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第六章「あとひとつ」
場所:天空ジュロニオン領南西 迷宮の洞窟 祭壇
時間:昼
「愚かな地上の王子様。
どう足掻いたところで、アンバー・ロイ・ルギスタリアはこの世界にとって【生け贄】だ。
連れのお前は薄々気づいていたんじゃないか?
宝玉書に記された魔界の扉を封印する方法、その正体に。」
迷宮の洞窟、最奥。
何とか迷宮をくぐり抜けた先に、祭壇を見つけた。
宝玉に手を伸ばす瞬間、祭壇に待ち受けていたガンクゥの影が襲いかかってきた。
アンバーは、魔法で影の攻撃を受止め、宝玉を!と叫ぶ。
祭壇に祭られた宝玉を手にして振り返ると、一瞬の隙に、影がアンバーを捕らえ、その身体を”乗っ取ってしまった”。
アンバーの声で発せられた言葉が、禍々しく響く。
琥珀色の瞳は、赤味が差し濁ってゆく。
その身体は影の魔力で宙に浮き、こちらを見下ろす。
腕中の宝玉を、しっかりと抱く。
アンバーを助けなければと思うが、これでは手出しできない。アンバーの身体を人質に取られている状況だった。
「まぁよい。キーアイテムさえ破壊してしまえば、お前たち人類は封印の術(すべ)を永遠に失い、魔界の瘴煙(しょうえん)が全てを覆い尽くすのを震えながら待つのみだ!
迷宮の宝玉、それが最後のキーアイテムか?
ならばよこせ!!
宝玉をこちらに渡せば、この乗っ取ったアンバーの身は返してやろう。」
愉快そうにしていた表情が突然歪む。苦しげに俯いた顔が上げられたとき、琥珀色の瞳が弱々しくも戻ってきた。
「やつの言葉は、聞かなくていい!!
例え、ボクがここで命を落としても、世紀石は次の読み手を選ぶ!ボクの代わりはいるが、キーアイテムの代わりは無いんだ!
あなたは、そのまま宝玉を持って逃げろ!
どうか次の読み手へ使命を繋げてくれ…!」
琥珀色さえ乗っ取るように、赤が瞳を覆った。
アンバーの意識が戻ったのは一瞬。
再び、冷たくこちらを見下ろした。
「はっ、死に損ないめ!
なぁ、考えたことはあるか?
何故これまで、わたしがお前を始末しなかったのか。
天空びとよ、これは忘却への対価。歴史を忘れ、世紀石を忘れた天空びとへの、”皮肉”よ。
キーアイテムを優先しなければ人類が滅びるとしても!
読み手が替えのきく存在であろうとも!
お前は、アンバーを犠牲に出来るのかァ?」
影は、その掌に禍々しい魔力を集め始める。
あれがアンバーの身に振りかかれば、ひとたまりもないだろうことは容易に想像できた。
影が、叫ぶ。
「さぁ!選べ。
世界(宝玉)か、アンバー(友)か!!」
選択パート
▶ 宝玉を守る
(アンバーの身体ごとガンクゥを攻撃する)
▶ アンバーを守る
(宝玉と引き換えに、アンバーを取り戻す)
CREDIT
https://nana-music.com/sounds/06754ee1
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