の水を変えなくてはね」
〇「え?
こんなにきれいに咲いているのに」
(♩水道)
○「袖、濡れてしまいますよ」
(♩布が摺れる音/花瓶の割れる音)
△「ーーーっ!?」
○「あ、」
○部屋の窓際に置かれた花瓶の花の散り際を
私はいつも見ることが出来なかった
(BGM 入)
(♩ページを繰る)
〇「
『ーーー居心地がいい
ずっとここにいたい
山茶花に染った太陽は
僕には眩しすぎた』
」
〇「せんせ、私のこと、殺して欲しかった」
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以下参考資料
【花食病】
泣き叫ぶときに花を食べてしまう病気。食した分だけ体に花の模様の痣ができ、最期は痣に蝕まれて死に至る。
【〇の残した手記】
『静かに笑う人だった
音がしないあの人の部屋には、
その空白を埋めるように、いつも同じ音楽が流れていた
ときどき、激しい慟哭が花を散らしていた』
【ある大学の講義】
ーーーー氏の代表作である『花散らし』を題材に、本日の講義では君達に生と死について討論して頂きたい。
自由に討論してもらって構わない。ただ、その論争の終着点に生と死があればいい。
課題であるレポートは、本講義の中で考えた自身の主張をまとめるものとする。
(※本作品は全てフィクションであり、実在する組織や団体、現象とは関係ありません)
special thanks : 瀬戸書店様
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コメント
5件
- ましゅまろん🕊🐻❄️𓏸𓈒𓂃お借りしました♪
- KANSUKE@コラボしたがるかんすけコラボ先にて台本読ませていただきました! 素敵な台本をありがとうございました〜
- 酉頭ねこた 次回投稿未定お借りしました!素敵な台本ありがとうございます!
- 小梅@りっくん初めまして(❁ᴗ͈ˬᴗ͈) 儚げでなんとも言い難い世界観でとても素敵な台本をコラボ先にてお借りいたしました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈) ありがとうございました(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
- オリ静かでありながら叙情的で素敵な台本をお借りしました。ありがとうございます。