悪食娘コンチータ
mothy_悪ノP
悪食娘コンチータ
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#悪役の祭典
🥩🍝🍛🍕🥘🥐🧆
腐臭漂う背徳の館 今日もはじまる最後の晩餐
身の毛もよだつ料理の数々 ひとり食い漁る女の笑顔
彼女の名前はバニカ・コンチータ かつてこの世の美食を極めた
その果てに彼女が求めたのは 究極にして至高の悪食
敬い称えよ われらが偉大なコンチータ
この世界の食物は 全てがあなたの為にある
食らい尽くせこの世のすべて 胃袋にはまだまだ空きがある
青白く輝く猛毒 メインディッシュのスパイスに最適
骨の髄までしゃぶり尽くせ 足りなければ皿にもかぶりつけ
舌先を駆け巡る至福 晩餐はまだまだ終わらない
🍽🍽 🍛🍕🥘🍽🧆
初めてLito.さんの企画に参加します、夜葉(ャョゥ)と申します。
任意で写し身の創作可とのことなので
今回の選曲に合わせ、創作のポイント全体を通じて
一人称の短編小説書くつもりで以下を考えました。
こちらに出てくるヴィランについては、楽曲を基にした創作になります。
お時間お気持ちがよろしければ、見て頂けるとうれぴよ
いや主催強すぎやて
https://nana-music.com/sounds/06732a70
🍽🍽🍛🍽🥘🍽🧆
1. 学生であることについて
私は、成績優秀でなければ、目立った容姿があるわけでもない
映画研究部に所属する、大人しい女子生徒だった。
部内では演じても端役、または多少手先が器用だったため
舞台小物や衣装の一部作成を手伝っていた程度だった。
強いて特徴を挙げるならば、小さい頃から食事が苦手であることだ。
食べても少量なので、昼休みに友達と食べる時、家で食べる家族との食事、
どのような場面であっても、食べるということが苦痛だった。
食事は他者とのコミュニケーションの場でもあると理解していたため
人前では目の前にある食べ物を無理にでも口に、胃に流し込んでは
お手洗いに行くと言って、過剰分を吐き出し流すというのが常だった。
だから私は、ずっと『彼女』を反芻していたのだと思う。
2. 映画、または役者に対して
両親が映画をよく観る人だった。
休日など、暇さえあれば映画を観る人たちだった。
一人で観る時もあれば、夫婦、家族揃って、様々なジャンルを観た。
そのうち、私も好んで観る人間に成っていた。
そんな中、いくつの頃だったのだろう。
自我は芽生えていたのか、食事が苦手だったのかも覚えていない頃。
でもきっと恐らく、その頃から食べない子だったのだと思う。
父親が休日、一人で観ていた映画。
私が内容を理解しないと踏んで、グロテスクなものを観ていた。
いや、内容はよく覚えていない。
たくさん食べる女性が映っていた、という映像だけ鮮明に残っている。
その女性は、赤い塊を手に取っては口に運び
口元や纏った衣服は、真っ赤に濡れていた。
3. 好きな悪役、または悪役を演じることについて
その一瞬の映像が、『彼女』が、今もなお、私の頭から離れない。
離れないどころか、憧憬、焦燥、羨望…『彼女』を思い出す、
特に吐き戻す時に強く思い出し、その度に色々な感情に蝕まれる。
映画を調べて観ようと思ったこともあった。
けれど、思い出してはいけない、今観てはいけないとも思う。
観てしまえば最後、私もああなってしまうかもしれない、と感じるのだ。
ただ映画を観ただけ、と観終われば呆気無いかもしれない。
でも、それでも、今の私の満たされない腹が、体が、私自身が
『彼女』で埋め尽くされてしまうのではという恐怖が、この心にはあるのだ。
そう悩みながら映研部の一端を担っていたある日、
我らが部長兼鬼監督、蟻地獄さんがこう言った。
「呪われた脚本を撮る。みんな好きな悪役をしなさい」
4. 主役を勝ち取る野心について
役作りの参考にするだけ、と『彼女』の映画を観た。
「演技の出来不出来は問わない、映研部員は全員参加」
そう言われたから、やむなく観るのだ。
――『彼女』も幼い頃は、食べるのが苦手だったようだ。
ある日、残した食べ物を無理矢理食べさせようとしたところを反抗し
親の腕の一部を嚙み千切り、あろうことか咀嚼し、飲み込んだ。
以来、彼女は食べることの喜びと、人の味を覚え
よく食べる人になり、料理を食べて評価をしてお金を稼ぐようになった。
美食家としての地位を確立した後、『彼女』はあの味を思い出す。
また食べたいなと、それを召使に注文する。
『彼女』はあくまで自分の手は汚さず、
口周りを汚しては皿の上を綺麗にするのだ。
貪り尽くすその時は、どうしてもその手を汚してしまうが。
――だから、私は待つ。
料理が出来上がり、目の前に運ばれてくる、その時まで。
5. 「呪われた脚本」について
悪役のやる事成す事、そして結末なんて、大体同じなのだろう。
悪さをして、悪さを暴かれて、糾弾されて、そのうちいなくなる。
そんなものだろうから、悪役ばかりが集まったとしても
少し過激になるくらいで、きっと結末は変わらない。
この台本で悪役を演じながら、主役の座を奪い合っているうちに
熱が、悪役が入ってしまって、そういった事件が起きたのか。
だから、今までそれを撮ってきた人たちは、いなくなってしまったのだろう。
どのようにしていなくなったのかは分からないけれど、今回は大丈夫。
どんな味がしたのか、私が伝えるから。
🍽🍽🍽🍽🍽🍽🍽
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