〈第2.5話〉白百合の赤く染まる頃に【後編③】
台本:由季 BGM:渡邊泰敏様 演奏:シバヤシャ様 SE:小森平様、効果音ラボ様
〈第2.5話〉白百合の赤く染まる頃に【後編③】
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【CEA】〈第2.5話〉白百合の赤く染まる頃に【後編③】
クレア「貴女、人形みたいね。つまらない」
ルチア「人形になれた方が楽でした…」
クレア「は?」
ルチア「…主が私を必要としてくれる度に…生きてる心地がしていました。人形は感情をもちません。……だったら湧き上がるこの気持ちは一体何なんでしょう?」
クレア「…貴女」
ルチア「愛してしまったんです……私は心の底からあの方が欲しいと同時にあの方が妬ましく、そして………どうしようもなく…焦がれていました。それは今も同じです」
クレア「…そう」
ルチア「でも、これで本当の意味で人形になれますね」
クレア「……」
ルチア「ありがとう…」
そう言うと、ルチアはクレアの手からナイフを奪い、
自ら喉を刺した。その口元は笑っていた。
瞬間、吹き上がる赤に、クレアは見惚れていた。
オリヴァー「終わったかい?」
クレア「…えぇ」
クレアはゆっくりと振り返る。
クレア「オリヴァー」
オリヴァー「ん?」
クレア「…人形は嫌いだわ…私は彼女みたいに気持ちを抑えることはしない。だから……」
オリヴァー「…ありがとう」
彼はその先を言わせることはしなかった。
クレア「私…」
オリヴァーは悲しげに微笑む。
あぁ、またこんな表情をさせてしまった自分が悔しくて、クレアは強く手を握りしめる。
オリヴァー「さぁ、出ようか」
クレア「えぇ。」
2人はミュージアムを後にした。
───
翌日の報道では、とあるミュージアムが大破した話でもちきりだ。しかし、現場には爆弾と思わしきものはなく、逃げ遅れたとされる20代の女性の遺体が発見された。
ティナ「……ルチア……ねぇ、ルチア、どうして私を1人にしたの?どうして帰ってこないの?」
少女の頬を涙が伝う。
ティナ「…嘘つき」
その時、ティナの端末が震える。
何気なくその画面を見ると、ロック画面には隠し撮りと思わしき写真が設定されていた。
ティナ「…そうだわ。私にはあの方が居るんですもの。だからもう大丈夫。……必ずアナタを手に入れてみせる………待っててね?" "様」
代償を払った少女は狂ったように笑っていた。
そこに無垢な少女の面影はどこにもない。
白百合は赤く染まってしまったのだ。
この物語はまだ……
FIN
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