__________『逃げよう』_________
仄暗い城壁で淘汰した
ガス臭いこの街に生まれて
僕らまだ草原の色も知らない
ここでずっと救いを待ってても
モノポリーが上手くなるだけさ
君はそう笑っていた
群衆の悲鳴 響く銃声
何を命と言うんだろう
白い息混じり 君は呟いた
「 」
あの頃僕ら 夢を見ていたんだ
この檻の先には
温もりと愛がきっとあるんだ
閉じた窓の 向こうへ飛んでいく
夢を見るのも
何回目だったっけ
_________ 💻 × ⚡️ ___________
施設から離れた森の中。肩で息をするグリーンは、酸欠の息苦しさだけじゃない涙をボロボロと流していた。
振り返ると、倒壊した実験施設が火に包まれている。自分たちを縛り付ける呪いのような場所だったが、こうやって火に巻かれるその姿は不安感も煽られる。
あの施設の中、ラッドと3人で逃げていた中で、廊下の向こうから聞こえた声、
『こっち!!!こっちだよ!!!』
赤色のお兄さんの声はどこまでも響いていた。
駆ける通路の右手側、施設の裏口。そこから、グリーンたちに呼びかける姿。
それを見たラッドが、先頭を走るグリーンの手を軽く引いた時。
『……ッラッド、行ッテ!!!』
『え、』
『お前ハ向コウ!!』
グリーンは、ラッドの体を強く押した。
レウさんの待つ裏口の方にラッドを押し出し、呆然と見つめるラッドを見て見ぬふりして。
グリーンは俺の腕を掴んで、迷いなくレウさんの居ない別の出口へと駆け出した。
どんな意図があったのかは知らない。結局俺たちは無事に脱出できたが、何故グリーンはレウさんのいる方へ行かなかったのか。
「……」
「清汤」
震えた声で、それでも真っ直ぐ俺を見つめてグリーンは言う。
「行こう、」
奴隷である俺にその言葉を拒否する権利などない。
差し出された手を取った。もう涙を流していないグリーンが何を考えているのかは、俺には分からなかった。
コメント
まだコメントがありません