【朗読台本】水のような人だった
読み手: BGM:レーニャ様
【朗読台本】水のような人だった
- 39
- 10
- 5
それは、透明な水に一滴の墨を垂らすようなものだった。
ほんの一滴でも、それはもう透明では無い。
〜諸注意〜
✰︎BGMに素敵なサウンドをお借りしています。
必ずそちらに拍手・コメントをお願いします。
✰︎一人称や性別の変更、細かい口調の変更、アドリブ、一向に構いません。
____________
君は、水のような人だった。
透き通っていて、凪いだ水面(みなも)。
誰からも必要とされているのに、
誰のことも必要としていなかった。
僕は君が傷ついている姿を見たことがなかった。
妬(ねた)みや僻(ひが)みから生まれる、
心の無い言葉や皮肉。
どんなに投げつけられようと、歯牙(しが)にもかけない。
いつも凛として、背筋を伸ばしていた。
真っ直ぐに前を見据える君の瞳は、
いっとう綺麗で。光を吸い込んで輝いていた。
その瞳に見つめられると、
自分の濁った心を照らされる気がして、
僕は怖くなった。
汚れた僕が鋭く研いだ言葉は、
君にはどんな風に聞こえただろう。
水面(みなも)が揺蕩(たゆた)うように
一度だけ揺らいだ君の瞳を思い出す。
君は、もういない。どこにも、いない。
掴みどころがなくて、指の間から溢(こぼ)れ落ちる。
君は、水のような人だった。
✎︎____________
「自分の身を守るために言ったことだ」と
口にしたら許されるでしょうか。
…………そんなわけ、ないよな。
コメント
5件
- 🌵Comic🐎🏜️🌵お借りしました。
- よこ@マイペースに更新中♪お借り致しました! ありがとうございます^_^
- 西乃醍醐お借りいたしました
- 赤星=Perruche=陰虎お借りさせていただきましたっ⁽⁽◝( ˙ ꒳ ˙ )◜⁾⁾
- ちぇしゃコラボお邪魔いたしました!