73-セリ
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73-セリ
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👻「あらぁ……?アナタ、まだ生きてたんだ。意外~……。アナタって、弱いから直ぐに飛び降りてると思ってた。ま、良いわ。アナタも含めて、全員切り刻んで、この屋上から落としてあげる!!!!」
(笑い声)
(ハサミの音)
🐦彼女の不気味な声が、いじめられている時のことを思い出させる。金属音の擦れる音が、恐怖心を煽る。
動機も、手の震えも、止まらない……。涙も、相手を拒絶するかのようにあふれでてきた。けど、私は、ここから帰らなくてはいけない。__私を大切にしてくれる家族に、会わなくちゃいけない。
⭐『一歩、踏み出して』
🐦その時、先程の幽さんの一言が、私の脳内に響き渡った。
🐦「……怖く、ないよ」
👻「ハ?」
🐦「あんたなんかもう……っ!怖くなんか、ない!」
🐦私はキッと、精一杯睨み付けた。すると、彼女は裂けた口元の笑いを強め、こう言った。
👻「……ほんと、相変わらずムカつく奴ね。じゃあ、アンタから切り刻んであげる!」
🐦大きなハサミが、私に向かってくる。
⭐「司ちゃん!!!!!」
🐦どうすることも出来なくて、私は目を瞑った。……私は、死にたかったのに。いざ、死を目の前にすると、こんな風に思うなんて……
生きていたい。
ごめんなさい。お母さん……お父さん……。
私は、目の前で祈るように、ギュッと手を握った。
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