🐰新作スイーツと共にオシャレな音楽を🐰
🌙しゅくらぱふぇすてぃばる🐰
::::::::::୨୧::::::::::nouvelle::::::::::୨୧:::::::::::
もしも私たちに“鼓動”があったのなら、どんなふうに聞こえるのかしら。規則正しく刻まれるというそれは、いったいどんな温もりを感じさせてくれるのかしら。
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あれは、月がよく冴えた静かな夜のこと。夜の営業を終えたシュクルリ・ド・ラパンは、ひとときの眠りにつくための準備をしていた。
キッチンからは、駄々をこねるマリィやルシィ、そんな彼女たちをなだめるリリィの声が、夜風に乗って微かに聞こえる。
あぁ、今日は「姐さん」も一段と大変ね。部屋へと戻る途中、私は思わず笑みをこぼした。
今日も寝ようとしたそのとき、ふと見慣れない本があるのに気づいた。表紙には、リリィの名が刻まれている。
これはもしかして、リリィの日記?しっかりしている彼女がしまい忘れるなんて、珍しいこともあるのね。
でも……。どんな秘密が書いてあるのだろう。いけない好奇心が、瞬く間に膨らんでいく。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけなら……そんな心の声に負けて、私はそっと日記に手を伸ばした。
***
表紙を開いて驚いた。
ページを跳ねまわる丸く可愛らしい文字は、はじけるような喜びと幸せを、その全身で表していた。
日記の舞台は、リリィの故郷にあたる小さなドールショップ。そこでの出来事が、丁寧に書き留められていた。
その大半に登場していたのは、とあるドールの男の子。どうやらリリィは、彼をとても愛していたようだ。
隠すことのない心の内、交わした言葉の数々……。それらを通して、彼への大きな愛は私にも伝わってきた。
昔はこんなに甘えん坊だったのね。そんなことを考えながら、日記を読み進めていく。
不意に、ページをめくる手が止まった。
『〇月〇日
彼に裏切られた。』
見ればこの日は、あの男の子が新しいオーナーにお迎えされ、ショップを去る日だった。
日記はこう続く。
「お前みたいな甘えることしか能のない人形なんていつか捨てられる、きっと売れ残るだろうな、ははっ。」
リリィとの別れ際、彼女に向けられた心無い言葉。
なんてひどいのかしら……。リリィはあんなに、あんなに彼を愛していたというのに。
『 だ い き ら い 』
ひどく乱れた文字と、滲んだインクの跡。それを見た私の胸は、ぎゅうっと締め付けられた。
『もう、誰かに甘えるのはやめよう。自分が傷つくだけなのだから』
その言葉に、私ははっとする。
ねぇリリィ。貴女がずっとみんなの「姐さん」でいるのは、もしかして……。
***
「見ないで!!!」
突然、悲鳴のような声とともに、日記をひったくられた。見ればリリィが、今にも泣きだしそうな顔で佇んでいる。
なんで。そう責めるようなアメジスト色の視線が、私を貫く。
ごめんなさい、そんなつもりじゃなかったの……。とっさに謝ろうにも、言葉はのどに貼りいたままで。ただ、かすかに浅い息が漏れるだけだった。
そうして、どのくらい経ったのだろうか。
「ねぇ、どうしてあなたが泣いているの」
リリィに言われて初めて、自分の頬が温かく濡れていることに気づいた。
きゅっと口を結んでうつむくと、私は声を絞り出す。
「だって……。だって、大好きなリリィに、こんな悔しい過去があったなんて知らなかったんだもん!気づけなかったんだもん。私ばかり甘えてたもん……」
秘めていた想いを吐き出す。それはそのまま心の叫びとなり、一気にあふれ出した。
熱い涙が、はらはらと零れ落ちていく。
「リリィも……リリィもたまには、私の前だけでいいから、姐さんの皮被るのやめてよ……」
そうして黙りこんだ私たちを、月の光だけが静かに照らしている。
見れば、いつのまにかリリィの頬にも、白銀に光る涙の跡がいくつも刻まれていた。
「じゃあ……ちょっとだけ。ちょっとだけ、いいかしら」
リリィが、遠慮がちに切り出した。
私は無言で頷く。するとリリィは、私をきつく抱きしめ、子どものようにしゃくり上げて泣いた。
私もまた、彼女の背中を優しくさすりながら、声を殺して涙を流した。
***
それから少し経ったころ、私はこっそりリリィを呼びだした。
「私ね、あれからいろいろ考えたの。リリィ、ちょっとリリィの時計を出してみて」
困惑する彼女を目じりにとらえながら、彼女の時計を受け取る。
そして、時計のゼンマイを丁寧に巻いていった。
「クロエさんに聞いたんだ。私とリリィの時計がお揃いだって。それから、リリィの時計が今は止まっていることも。だからね……。」
ゼンマイを巻き終わると、今度は自分の懐中時計を取り出す。
そして二つの時計をぎゅっと抱きしめながら、私は言葉を続けた。
「これ、『せーの』で一緒に動かそうよ。これから二人で歩んでいくために」
リリィの少し驚いた顔が、今度は照れくさそうな微笑みに変わる。
そして二人で息を合わせると、時計は再び、しっかりと時を刻み始めた。
「これからは、ずっと私といっしょだよ。たとえ、この時計が止まっても、ね」
そう言って、私はリリィに笑いかける。彼女もまた、少し潤んだ瞳で私に微笑み返す。
重なり合う規則正しい針の音だけが、いつまでも響いていた。
::::::::::୨୧::::::::::paroles::::::::::୨୧:::::::::::
🫐リリィ 🍵ソフィ
🫐生活の偽造🍵
🍵いつも通り通り過ぎて
🫐1回言った「わかった。」
🫐戻らない🍵
🫐確信犯でしょ?
🫐夕食中に泣いた後 君は笑ってた🍵
🍵「私もそうだよ。」って偽りの気持ち合算して
🫐吐いて 🍵黙って
🫐ずっと溜まってく🍵
🫐何が何でも 面と向かって🍵
🍵「さよなら」
🫐する資格もないまま 🍵僕は
🫐灰に潜り 🍵秒針を噛み
🫐白昼夢の中で ガンガン砕いた🍵
🍵でも壊れない 🫐止まってくれない
🫐「本当」を知らないまま🍵
🫐進むのさ
🍵このまま奪って 🫐隠して
🫐忘れたい🍵
🫐分かり合う〇 1つもなくても
🍵会って🫐 🍵「ごめん。」🫐って返さないでね🍵
🍵形のない言葉は いらないから
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⛩ミシュリーヌ
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💠カトリーヌ
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୨୧にねんめ୨୧
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୨୧らぱふぇす୨୧
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