カトラリー
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カトラリー
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🎉お誕生日おめでとうございます🎉
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なんで、という顔もせずに彼は後ろをついてきた。部屋に入ると、彼のために置いてあるスウェットに着替え、当たり前のようにスツールから毛布を出してソファに丸まって横たわる。
「今日くらい布団で寝てください。そのために連れてきたんですから」
「この方がよく眠れるんで」
意地でも安らかに休んでくれなさそうな様子に小さくため息をついて、2人分のカップにデカフェのハーブティーを注ぐ。
「今日は本当にすみませんでした。もっと僕が動けたなら、」
「それはまあ、もう少し鍛えてもらいたいっすけど。俺、このままでもいいっすよ」
「それじゃあ君ばかり、いや……」
「なんですか?」
「僕には言う資格もないです」
カップの中はじわじわと赤茶色の液体が染み出して泣き出しそうな男の輪郭を捉えはじめていた。
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🐴何でもないのに涙が
こぼれ落ちたらいいから笑って
一滴も残さずに救ったら
戸棚の隅のほうへ隠すから
📚誰かの言葉の分だけ
また少しだけ夜が長くなる
目を閉じたらどう?
もう見たくもない なんて
言えるわけもないし
📚不機嫌な声は霞んだ
浅い指輪の味を頂戴な
🐴またいつもの作り話
灼けたライトで映す夢を見ていた
🚬藍色になるこの身 委ね なすがままに
📚故に 忘れてしまっても
🚬愛用であるように 錆びたカトラリー
🐴君が終わらせてよ
最悪の場合は
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